「しんかい2000」の実機を見学
新江ノ島水族館に行こう!編・最終回


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「有人潜水調査船の2代目」


「新江ノ島水族館」編のラストは「深海Ⅱ」ゾーンです。
ここには2002年に退役した「有人潜水調査船しんかい2000」の実機が展示されています。
退役後は所有者である「海洋研究開発機構」が保存していましたが、2011年に外部展示先が公募され、
翌2012年に現在の場所に移設、展示されるようになりました。
残念ながら機内の見学はできませんが、実物をまさに目前で見られるというのはうれしいですね。

「最後の潜航から10年、再び相模湾へ戻ってきたしんかい2000
 有人潜水調査船しんかい2000は、1982年1月26日に相模湾で記念すべき第1回の潜航を行いました。
 この時の目標深度は50m、しかし機器の故障により20m地点で潜航を中止し、8分ほどで浮上となりました。
 その後、しんかい2000は訓練潜航を繰り返し、1983年から本格的に潜航調査が開始され、
 日本の海域だけではなく海外でも活躍しました。

 しんかい2000はこれまでに、シロウリガイ、ハオリムシ、ユノハナガニなどの深海生物を
 日本で初めて発見しただけではなく、沖縄や伊豆・小笠原での熱水噴出活動や駿河湾の石油分解菌など、
 深海の環境を解明するための多くの新発見をもたらしました。
 しかし、第1回目の潜航から20年後の2002年11月11日、第1411回目の潜航を最後に現役を引退しました。
 最後の海も相模湾でした。

 そして最後の潜航から10年後の2012年、しんかい2000は再び相模湾へと戻ってきました。
 318回という最も潜航回数の多い、思い出のある海の前で、しんかい2000は再び潜航できる日を夢見ています。」

※説明板より引用、以下同じ


表紙の写真は、「しんかい2000」の全景(前景?)です。
展示スペースはそれほど広くなく引きが取れない上に結構暗いので、撮影はちょっと大変。
でも深海で潜航調査中の雰囲気を出すためのものなんでしょうね。


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「しんかい2000」の構造図。
説明は細かくなるので省きます(^^;


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潜水調査の流れ。
「しんかい2000」自体は航続距離が短いので、調査海域までは支援母船の「なつしま」に収容されて移動。
海域に到着後、母船から海上へと吊り下ろされて潜水調査に入ります。


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潜航地点図。
日本海域のほとんどを網羅しているほか、ここには挙げてませんが海外でも潜航を行っています。
その中でも「えのすい」の目の前にある「相模湾」と近隣の「駿河湾」は突出していますね。

「潜航地点図  「しんかい2000」の潜航地点
 しんかい2000は約20年間の活動で通算1,411回潜航しました。
 これを、総潜航時間にすると7,527時間39分にもなります。
 この中で、新江ノ島水族館の目の前に広がる相模湾での潜航は318回にもおよび、
 相模湾はしんかい2000の活動時間の中で最も長く調査を行なった海です。

 総潜航回数 1411回   総潜航時間 7527時間39分

 しんかい2000の海域別潜航回数 ベスト5
 1位 相模湾  318回
 2位 駿河湾  269回
 3位 伊平屋(いへいや)海域(沖縄)  96回
 4位 水曜海山(伊豆・小笠原)  59回
 5位 奥尻周辺  57回」



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前方下部の構造。
海底の様子を観察するための丸窓が取りつけられています。
かなり小さいですが、水圧に耐えるためなので大きくできないんでしょうね。
右舷側には「マニピュレーター」、左舷側からはホースのようなものが伸びています。
ここから海底の生きものや砂などを吸引するんでしょうか。


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「マニピュレーター」の駆動部。
かなりメカメカしいです。


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左舷下部には撮影用の機材らしきものが取りつけられていました。


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横に回ってみると、下半分は透明になっていて中を見ることができました。
ただ、どこがどうなっているのかまではよくわかりません(^^;


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「垂直安定フィン」に描かれた「JAMSTEC」のロゴマーク。
その上に見えるダイヤのような形をしたのは「レーダーリフレクタ」ですね。


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本体後方に取りつけられた「主推進器」
深海で稼働させるため、電動を採用しているとのこと。
エンジンだと排ガスが出るからでしょうかね。


