干潟から深海+カンブリア進化の大爆発のエリア
冬の明石出張でのオフタイム編・第11回


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「ニョキッと伸びたお目目」


今回の最初のエリアは、「干潟の生物」です。
「干潟」(ひがた)とはすごく簡単に言うと、潮が引いたときに現れるある程度広い「砂地」「泥地」のこと。
もちろんある程度は面積が必要で、「環境省」では
「干出幅100m以上、干出面積が1ha 以上、移動しやすい基底(砂,礫,砂泥,泥)」
と定義しています。
「ムツゴロウ」が棲む「有明海」が有名ですね。

かつて国内にも数多くの「干潟」がありましたが、開発による干拓や埋め立てでその姿を消してきました。
ですが多様な生きものたち、「渡り鳥」の中継地としての役割、水質浄化作用などはたらきが見直され
保護されたり、人工で「干潟」を造る試みがされたりしています。

自然界では日に2回「満潮」「干潮」があり、日によってその干満差にちがいがあります。
ここでは展示の関係上、昼間(=開館時間帯?)は「干潮」で夜間は「満潮」となるように調節しているそう。
たしかに「満潮」になると水面に生きものが隠れてしまって何も見えなくなってしまいますね(^^;

「干潟の生物
 潮がひくとあらわれる泥地の干潟は、えさはたくさんありますが、温度や塩分濃度などの変化がはげしく、
 生物が生きていくには、きびしい条件の場所です。
 とくに、この水そうで展示している、トビハゼやムツゴロウのように、泥の表面に巣穴をつくり、干潟の表面で
 えさをあさるものにとっては、きびしい場所です。
 夏の高温と乾燥、冬の低温と凍結、河口の干潟では、淡水の流入による塩分濃度の低下などにたえられるものしか
 生きていけません。そのため、干潟にすんでいる生物の種類は海の中とくらべると少ないのです。
 種類は多くありませんが、びっくるするほどの数の生物がゆたかなえさを食べてくらしています。
 なお、自然の干潟は、1日に干潮と満潮が、2回づつあるのがふつうですが、この水そうでは、
 昼が干潮、夜が満潮になるようにしています。」



表紙の写真は、特徴的な外見の「ヤマトオサガニ」です。
なんといっても目を引くのが「潜望鏡」のように長く伸びた目です。
潮が満ちてきても水面上にニョキッと目を出しておき、外敵の接近を察知するなどに役立つんでしょうね。

「ヤマトオサガニ  Macrophthalmus japonicus
 青森県以南~沖縄;韓国南部、中国、台湾、シンガポール
 汽水域の軟泥の干潟に枝分かれした穴を掘ってすんでいる。餌は砂泥中の微小藻類や有機物。
 潜望鏡のように長い目が特徴。」


干潟@Wiki


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片方の「はさみ脚」が極端に大きい「ハクセンシオマネキ」
はさみの刃にあたる部分だけでも体の幅と同じくらいの長さで、全体では2倍近くはありそうです。
潮が引いていると「はさみ脚」を振り上げるのですが、その様子が潮が満ちるのを呼んでいるように見えることから
「潮招き」「シオマネキ」となりました。
かなり小さいので撮るのはちょっと大変でした(^^;

「ハクセンシオマネキ  Uca lactea
 伊勢湾以南~九州;韓国、中国、台湾。
 生息地によっては多数が群生する。内湾の砂泥干潟に巣穴を形成する。
 巣穴の周囲には泥団子が見られる。名前の由来は、白いはさみ脚を白い扇子を振り上げるように見えるため。
 寿命は5年程(最大7年の記録有)」



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続いては「干潟」から離れて海中へ。
「干潟」のエリアには「トビハゼ」もいたんですが、これまたうまく撮れなかったもので(^^;

こちらは自ら「巣穴を作る魚」の1種の「アカアマダイ」です。
前回も「イエローヘッドジョーフィッシュ」が小石も使って器用に、そして見事な巣穴を作ること紹介しましたが
このように自らの手で巣穴を作るのはかなりの少数派かと。

外見的には目の上にやや太めの黒いラインが入っているのが特徴的。
思わず「巨人の星」「星飛雄馬」が頭に浮かびました(笑)

