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北斎が描く魚たち@すみだ水族館特別展
すみだ水族館へ行こう!第5回


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「北斎と水族館のコラボ」


今回「すみだ水族館」を訪ねたのは7月13日(土)。
「葛飾北斎」をテーマにした企画展が始まる日です。
当初はこの1週間前に訪問しようと考えていたんですが、この企画展があるので延期したんです。

「北斎」といえば「富嶽三十六景」などで知られる「江戸時代」後期に活躍した画家で、発表した作品は3万点超という巨匠です。
「浮世絵」のほか「挿絵」なども手掛けていたようです。
そしてモチーフは少々乱暴な言い方をすれば「何でもアリ」
「風景画」「美人画」はもちろんのこと、だいぶ前ですが「妖怪」の画を掲載していた本を見たことがあります。

とにかく幅広い分野をテーマに絵を描いていた「北斎」。
その中には今日「水族館」で見られる「水の生き物たち」も含まれていました。
さすがに本物の画はありませんでしたが、それを転写(?)したものが展示されています。
「本物」を期待されている方には残念かもしれませんが(いないかな?)、
「水族館」のような場所では展示は難しいでしょうからね(^^;

「すみだと北斎
 引越しした回数は多かれど、ほぼ一生「すみだ」で暮らした北斎。
 むかえる2015年には、すみだ北斎美術館が開館する。
 天才が描き残した、すみだの、江戸の生物たちには、
 すみだを愛し続けた画家だからこそのリアリティがある。
 そんな「すみだの北斎」をすみだ水族館は浮彫りにする。」

※案内板より引用、以下同じ


表紙の写真は、「特別展」入口に掲げられていた垂れ幕です。
「北斎」の絵と「すみだ水族館」のシンボルマークが並んでいました。
会場では絵に描かれた生き物たちが合わせて展示されています。


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「鳥」と「魚」の「デッサン」
絵に添えてある字が達筆すぎて読めないので、これについても説明がほしかったところ。

それはさておき。
「デッサン」へ至る前に描かれたであろうその「線描」は、「骨格や出生を悟った」との記述を体現したもののよう。
すごい観察眼を持っていたんですね!

「北斎と水生生物
 葛飾北斎は75歳の時こう書いた。
 「73歳でようやく動植物の骨格や出生を悟った」と。
 そんな北斎は水生生物をよく描いた。
 そのリアルさは図鑑のようでもあり、同時にユーモアをたたえる。
 天才・北斎をも虜にした水生生物の不思議な魅力。
 今、すみだ水族館はそんな水生生物を科学の目をとおして再発見する。」



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右上から時計回りに「泥鰍」(どじょう)、「鮎」(あゆ)、「白魚」(しらうお)、「鯰」(なまず)。
この中から「ナマズ」と「ドジョウ」が取り上げられています。

「鯰(なまず)
 『三体画譜』(さんていがふ)におさめられたナマズは日本全国に分布するナマズであろう。
 日本では昔からナマズはよく描かれたが、北斎のナマズはかなり写実的で実物に近い。
 特徴的な平たい頭と口のヒゲ、鱗のない体をくねらせて泳ぐさまは観察力もさすがである。
 しかし、目の大きさは実物よりも比較的大きく、愛嬌あるナマズの顔が一層愉快に見えるのは北斎ならでは。」


「泥鰍(どぢやう)
 体をくねらす北斎の「どぢやう」
 ドジョウは鰾(うきぶくろ)が発達していないため、よく体をひねり、
 ヒレを動かして沈まないようにする。
 そんなリアルなドジョウの姿を活写した北斎の画力は圧巻。
 添書も「どぜう」ではなく本来の「どぢやう」と書いた。」



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こちらが本物の「ナマズ」。
絵ではデフォルメされてギョロッとした目になっていますが、実際は意外と小さいです。
口元にある4本のヒゲは正確ですね。

ナマズ@Wiki


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そして本物の「ドジョウ」。
これは「水族館」で見るのは初めてのような気がします。
写真ではよくわかりませんが、口元のヒゲの数は多く10本もあります。

ドジョウ@Wiki


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上の2匹は「鰻」「藻魚」(そうぎょ)?
下の1匹は読めません(^^;

「蛇魚(うなぎ)
 万葉集に見られるほどウナギは日本人にとって馴染み深いパワーフードである。
 北斎も『北斎漫画』などにウナギの絵を残している。
 土用の丑の日を考案したのは平賀源内とする説が有力だが、
 葛飾北斎とも馴染み深い戯作者(げさくしゃ)・太田南畝(おおたなんぽ)が考案したという説もある。」



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本物の「ウナギ」。
「デンキウナギ」の展示はありますが、電気のない「ウナギ」の展示はめずらしいんではないでしょうか。
わたしは少なくとも「水族館」では見たことがありません。


