海のさかな水槽のエリア・その2~ウミヘビ、繁殖、営巣などなど
冬の明石出張でのオフタイム編・第10回


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「海中のピアニスト?」


引き続き「海のさかな水槽」のエリアです。
でもここで「魚類」はちょっとブレイクして、あまり見られない「ウミヘビ」をご紹介。
ここ「須磨海浜水族園」には「ウミヘビ専用水槽」があります。
その名は「Laticauda tank」(ラティコウダ タンク)といいます。
「Laticauda」とは「エラブウミヘビ属」の学名で、それにちなんで名づけられました。

説明では「イイジマウミヘビ」についてふれられていましたが、残念ながらこのときは展示されていませんでした。
また「ウミヘビ」というとその名からずっと海中にいるものと思ってたんですが、種によっては陸に上がるものもいるんだそう。
なんだか不思議な感じです。

「もう一度、海に帰った爬虫類  海中生活に完全に適応したヘビ、イイジマウミヘビ
 ウミヘビは大きく2つのグループに分かれます。陸に上がれるグループと上がることのできないグループです。
 イイジマウミヘビは陸に上がることができません。一生を海中で過ごすために、直接子どもを海中で産むようになりました。
 泳いだり潜ったりするのはとても上手ですが、陸上ではふつうのヘビのようには動けません。」

※説明板より引用、以下同じ


表紙の写真は、白と黒がきれいなしま模様を描いている「クロボシウミヘビ」です。
体の上半分の黒いラインは太くなっているので、まるで「ピアノ」の鍵盤のようです。
このように見た目はかわいらしいですが、気性は荒く毒もあるので危険な種なんだそう。

「クロボシウミヘビ  Hydrophis ornatus meresinensis
 琉球列島沿岸;ペルシャ湾~インドネシア
 黒帯は背から腹にかけて細くなり、途中で途切れることもある。頭部は比較的大きい。
 非常に気性が荒く、日本近海では最も危険な種である。」



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砂底に体を横たえ、頭を持ち上げたところ。
顔はとても小さく、尾の方はやや平たくなっているのがわかります。
水中生活に適応するために「ひれ」のような形になっているんですね。
その向きは「魚類」と同じように縦長になっていて、体をくねらせるようにして泳ぎます。


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おとなりには「エラブウミヘビ」がいます。
こちらは陸上にも上がれる水陸両用タイプ。
あまりはっきりと姿が見えなかったのがちょっと残念です。

「もう一度、海に帰った爬虫類  陸から海に出てはみたが、卵は陸で産むエラブウミヘビ
 エラブウミヘビの仲間は、いつも海にいますが、陸上に上がって休息したり、産卵したりするため、お腹にある鱗は大きく、
 陸上のヘビと同じように発達しています。
 コブラの仲間ですが、穴に隠れた小魚をおもに食べるので、性格は穏やかで、毒牙も小さくなっています。
 中には毒を失った種類もいます。」



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「タツノオトシゴ」の一種の「ポットベリーシーホース」
この仲間はお腹の形状から、比較的簡単に雌雄の区別をつけることができます。
こちらはお腹の側面に小さな突起が並んでいるのでメスのようです。

「行動の分化(繁殖) 雄が子供を産む?魚
 タツノオトシゴの仲間のオスの尻尾の腹面には、種ごとに異なる形をした、育児嚢(いくじのう)とよばれる袋があります。
 このため、タツノオトシゴの仲間は、育児嚢が有るか無いかで雌雄を見分けることができます。
 タツノオトシゴのメスは育児嚢の中に産卵します。オスは卵がふ化するまで守り、稚魚がふ化すると
 体をくの字に折り曲げるようにして、袋から産み出します。」


「ポットベリーシーホース  Hippocampus abdominalis  Pot-belly seahorse,Big-belly seahorse
 オーストラリア南東部、ニュージーランド。
 沿岸の岩礁や藻場に生息する。動物プランクトン、小型の甲殻類などを食べる。種名のとおり大きなお腹が特徴。」



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白っぽい個体。
こちらもお腹の形からしてメスですね。


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海草にしっぽをからませて並んで休んでいる2匹。
お腹が丸っこいこちらがオスです。
もちろん「メタボ」だからというわけではありません(^^;


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続いては巣をつくる魚の中から、海底に穴を掘って巣をつくる「イエローヘッドジョーフィッシュ」
目つきはやや鋭いですが、とてもきれいな体色をしているので目を引きます。
ほかの場所で何度か見たことがありましたが、巣穴から顔を出しているだけだったので全身を見るのはこれが初。
また卵を口にくわえて保護する性質があるようです。
過去に近縁種の「ファインスポッテッドジョーフィッシュ」が抱卵(?)しているのを見たことがあります。

「行動の分化(巣を作る①)  巣穴をつくるジョーフィッシュ
 アゴアマダイ科の魚は、大きな口(あご)をしているため、英語名をジョーフィッシュ(Jawfish)といいます。
 このなかまは、その大きな口で砂に穴を掘り、小さな石をくわえてきて、穴のまわりを井戸のように強くして、
 りっぱな巣穴をつくります。そして、巣穴からあまり遠くへいかず、危険が近づくとすぐににげこみます。」


「イエローヘッドジョーフィッシュ  Opistognathus aurifrons  Yellow-head jawfish
 フロリダ半島~西部大西洋
 大きな口で砂に穴を掘り、小石をくわえてきて、穴を補強して巣をつくる。巣の周辺を立ち泳ぎする。」


「ファインスポッテッドジョーフィッシュ」の抱卵の様子はこちら(記事の後ろの方にあります)
2009年10月24日の記事 変装名人の魚たち


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巣穴の断面はこんな感じ。
入り口は狭く、奥は広くなっていて快適に(?)すごせるようになっているようです。
それにしてもこんなに見事な巣をつくれるなんて、器用なんですね~(^^)