「巣穴を作る魚  自分で巣穴を作ります
 魚の中には巣穴を利用する習性を持った種類がいます。自然にできた穴や岩陰、ほかの生物が作った巣穴を
 自分たちの巣穴として利用することがあります。ただし自ら巣穴を作る魚は限られてきます。
 日本近海に生息するアカアマダイは自ら巣穴を作るタイプです。
 砂泥域に巣穴を作り、なわばりを持ちます。日中は巣穴周辺で活動し、夜には巣穴の中へと戻っていきます。
 まさにヒトの家の様に巣穴を利用しています。」


「アカアマダイ  Branchiostegus japonicus
 東北地方を除く日本沿岸;中国沿岸
 全長40~50cmに成長し、ゴカイやエビなどの底生動物を餌とする。
 やや深い水深20~150cmほどの砂泥域に巣穴を作って生息する。」



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深海にすむ生きものからは「タカアシガニ」を。
照明が赤い光なので少々目がチカチカしますね(^^;
なんでこんな色なんだろう?と、ちょっと疑問に感じてしまいます。
左下には「ユメカサゴ」「イズカサゴ」がいましたが、暗すぎたのでこちらも断念。

「深海の生きもの  世界最大のカニ、タカアシガニ
 Macrocheira kaempferi  Giant spider crab
 深さ50~300mの深い海にすむ世界最大のカニで、日本にしかすんでいません。オスのはさみのあるあしは、
 ほかのあしにくらべてずっと長く、ひろげると3mにもなります。深い海で、長いあしをふんばり、
 甲(こう)を高く持ちあげているタカアシガニを想像してください。
 3月ごろ、タカアシガニは、産卵のため、浅い所へうつります。ここにいるカニは、そのころにつかまえたものです。
 あしにはほとんど身がなく、食べるところの少ないカニです。現在では、たくさんとりすぎたため、
 すっかり数がへってしまいました。」



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そして冷たい海にすむ「オオカミウオ」
強力な歯を持っていて、硬い殻を持つ貝類もバリバリとかみ砕いて食べてしまいます。
いかつい顔がトレードマーク(?)なんですが、今回は後ろ姿のみ。
実は意外と長身なんですよね。

「冷たい海の魚  犬歯と臼歯、硬い貝でもなんのその
 北の海には、低い水温がすきないろんな魚がすんでいます。体の色の地味な魚が多く、赤い色をしたアツモリウオをのぞけば、
 ほどんど黒か灰色の魚ばかりといってよいほどです。赤、青、黄とあざやかな色でかざりたてた魚の多い、
 あたたかい南の海とはとてもちがいます。
 当園では、アツモリウオ、オオカミウオなど、いつも何種か、北の海の魚を飼育していますが、
 冷却装置で水温を下げなければなりません。中には、夏でも10℃前後でないとかえないものがあります。」


「オオカミウオ  Anarhichas orientalis  Bering wolffish; Pacific wolffish
 北海道;~オホーツク海、ベーリング海。
 水深50~100mの岩場の海底近くにすむ。両あごの前端にある鋭い犬歯と、奥にある臼歯で、貝類、甲殻類などを食べる。」




ここからは「カンブリア進化の大爆発」のエリアです。
6億年前に起こったといわれる生きものたちの急激な進化。
もちろん一朝一夕で変化したわけではありませんが、地球誕生から46億年という長いスパンと比較すると
まさに「爆発」といっていいほどの変貌だったんでしょう。

「カンブリア進化の大爆発  The Cambrian Tanks
 地球が誕生して46億年。全く生命がいなかった地球に、RNAやDNAが生じ、偶然の連続で生命が生まれます。
 最初はバクテリアしかいませんでしたが、6億年前、生物はまるで爆発するように、急速に進化を始めます。
 単細胞から多細胞になり、大きくなるとともに、様々な形に進化したのです。クラゲ、ウニ、イカにゴカイ、
 今の海の中には、その頃に誕生した生き物がたくさん生き残っています。ここで、生物進化の大爆発を感じてください。」


カンブリア爆発@Wiki


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まずは「刺胞動物」(しほうどうぶつ)。
「刺胞」と呼ばれる針のような小さな器官がある「細胞」を持つことがその名の由来。
「クラゲ」「イソギンチャク」が代表的ですね。

