特殊な生息環境を再現している深海Ⅰゾーン
新江ノ島水族館に行こう!編・第8回


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「高麗人参酒?」


最初から続いていた1つ目の「相模湾ゾーン」もようやく終わり、次の「深海Ⅰ」へと進みます。
ここはサブタイトルに「JAMSTECとの共同研究」(国立研究開発法人海洋研究開発機構)とあるように、
深海の生きものの展示とともに、「JAMSTEC」と共同で不明な点の多い深海の生きものたちの生態などを研究しています。

「深海Ⅰ ~JAMSTECとの共同研究~
 深海とは一般的に水深200m以深の海をさします。暗闇と低水温、高水圧の世界。
 極限環境にすむ生き物たちは、それぞれ独自の進化を遂げて過酷な環境に適応してきました。
 その生態を知ることは、命の可能性を知ることにつながっていくはずです。
 ここでは深海生物の長期飼育法に関する研究のようすを公開しています。」

※説明板より引用、以下同じ


表紙の写真は、ゾーンの入り口に展示されていた「チョウチンアンコウ」です。
これまで図鑑でしか見たことがなかったので、ホルマリン?につかっているとはいえ実物を見るのは初めてです。
その様子はまるで「高麗人参酒」のよう。
トレードマークのふさ=「誘引突起」は根のようですし、下半分にちらほら見られるくぼみや肌の質感などなど。
色合いは照明そのまんまなんですが、これもその印象をより強くしていますね(^^;
ちなみにこの個体は1967年2月に「鎌倉」の海岸に打ち上げられていたものだそう。
その後8日間という短い間でしたが飼育観察がなされ、「誘引突起」から発光液を出す様子が世界で初めて観察されました。
現場に説明がなかった(と思う)ので、そんな貴重なものとはつゆ知らず・・・・・。


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当たり前ですが水にも重さがあるので、水に潜るとその重さによる水圧がかかります。
その深さが大きくなればなるほど、かかる水圧も大きくなっていきます。
でもその大きさがどれくらいなのかを実感するのは難しいですよね。
そこで身近なものに水深6500mと同じ水圧をかけるとどうなるか、そのビフォー&アフターを展示していました。
これは圧力をかける前のものです。
それが一体どうなってしまうかというと・・・・・?

「深海ではこうなる
 水の中は、深くなればなるほど、「圧力」がかかります。
 カップめん容器展示にて水圧について解説していますが 全てのものが水圧によってつぶれるわけではありません。
 つぶれる理由、つぶれない理由はなんでしょうか?
 ここでは、身近な物に水深6500mと同じ水圧をかけてみました。見比べてみましょう。」



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で、こちらは圧力をかけた後。
ほとんどのものはつぶれ、「ガチャガチャ」のケースは割れて中味が飛び出しています。
そんな中、「サクマ式ドロップス」の缶だけは比較的原形を保っているようですね。

なお、「えのすい」の好奇心旺盛な(?)スタッフは食べ物についても検証してみたとのこと。
その結果は次の通り。

「ちなみに食べ物では以下のようになります。
 メロンパン → ぺちゃんこ。ちょっと油っこい。
 ピーマン → 水が入る。マラカス状態。
 ポン菓子 → 化石状態に・・・。堅い。
 スイカ・バナナ → ちょっとヒビが入る。味は水っぽい。
 とうふ・ツナ缶・サラミ・ようかん → 形も味も変わらず。」


食べてみたんかい!と思わずツッコんでしまいそうですが(笑)
それにしても「とうふ」が変わらないというのはちょっと意外な感じがしました。
水分を多く含んでいる上、中に空気がほとんどないということなんでしょうか。



さて、ここからは深海に生息する生きものたちを紹介していきます。
深海には「熱水噴出孔」と呼ばれる、地熱で熱せられた高温の水が噴き出す場所が多くあります。
その温度は水圧や塩分などの影響により、沸点を超える数百度にも達するんだそう。
そんな過酷な環境下でも生息している生き物がいるんですね。


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まずは白い体をした「ユノハナガニ」
見た目が「湯の花」に見えることからつけられたとのことですが、その生息環境も関係していそうです。

「熱水生物群集の生き物
 温泉をこよなく愛するカニ  ユノハナガニ

 深海の温泉(熱水噴出域)だけにすむ、眼がほぼ退化したカニ。
 温かい所が好きで、特に背中を暖めるの大好きです。
 和名は、その体が白いところから温泉で見られる「湯の花」にちなんで付けられました。

 学名:Gandalfus yunohana
 調査域:マリアナトラフ・日光海山・水曜海山・明神海丘
 利用機器:海洋調査船・なつしま、無人探査機・ハイパードルフィン
 JAMSTECとの共同研究「深海生物の長期飼育技術開発」のもと調査採集されています。」



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白いふわふわをまとった「サツマハオリムシ」
体内に細菌などを共生させてエネルギーを作り出させ、それを補助的な糧として生きている生きものはいますが
こちらはエネルギー補給を完全にゆだねてしまうという特別な仕組みを持った生きものです。

「熱水生物群集の生き物
 食べることをやめた動物  サツマハオリムシ

 口や胃腸・お尻の穴がないので、物を食べることはできません。
 熱水噴出口から湧き出る毒ガス(硫化水素)を吸って、体の中に共生している化学合成細菌にエネルギーを作らせて、
 それを利用して生きています。

 学名:Lamellibrachia satsuma
 調査域:マリアナトラフ・日光海山 水深460m
 利用機器:海洋調査船・なつしま、無人探査機・ハイパードルフィン
 JAMSTECとの共同研究「深海生物の長期飼育技術開発」のもと調査採集されています。」