次は「性転換」をおこなう魚たちです。
ここではメスからオスへと転換する「雌性先熟」タイプを3種取り上げます。

「魚類の性転換  性転換するわけ(雄または雌が先だと有利)
 魚類の性転換は、その転換方向に従って①メスからオスへ変わる「雌性先熟」、②オスからメスへ変わる「雄性先熟」、
 および③社会的地位の変化に応じてオスからメス、メスからオスへといずれの方向にも変わることができる
 「双方向性転換」があります。
 どの方法もその魚にとって最も効率よく、有利に子孫を残すために進化した結果、このようになったと考えられています。
  雌性先熟 ・・・ サクラダイ、クエ、キュウセンなど
  雄性先熟 ・・・ カクレクマノミ、クロダイなど」



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「サクラダイ」のオス。
メスは全体が赤いですが、オスはこのように体に白い斑紋が入ります。

「サクラダイ  Sacura margaritacea
 相模湾~長崎、八丈島、台湾の沿岸岩礁域に群れで生息する。
 オスの背びれの第3棘(きょく)がのび、体側に真珠色に輝く斑紋がある。
 メスの体色は一様に橙黄色で、背びれに黒色斑がある。
 メスからオスに性転換をおこなう雌性先熟雌雄同体。」



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「スミレナガハナダイ」のオス。
体の側面に四角い紫の模様が入っていることで見分けることができます。
やや輪郭が不鮮明に見えるので転換してまだ間もないのかな?

「スミレナガハナダイ  Pseudanthias pleurotaenia   Square-spot fairy basslet
 琉球列島;中・西部大西洋域。
 雌性先熟雌雄同体魚。オスの体色は濃いピンク色で、体側に特徴的な紫色の四角形の斑紋がある。
 メスは一様にオレンジ色で、目から体側に及ぶ2本の縦帯がある。」



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水槽の隅っこの方にいた「クダゴンベ」
体に入った模様がかわいらしいです。
こちらは説明がなかったんですが、後で調べてみると「雌性先熟」タイプの「性転換」を行うことがわかりました。



続いては「片利共生」
「共生」というとお互いが利するような関係を考えますが、中には片方だけが利するような関係もあるんです。


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「ウニ」の仲間ではもっとも長い棘をもつ「ガンガゼ」
その棘だけでも脅威ですが、そこに毒を宿らせているというのですからやっかい!
でもそれを逆手にとって、隠れ蓑にしている生きものがいるんですよ。
ここにはそのうちの1種「ハシナガウバウオ」がいましたが、撮れずじまいでした(^^;

「片利共生  ガンガゼを利用して身を守る魚たち」

「ガンガゼ  Diadema setosum  Hatpin urchin
 本州中部以南;インド洋~西部太平洋。
 温・熱帯系の代表的なウニで、サンゴ礁や岩礁にすんでいる。長いとげを、たえず動かしている。

 ハシナガウバウオ  Diademichthys lineatus Urchin clingfish
 ガンガゼの棘の間を遊泳して身を守る。水中のプランクトンのほか、ガンガゼや二枚貝もつついて食べる。
 暗くなると、お腹にある小さな吸盤でガンガゼの棘に吸いついて眠る。」



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同じ水槽にいた「ヤマブキハゼ」
ここにはいませんでしたが「テッポウエビ」などと共生しています。
こちらの組み合わせは「相利共生」といって、お互い利がある関係。
「ヤマブキハゼ」は「テッポウエビ」が作った巣穴に住むんですが、その代わりに視力の弱い「テッポウエビ」のため
外敵が近づいてきたときにそれを知らせるボディガードのような役割をしています。

「ヤマブキガゼ  Amblyeleotris guttata  Spotted prawn-goby
 高知県、沖縄県~西表島;台湾、オーストラリア北西岸、西太平洋。
 サンゴ礁域の砂底に生息。体にやまぶき色の小さな斑点がある。テッポウエビ類が掘った穴に住んで共同生活をする。」



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最後は白黒の「チンアナゴ」
頭の後ろに大き目の黒い点が2つ入り、全体には小さな点が散りばめられています。
砂から顔を出してゆらゆらと揺らめく姿はたいていどこでも見られますね。
たいてい色鮮やかな「ニシキアナゴ」とセットでいることが多く、こちらでもそうでした。
が、あまりに定番すぎるので今回はカットです(^^;

「行動の分化(巣を作る②)  砂から出たがらない魚
 ガーデンイールの仲間は、稚魚の時は浮遊生活を送りますが、成長して底生生活を始めると、
 しっぽの方から砂に潜り込み、めったに砂から全身を出すことはありません。」


「チンアナゴ  Heteroconger h'assi  Garden eel|
 琉球列島;インド洋、西太平洋。
 流れの強いサンゴ礁域の砂底に、尾から潜り込み、体の前の方を出して、群ですむ。
 主にプランクトンを食べる。」


「ニシキアナゴ  Gorgasia preclara  Splendid garden eel|
 奄美大島、琉球列島;インド洋、西太平洋。
 サンゴ礁域の水深30m以深で流れの強い砂底に生息する。全長約40cm。」



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そしてこれが「チンアナゴ」の全身像。
めったに穴から出てこないんですが、やや不鮮明ながらも泳いでいる様子を撮ることができました。
こうしてみると穴の中に隠されている体は、実は相当長いということがわかります。


すべて D700+24-120mmF4G/VR


次回は、干潟の生きものほかです。
by sampo_katze | 2015-04-24 21:00 | 水族館 | Comments(0)


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