戦前に誕生した気動車・電車
名古屋のリニア・鉄道館を訪ねよう!編・第6回


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「SLと客車のハイブリット車」


「車両展示」エリアを再開します。
数多くの車両が展示されていますので、今回は戦前に誕生した車両を紹介します。


表紙の写真は、エリアの右奥に展示されている「ホジ6005形蒸気動車」です。
「蒸気動車」とは聞き慣れない言葉ですが、要するに「蒸気機関車」「客車」と一体化したもの。
動力を内蔵して自走できる「鉄道車両」の最初期のものといえるでしょうか。
この車両は「鉄道省」が導入したもので、「明治村」にて展示されていました。
その後「リニア・鉄道館」の開館に合わせ、整備の上こちらに移設され保存・展示されています。

「明治村」から搬出される様子をレポートした記事を見つけました。
詳しい構造もこちらでご覧いただけます。
なおリンクは(上)のみですが、(中)~(下)までの3編があります。
蒸気動車 JR東海博物館へ。(上)@編集部敬白アーカイブ

「ホジ6005形式蒸気動車 1両だけで走れる、現代の気動車の始祖
 蒸気動車とは、車体の片側に蒸気機関車と同様の走行装置を備え、蒸気機関車と客車の機能を1両に集約して
 1両運転を可能にした車両。
 明治末期からローカル線で使用され、当時は「自働車」と呼ばれていたが、のちに「汽動車」と名称が改められた。
 ホジ6014は1913(大正2)年製。
 「工藤式」と呼ばれる機関走行部の脱着機構を備えた車両で、1943(昭和18)年まで関西本線などで運転された。

 車号  ホジ6014    定員 80名
 製造年 1913(大正2)年  全長 15088mm
 製造所 汽車製造    自重 23.75t

 1.動力源は蒸気機関
   客室内に小さな蒸気機関車を組み込んだ構造
 2.採光用の二重屋根
   屋根を二重にして明かり採りの窓を設置
 3.3等車を示す赤帯
   1等車が白帯、2等車が青帯、3等車が赤帯を表示
 4.両端に運転席を設置
   車体の向きを変えずに折り返し運転が可能な構造
 5.室内照明にランプ灯を使用
   電灯ではなくランプ灯が室内を照らした」

※説明板より引用、以下同じ


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車内にも入れます。
一般的な「通勤形車両」といった風情。
「つり革」が現在のようなものではなく、その名の通り革製の輪っかが吊り下がっているだけというのも注目ですね。



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側面から動力源となる「蒸気機関」を。
「煙突」は屋根に直結しておらず、直上に煙を逃がすためのダクトが取りつけられています。
それがないとどうなるか、あえて説明することもありませんよね?(笑)


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車体側面には「機関室」の文字。
その下の台車には「ロッド」がついていて、「蒸気機関車」の足回りのようです。


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先の説明文にもありましたが、この「蒸気機関」部分は取り外せるようになっているようです。
パネルにその写真がありましたが、小型の「蒸気機関車」がそっくりそのまま入っている感じですね。
当然ですがこれを引き出してしまうと「台車」ももれなくついてくるので、「車体」を支えておかなくてはなりません。


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もう1度車内を。
座席の手すりなどの意匠は凝ったつくりになっています。
そして「座席」の下には何もなし。
最近の車両でも清掃などのメンテナンス簡略化のためにこうした構造になっているのが増えていますね。
たしか「JR209系」が最初と思うんですが。


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天井横には明かり採りの窓があります。
側面の窓はそれほど小さくないですが、やはり車内を明るくしたいという思いがあったのかな?


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外から見るとこんな感じ。
間についている丸い物体はなんだかわかりません。


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「ぶどう色」、通称「チョコレート色」の地味な車体には赤帯が引かれていてアクセントになっています。
もっともこれは「3等車」であることを示したものですが。
合わせて縦に引かれた3本の白帯はローマ数字のⅢを表しており、意味は同じです。
また「1等車」、「2等車」はそれぞれ白、青帯が引かれています。

なお、この帯は「モハ1形電車」(モハ1035)のものです。
外観を撮るのを忘れていましたが・・・・・。

「モハ1形式電車  電車の始祖 大正時代に制作された木造電車
 鉄道省が1921(大正10)年から制作した木製車体の電車。
 それまでの木製電車と違い運転室が仕切り壁にて独立。
 京浜線、中央線などで運転され、通勤電車の標準となった。
 1938(昭和13)年に三信鉄道(さんしんてつどう、現飯田線)、1953(昭和28)年には大井川鉄道に払い下げられ、
 その後1994(平成6)年にJR東海が譲り受け、鉄道省時代の姿に復元した。

