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ふたりの建築家
江戸東京たてもの園編・第3回。


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「宝形造りのある家」


エントランス広場から向かって左手に伸びる広い通りを「山の手通り」と呼んでいます。
この通りの南側に先に紹介した「常盤台写真場」と「三井邸」があり
通りの先には農家の「綱島家」「吉野家」など、江戸時代の建物が並びます。
時計回りにこれらを巡ったあと、通りの北側に並ぶ戦前に建築された3棟を訪ねました。
今回はそのうちの2棟を紹介します。


表紙の写真は、現在の文京区西片2丁目にあった「小出邸」です。
建築年は1925年(大正14年)、復元年は1998年(平成10年)。
設計した「堀口捨己」(ほりぐちすてみ)は東京帝国大学(現在の東京大学)建築学科の出身で
1920年(大正9年)に日本最初の近代建築運動となった「分離派建築会」のメンバーのひとり。
1923年(大正12年)7月から翌年1月までヨーロッパに留学し、帰国後に著書「現代オランダ建築」を発表。
同年にこの建物を設計し、翌1926年6月に竣工しました。
このため堀口にとっての最初の作品とされています。

この家の外観の最大の特徴は、写真左手のちょうど木で隠れているあたりの屋根の形。
ここがピラミッドのような形をした屋根(宝形造り)になっているんです。
このときはそんなことはつゆ知らず、何の変哲もない写真になってますが・・・・・(--;



分離派建築博物館
※分離派、そのメンバーと建築物などについて詳しく紹介されています。

堀口捨己
前川國男
いずれも@Wiki









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玄関を入って左にある「応接間」。
家具も建物と合わせて設計されたものだそう。
部屋の角にはピアノも置かれていました。


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建物に入るためには、裏手から回り込むように移動するんですが
そのとき目にとまったのがこの廊下の風景。
茶の間の向こうの緑にひかれたのかも。


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一つ前の写真の左手にあるのが「浴室」。
常盤台写真場と同じく、床はすのこがおかれています。
木製の湯船がいい感じ。


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「食堂」から「茶の間」(手前)と「寝室」を。
老舗の旅館のようです。


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お隣は建築家「前川國男」の自邸です。
建築年1942年(昭和17年)、復元年1996年(平成8年)。
戦時の真っ只中にあって、これだけの建物がよくできたものだと感心してしまいますが(^^;

1945年(昭和20年)から1954年(同29年)にかけて事務所も兼ねていた時期があります。
これは銀座にあった設計事務所が空襲で焼失したためで、新事務所開設されるまで続きました。
1973年(昭和48年)にこの建物は解体され、部材は軽井沢の別荘に保存。
復元に際してはこの部材を基にして行われました。


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玄関脇の柱にはなにやらプレートがたくさん・・・・・。


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1階の中央は広々とした居間(サロン)。
大きな屋根を生かした吹き抜けになっていて、2階部分はロフト風になっています。
残念ながら2階に上がることはできませんが。


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ロフトの下にある照明。
のぞきこんでみると、たくさんの小さな穴の開いた板のようなものがはいっていました。
安全対策兼間接照明、といったところでしょうか。


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1階の両側は屋根が低いので、天井も当然低いです。
このエリアには台所や寝室、浴室、書斎などが配置されています。

これは台所。
居間とはカウンターでつながっていて、出入り口を通らなくても料理などの出し入れができるようになっています。
写真では明るくしていますが、照明がついていないので実際は相当暗いです(^^;


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反対側にある「書斎」。
机の上に置かれている小物が気になる・・・・・。


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黒電話。
いろいろ調べてみると「4号M磁石式電話機」というそう。
ダイヤルの代わりに手回しハンドルのようなものがついてますね。
これで磁石による発電機(自転車のダイナモと同じ?)を動かして、交換手を呼び出す仕組みになっているようです。
クラシックカーみたいなレトロな雰囲気ですが、なかなかかっこいいと感じるのはわたしだけ?(^^;
ちなみに前のプレートには「Hitachi」のロゴが入っていました。


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小型卓上テレビ。
ダイヤル式チャンネル、本体についたアンテナとレトロな雰囲気満点☆


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書斎側から居間を眺めてみましょう。
吹き抜けと大きな窓から差し込む日の光。
どこかの別荘のようです。

この構図、実は階段のところに掛けられている1枚の写真をまねてみたものです(^^;


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最後は建物の裏手(山の手通り側)から。
1階部分の戸袋は、戸を90度回転させて収納できるようになっているようです。

見た目も内部もシンプルですが、とても住みやすそう。
ちょっとあこがれますね(^^)


1枚目 D40+DX12-24mmF4G
2、5枚目 D700+AiAF20mmF2.8D
3、4枚目 D700+AiAF35mmF2.0D
<ここまで小出邸>


<ここから前川邸>
6、7、15枚目 D40+DX12-24mmF4G
8、10、11、14枚目 D700+AiAF20mmF2.8D
9、12、13枚目 D700+AiAF35mmF2.0D


次回は、田園調布の家を訪ねます。
by sampo_katze | 2009-08-15 22:30 | 博物館・美術館 | Comments(0)


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