「初めて感じるようになった動物(刺胞動物)
 刺胞動物(クラゲ、イソギンチャク、サンゴ、ウミエラなど)はカイメンより進化し、
 組織・器官の分化が見られます。この水槽は、八放(はっぽう)サンゴの仲間では唯一移動する能力を持ち、
 砂地に生息しているウミエラ、ウミサボテンの仲間を展示しています。」


これは「ウミサボテン」
海中に生えるトゲトゲの姿からその名がついたようですが、「サボテン」は植物なんですよね(^^;
「ムーミン」に出てくる「ニョロニョロ」のようにも見えます。


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「脊索動物」(せきさくどうぶつ)の「マボヤ」
大きめの管のようなものが2本出ていますが、これは海水を取り込む「入水孔」と出口の「出水孔」です。

「背骨のもとを持った動物(原索・脊索動物)
 脊索(せきさく)という"魔法の棒"を手に入れたことで、神経が発達し、脊髄(せきずい)ができました。
 俊敏に反応し、動くことが可能になったのです。ただし、幼生の時だけ泳いで、後は岩などにくっついて殻を作り、
 そこで一生を過ごす生き方を選んだ仲間がこの水槽にいるホヤです。」



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ガラスに張りついた「ナマコ」「ヒトデ」
これらは「棘皮動物」(きょくひどうぶつ)という仲間です。
小さな吸盤がついたような器官、「管足」(かんそく)をもっているのでこのように壁も簡単に登れます。
生きるためにエサを求めて動き回る手段を手に入れたんですね。

「初めての足は管足 五角形に進化した動物(棘皮動物)
 棘皮動物(きょくひどうぶつ)は体の表面を殻で覆い、頑丈で大型の体を持つことができました。しかし、水中に漂う
 細かな餌を集めるには、効率があまりよくありません。そこで体の中に水管系という器官を作り、殻の外まで伸ばしました。
 管足です。これで、流れてくる餌をひっかけ、どんどん口に運ぶことができるようになりました。

 じっとして餌が来るのを待つ生き方は楽なのですが、餌がやって来ないと飢えてしまいます。そこで餌を取る以外に、
 歩くためにも管足を使うようになりました。自分の思う方向へ、餌をさがして動き回ることができるようになったのです。
 管足の先端を吸盤にし、垂直な壁でも登れるようになりました。」



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そこに同居していた「エイ」の一種の「メガネカスベ」

これとそっくりにシルエットをした「サメ」の仲間がいますが、見分け方は意外と簡単。
それは「えら」がある場所です。
体の横についているのが「サメ」、体の下についているのが「エイ」。
この「メガネカスベ」はこちら側から「えら」が見えないので「エイ」とわかります。
ちなみに「エイ」の仲間なのに「サメ」と名がつく「シノノメサカタザメ」がいて、ちょっとまぎらわしいですね(^^;
もちろんこの種も「えら」は体の下にあります。


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同じように底にいたのが「ヌマガレイ」「ホタテ」
どちらも扁平な外観をしているところが共通してます。
って、ちょっと強引?

余談ですが「カレイ」「ヒラメ」も産まれたときはこのような姿ではありません。
意外にも(?)幼魚のときは普通の魚と同じで、成長するにしたがってこの特徴ある姿に変わっていくんだそう。
底の方で生活するのに適した体形に変化していく進化の過程が見られるような感じですね。
なかなか幼魚の姿を見ることはないので、1度見てみたいものです。

カレイ
ヒラメ
いずれも@Wiki


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「ヌマガレイ」の顔のアップ。
よく「左ヒラメに右カレイ」と言われますが、これは目を上にして並べたとき顔が向く方向で見分けようというもの。
あるいは口の方から眺めたときに目がどちら側についているかでも可ですね。
ですが、この「ヌマガレイ」はその法則に反して左に目がついています。
実はこの言葉は正確に両者を見分けることができるものではないんだそう。

ではちがいはどうやって見分けるの?ということなんですが、それは口の形のちがい。
それぞれの食性のちがいによるもので、確かに言われてみるとかなりちがいがありました。
でも説明すると長くなるので、詳しくは「カレイ ヒラメ 見分け」で検索してみてください(^^;


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比較的大型の「二枚貝」の一種である「タイラギ」
縦に刺さった状態になっていますが、これが通常の姿勢なんだそう。
その姿から「タチガイ」という別名を持っています。
大型でありながら、基本的に食べるのは「貝柱」だけで、「ホタテ」の代用になることもあるんだそう。



続いては「軟体・節足動物」の中から「イカ」の仲間をいくつか。
食材としてもなじみ深い「イカ」ですが、高度な能力を有していることはあまり知られていないかも?