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パネルに載っていた「サツマハオリムシ」のアップ。
管の先端からこの触手のようなものを出し、そこから「硫化水素」を吸い込んでいるんだそう。
ほとんどの生きものにとって毒となるものを生きるためのエネルギーに変えてしまうというのはすごいことですね。


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「タンポポ」の綿毛のようなのは「ネッスイハナカゴ属の一種」
説明にあるように、1億5千万年前に絶滅したと考えられていた生きものですが20世紀末に発見されたとのこと。
生物界の「カムバック賞」といったところでしょうか。
深海にはまだまだそのような境遇の生きものが隠れているのかもしれませんね。

「熱水生物群集の生き物
 1億5千万年のときを越えて  ネッスイハナカゴ属の一種

 とても原始的なフジツボの仲間です。"1.5億年前(ジュラ紀)に現れ、1500万年前に絶滅した"と考えられていましたが、
 1990年代に深海の熱水噴出域で発見され研究者を驚かせました。エサの豊富な浅い海での生存競争に敗れ、
 深海の熱水域に逃れ適応したことで生き残ったと考えられています。

 2004年から飼育研究を始めて2014年にようやく状態良く飼育する方法を発見し、1年を越える飼育に成功しました。
 現在は長期飼育を目指し、深海で食べていると考えられている細菌を水槽内で増やし与える研究を行っています。

 学名:Neoverruca sp.
 調査域:伊豆・小笠原弧 明神海丘
 水深:1,182m」



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「硫化水素」をもとにして生きる糧を得ている生きものたち。
それを飼育、観察するためのシステムが紹介されていました。
不明な点が多い特殊な環境下で生活する生きものに対するだけに、確立するまでの苦労は大変なものでしょう。

「化学合成生態系を再現する技術
 特殊な化学合成生態系の生物の飼育は、これまでの飼育方法の常識は通用しません。
 化学合成生態系を再現するために、このような課題を乗り越えました。

 この小さな水槽にも多くの技術で環境を造り上げています。」



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ここからは普通の(?)深海の生きものたちを紹介していきます。
まずは大きく飛び出したお目目が特徴の「ベニテグリ」
「ハゼ」のようなシルエットですが、「ネズッポ科」という近縁種にあたるそう。


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水槽が2面になっていて、正面からも見られたのでお約束の1枚。
横からではわかりませんでしたが、意外とぽっちゃりしているんですね(^^)


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お次は寿司ネタでもおなじみの「ボタンエビ」
なかなか生きている姿を見ることがないので、ある意味貴重かも?
さらに見ていると、このように尻尾を高く上げてくれるというサービス?もしてくれました。
「タラバエビ科」の仲間で、その由来は「タラバガニ」と同じく「タラ」の漁場で多く獲れることから。
「アマエビ」の名で知られる「ホッコクアカエビ」も同属です。


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真ん丸なシルエットを持つ「ホテイウオ」
名前の由来はいうまでもなく「七福神」「布袋」(ほてい)で、見たまんまですね(^^;


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こちらも水槽が2面だったので正面顔を撮ることができました。
胸びれを動かしているその姿が何ともユーモラスに見えたのでGIFにしてみたり。


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こちらもユーモラスな姿では負けていない「メンダコ」
といっても展示されていたのはホルマリン漬けだったので、パネルの写真ですが(^^;
「タコ」の仲間なのに耳がついているのが特徴、そしてかわいらしさを倍増させています。
この耳をパタパタと動かしながら泳ぐんだそうで、それがどんな様子なのかを見たかったですね~。

「メンダコ
 学名:Opishoteuthis depressa
 軟体動物門 頭足綱 八腕形目(はちわんけいもく) メンダコ科

 つぶらな瞳と小さな耳を持つ深海性のタコ。耳をパタパタさせながらパコパコ泳ぎます。
 駿河湾の水深300mで採集されました。
 駿河湾では、秋になると深海魚や深海のエビ類を獲るために、翌年の春まで底曳網漁(そこびきあみりょう)が行われます。
 メンダコは、その底曳網漁に混獲されます。
 飼育がとても難しく、1ヶ月以上飼育できた例はほとんどないためその生態については謎ばかりです。
 えのすいでは2013年に22日間の飼育に成功し、さらには餌を食べている様子の記録に成功しました。
 2014年では21日間、2015年には44日間と48日間の飼育を行いました。
 えのすいのメンダコの生態解明への挑戦は、まだまだ続きます。

 展示しているメンダコは、2013年2月14日~3月8日(22日間)飼育した個体です。」



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そして深海の隠れた人気者?の「ダイオウグソクムシ」
ガラス面近くにいてくれたので、手前に500円玉を置いて大きさ比較をしてみました。
かなり強引ですが(^^;
こうしてみるとやっぱりデカい・・・・・!

「一般的な深海の生き物
 世界最大級のダンゴムシの仲間  ダイオウグソクムシ
 ダイオウグソクムシは全長45cmくらいにまで大きくなるフナムシやダンゴムシに近い種類です。
 海底では、死肉や腐肉などを貪欲に食べています。
 アメリカ東海岸水深約800mにて採集されました。

 学名:Bathynomus siganteus
 採集地:メキシコ湾  水深:800m」



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最後は「ノコギリザメ」
ノコギリのような長く伸びた吻が最大の特徴。
これをそのまま攻撃につかったり、砂を掘り起こしたりしてエサを取ります。
見た目が似ているものとして「ノコギリエイ」がいますね。
これらのちがいは2本の長いひげ状のものが伸びているところや、ノコギリ状の歯の大きさが互い違いになっているところ。
また一般的な「サメ」「エイ」の相違と同じく、こちらはえらが体の側面にあるところも見分けポイントです。


すべて D700+24-120mmF4G/VR


次回は、クラゲファンタジーホールです。
by sampo_katze | 2015-11-26 21:00 | 水族館 | Comments(0)


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