 車号  モハ1035    定員 104名
 製造年 1922(大正11)年 全長 16790mm
 製造所 汽車製造    自重 36.14t

 1.木製の車体
   金属加工技術が未発達の時代、車体は木で制作された
 2.独立した運転室と大型の客室扉
   運転室と客室の仕切り壁にガラス窓を設置。スムーズな乗降ができるように大型の扉が片側3か所に設けられた
 3.古典的な二重屋根
   明かりとりの窓を設けるため二重屋根を採用した
 4.3等車を示す赤帯
   車体側面の赤帯は、この車が3等車であることを示した
 5.車体の変形を防ぐトラス棒
   トラス棒のバックルを締めることで、反りが生じる木製車体を正しい形に保つ」



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「モハ1形」の車内。
壁の塗装が明るいものになっているせいか、車内の雰囲気もずいぶん明るく感じます。
座席は「ロングシート」ですが、全体が木製で背面にクッションがありません。
「つり革」がよく見られるタイプに変わっているのはご愛嬌ですね。


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昭和初期生まれの「クモハ12形」(クモハ12041)。
こちらも外観写真がないので車内だけ(^^;
旧型車の割に「扇風機」「蛍光灯」が装備されているのは、「イベント列車」用として復帰した経緯があるためでしょう。

「クモハ12形(クモハ12041号) 直流制御電動車
 昭和元年(1926年)から製造された最初の鋼製国電モハ30形の一員である。
 この車両は、昭和2年(1927年)に、汽車会社でモハ30131号として製造山手線などで使用された。
 昭和28年(1953年)に、形式をモハ11形と改め車号もモハ11047号となった。
 翌29年に運転台を撤去する中間電動車化改造をうけ、モハ10形(モハ10016号)となった。
 昭和39年、浜松工場で職用車(入れ換え牽引用)に改造され、このため両側に運転台が取り付けられた。
 形式はクモヤ22形(クモヤ22112号)となった。
 その後、豊橋機関区で入れ換えや浜松工場への回送牽引等に使用されていたが、
 昭和62年(1987年)JR東海の発足に伴いイベント用の旧形車両として、再び、旅客車用として使用することとなり、
 形式をクモハ12形(クモハ12041号)と改められた。」


国鉄30系電車@Wiki


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「急行」用として登場した「52系電車」
最初に登場した1次車は従来の車両と同様、全体が「ぶどう色」だったそう。
ですがここに保存されている「52004」は2次車で、登場当初からこのツートンカラーでした。
その後1次車もこの新塗装に変えられています。
先頭下部だけでなく側面下部もカバーで覆われていて、高速運転向けに造られているのがわかりますね。

「モハ52形式電車  流線形デザインで一世を風靡
 京阪神間の急行用として、1936(昭和11)年から1937(昭和12)年にかけて12両製造された電車の先頭車。
 車体は当時の世界的な流行となっていた流線形デザインを採用し「流電」(りゅうでん)の愛称でも親しまれた。
 明るいツートンカラー、固定編成での運転も、それまでの国鉄(当時鉄道省)電車の常識をくつがえすものとして
 大きな話題となった。
 晩年は、飯田線で使用していた。

 車号  モハ52004    定員 134名
 製造年 1937(昭和12)年 全長 20000mm
 製造所 川崎車輛    自重 47.9t

 1.流線形の車体デザイン
   製造当時の世界的な流行だったデザインを採用
 2.斬新な塗装
   当時の常識をくつがえした、明るいツートンカラー
 3.床下機器カバーの導入
   走行抵抗を減少させるために機器カバーを取り付け
 4.最新のベアリングを導入
   高速運転を目指し、台車の軸受に当時最新のコロ軸受を採用
 □ 固定編成の採用
   急行用の4両固定編成を前提とした設計」


国鉄52系電車@Wiki


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車内は扉付近のみ「ロングシート」、中央部は「クロスシート」です。
入れるのは扉付近のみなので、別の車端部を見るには車両の反対側にある入口から入る必要があります。
ちょっと面倒ですね(^^;


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非冷房で「扇風機」もないので天井はシンプルです。


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上から。
難しいことを抜きにして、見た目に速そうな感じを受けます。
屋根上に載っている機器も最小限ですし。


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最後は「車両展示」エリアの奥に並ぶ車両群を横から。
ここは中に入ることができないため、車端周辺しか見ることができません。
ただ、不定期に一部の車両を対象に「ガイドツアー」が実施されることもあるよう。
実施時でも先着順になるようですが、運がよければ車内を見学することができるかもしれませんよ。


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次回は、戦後に登場した電車たちを紹介します。
by sampo_katze | 2013-11-18 22:40 | 博物館・美術館 | Comments(0)


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