「軟体・節足動物の大爆発(頭足類、節足動物)
 重たい殻を持つことをやめたイカ類は、優れた遊泳能力を手に入れました。また、透明な種や、周囲に合わせて体色を
 変化させる種など、多様に分化しました。またイカ類は無脊椎動物でもっとも優れた視力と、発達した目の構造をしています。
 海中に豊富なカルシウムを取り込んで、作った殻で全身を覆ったのが節足動物です。軽くて丈夫な外骨格を活かして、
 あらゆる環境に進出し、動物の中で最も多様に分化していきました。」



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最初は「アオリイカ」
「アオリ」とは「馬具」(ばぐ)の一種で、「鞍」の下に垂らして泥除けなどに使うもの。
漢字では「障泥」と書きます。
ひれがこの「アオリ」に似ていることからその名がつけられていて、その味はかなり美味とのこと。

「驚異の成長スピード
  アオリイカは春から夏の間に産まれます。孵化した頃はわずか平均5.6mm(0.037g)ほど。
  その後、秋から冬にかけて、オスで胴長24cm(640g)、メスで20cm(420g)ほどまで成長する。
  そして、1年後にはオスは27cm(860g)、メスが24cm(670g)まで成長し、中には1kg、2kgまで
  達する個体もみられる。このように、急速に成長するアオリイカだが、その一生はわずか1年と儚いものである。

 魚より優れた視力
  イカの眼は、魚と同じようにレンズ(水晶体)を取り囲むように網膜が配置されているカメラ眼(水晶体眼)として進化した。
  イカの眼は軟体動物の中でも最も水中に適した眼である。最近の研究結果ではアオリイカの視力は
  0.63であることが明らかとなった。魚を上回る優れた視力を持つことにより、魚に気づかれる前に死角に回り込めるのだ。
  どこまで見える? 餌が6cmなら約66m
  魚類の視力 マハタ:0.24  マダイ:0.16  マアジ・カサゴ:0.15  メジナ・マサバ:0.13  ブリ・スズキ:0.11

 音を頼りに餌・敵を探知
  振動を感じる側線器様の感覚器は背側に位置する腕の付け根から後方部にかけて存在する。
  アオリイカ(台湾産)は400~1,500ヘルツの可聴周域を持っていて、最も感度が高いのは600ヘルツ(110デシベル)で
  あることが示唆された研究結果がある。これらの周波数の音は側線器ではなく、人では耳に相当する平衡器で
  感知されていると考えられている。
  また、アオリイカの可聴域は、一般的な魚の可聴域50~1,000より高い。これは、外敵となる
  イルカなどが発する音(1,000~2,000ヘルツ)を感知するためだと考えられている。」



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波形の目をした「コウイカ」
別名「スミイカ」とも呼ばれますが、これは大量の「墨」を持つことからきているようです。
かつては「セピア」という名で染料として使われていましたが、現在は人工染料に代わっています。


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かなり小型の「ミミイカ」
砂粒を体につけることで擬態をしているようです。


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「節足動物」からは「天然記念物」「カブトガニ」を。
甲羅の上から眺めることがほとんどですが、この子は水中を自由気ままに泳ぎ回っていました。
おかげで普段は見られない裏側の様子を見ることができました。
少々グロい雰囲気もなくはないですが(^^;

「節足動物の大爆発(節足動物)
 節足動物は軽くて丈夫な外骨格を活かして、あらゆる環境に進出し、動物の中で最も多様に分化していきました。
 その中でもカブトガニの仲間は、古生代に現生種に近い形のものが誕生してから、形や暮らし方をほとんど変えることなく
 生き残ってきました。」



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「カブトガニ」の眼は背中側のここにあります。
場所はちょっと意外でしたが、3つ目だったということにはおどろき。


すべて D700+24-120mmF4G/VR


次回は水族館部の最終回、アマゾン館です。
by sampo_katze | 2015-04-26 20:45 | 水族館 | Comments(0)


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