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ディスプレイに表示されていた「北斎」の画で、タイトルは「鰻登り」
「捕まってなるものか!」と手からすり抜けようとする動きをヒントにして描いたんでしょうね。
洒落も利いていて楽しい1品です☆


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続いては海の生き物で、ここから最も近い「江戸前」から。
現在の「東京湾」は埋め立てが進んだため、都心部は海岸からずいぶん離れてしまいました。
ですが当時は目と鼻の先にあり、まさに「江戸前」。
新鮮な魚介は「江戸っ子」の胃袋を満たしたことでしょう。

ここでは手前から順に「メバル」「ヤガラ」「アコウ」(赤魚)が描かれています。
画面上部に見える細長い形をした「ヤガラ」の尾びれは、まるで下を長く伸ばした「ヘビ」のようですね。
実物も尾びれの中心から長く伸びた「鰭条」があるようです。

「江戸前
 『江戸前』とは「東京湾産」の意。
 それは豊かな東京湾の生物と同義で、新鮮で旨い魚の代名詞でもあるのだ。
 そんな江戸前の海に近いすみだでほぼ一生暮らしたのが画家・葛飾北斎。
 北斎もまたたくさんの「江戸前」を描いた。
 北斎が見た江戸前を現代の目で見つめなおす時、新しい江戸前が見えてくる。」


ヤガラ科@Wiki


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「江戸前」の魚介・その2。
右上から「ハゼ」「シャコ」「ボラ」「タイ」「ガザミ」「アナゴ」「タコ」
いずれもリアルに描かれていますが、「タコ」だけは目が強調されてとてもユーモラスです。
現在の「タコ」のイラストの原点だったりして?


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「つながるいのち ~東京湾・東京諸島~」は、まさに「江戸前」の生き物のエリア。
その中から「マハゼ」です。
「ハゼに始まり、ハゼに終わる」という言葉もあるほど「海釣り」ではポピュラーな釣りものなんだそう。
「背びれ」と「尾びれ」に黒い点が並んでいるんですが、この写真では逆に白い点に見えますね。

マハゼ@Wiki


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そしてもはや説明不要の「マダイ」
赤いというイメージがありますが実際には淡いピンクのような色で、上の子のように青い斑点が目立つのもいます。
現在は養殖技術が確立されていて比較的普通に手に入りますが、天然ものはやはり高級です(^^;

マダイ@Wiki


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「いのちのゆりかご・水の恵み ~東京大水槽~」にいる「サメ」「エイ」
でも実物の写真はありません(^^;

右の「サメ」と中央の「エイ」は目がデフォルメされていることをのぞけばかなり正確。
ちゃんと「えら」が「サメ」は体の横に、「エイ」は体の下(裏側)にそれぞれついています。
たまに右のような形をしているのに「エイ」という名前がついている種がありますが、「えら」の場所がちがうんですね。
ちなみに左のは「サメ」というよりは「トカゲ」のようです。
添え書きが読めないのが残念。

「ふか
 フカとは大きなサメの意味。
 森羅万象を画題に選んだ北斎ももちろんフカは描いたが、それは、まるで海の怪物リバイアサンのような
 得体のしれない怪しい魚である。
 北斎がこんな奇怪な魚を描いた理由は今では知る由もない。
 なかなかフカにお目にかかれなかった江戸。
 フカといえば「恐い魚」
 そんな思いで描いたのだろうか。」


「えい
 北斎の描いた迫真のエイの姿。
 鞭のような尾、平たい体、一見すると人のような顔など、卓越した観察眼を持って描いた。
 ちなみに、北斎の三女の名前は「阿栄」(おえい)。
 90歳で北斎が亡くなるまで、父と娘はともに暮らした。
 こちらは魚のエイのように平たくて幅広い顔ではなく、顎の長い顔だったという。」


葛飾 応為@Wiki


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最後は「水豹」(すいひょう)。
これは「アザラシ」のことで、一般的には「海豹」と書きます。
説明にもありますが、「北斎」が実物を見たことがあるかは不明。
でも仮に見たことがあるとすれば文献など、何らかの形で残っていそうな感じがしますけどね。
あるいは「長崎」あたりから入ってきた文献を参考にしたのかもしれません。
前肢がひれのように長いのがちょっと気になりますが(^^;

「水豹(すいひょう)
 北斎が描いた「水豹」。
 水豹とは本来アザラシを意味する。
 しかし、北斎の描いたそれは、脚のつき方や長さ、さらには毛の長さなど、
 その姿形はなんともオットセイに似ているのである。
 ほとんど一生すみだ暮らしだった北斎。
 「水豹」を実際に見たことはあったのだろうか?」



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次回は最終回、ペンギンのエリアです。
by sampo_katze | 2013-08-18 20:30 | 水族館 | Comments(0)


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