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こちらは実物大で再現されたコックピットの模型。
展示フロアから見るだけでも十分狭く見えますが、実機に入るとその狭さをより一層感じることができるでしょう。
しかもこのスペースに3人乗り、うち2人は横になって調査するという・・・・・。
それはかなりの重労働ですね(汗)

「コックピット模型(実物大)
 内側の直径は2.2mでこの中に3名乗ります。
 イスに座るのは操縦者で、補佐と研究者は床に横になって潜航調査の7時間を過ごします。
 耐圧殻(たいあつかく)は超高張力鋼(ちょうこうちょうりょくこう)の球体で深海の高圧に耐えますが、
 周りの冷たい水により室内まで冷えが伝わり、厚着をしないと凍えてしまいます。」



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アナログ感満載の操作パネル。
ジョイスティックもボタンもかなり大型のものが使われています。


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計器類もアナログ。


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そして秘密兵器?の「携帯用トイレ」
ただでさえ狭い空間ですからトイレをつけることなどできませんからね(^^;
またオムツを着用するのは宇宙飛行士も同様とのことです。

「ポケットトイレ
 潜航調査中、もしも・・・の時に使用します。
 女性が潜航する場合はオムツを着用します。」



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この奇妙な形をした装置は「深海環境水槽」
採集地の環境を再現することができるので、生物をそのまま持ち帰ることが可能なんだそう。

「深海環境水槽
 この水槽は水深2,000mと同じ水圧をかけることができます。
 球体部分を取り外し、「しんかい2000」や「しんかい6500」に装着して生物を捕獲することができます。
 高圧・低温の深海の環境のまま水族館や研究室に生物を持ち帰り、長期飼育研究を試みます。
 現在でも使用可能です。」



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そして「しんかい2000が観た深海生物」では水深2000mまで生息する深海生物たちの標本が展示されていました。
深海生物というとグロテスクな外観を想像しますが、よく知られた生きものも深海で見つかるようです。
展示されていた標本は個別に撮ってあるんですが、数が多いので省略(^^;

「奇妙な深海生物
 潜るにつれてあたりはだんだんと暗くなり、やがて水深200mを超えると真っ暗闇の世界が訪れます。
 潜水船のライトを頼りに調査をすすめていくと、奇妙な姿をした生物が次々と現れてきました。
 彼らは深海という過酷な環境にすむ生物たちです。」


「おなじみの深海生物
 しんかい2000は決して珍しい生き物ばかりを観てきたわけではありません。
 おなじみのカニや魚などが実際に深海でどんなくらしをしているか、深海における生物資源についても
 詳しい調査を行ないました。」



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最後は「2000」の後継機である「しんかい6500」のコックピットの模型。
ドラマ撮影に使用されたセットということもあり、実物の1.5倍で再現されています。
「しんかい2000」と比べて居住性は向上しているようにみえますが、実際には直径2mとやや小さくなっているそう。
また実物大の模型は「江東区青海」にある「日本科学未来館」で見ることができます。
ただ公式サイトに「2016年1月11日を持って展示を終了」という記述があるのが気になるところです。

「有人潜水調査船「しんかい6500」(改造後)
 2012年3月、「しんかい6500」は操縦・運動性能向上のための改造を完了しました。
 本改造の大きな変化としては、後部の主推進器が大きな旋回式1台から、中型の固定式2台に変わりました。
 また、後部船体部分に水平方向の推進器が1台増え、全部で推進器が6台に増えました。
 操作機器の性能も上がり、これにより360°あらゆる方向への移動が可能になり、加速・制御性能も向上しました。
 「しんかい6500」の運動性能が上がるということは、作業効率の向上や高度な観測ができ、大きな成果につながります。」


「実際にドラマの撮影で使用した「しんかい6500」耐圧殻(大きさは実際の1.5倍)を展示中
 こちらはWOWOW連続ドラマW「海に降る」で使用されたコクピット(耐圧殻)のセットです。
 セットは、実物の「しんかい6500」のコクピットに似せて、精巧に作られました。
 ※撮影に使用するため、実際のコクピットより1.5倍の大きさになっております。

 現在、モニターに流れている映像は、「しんかい6500」に取り付けられた船外4Kカメラで収録された実際の映像です。
 今年4月18日、JAMSTEC「しんかい6500」完成25周年を記念して、
 沖縄本島近海の水深約1500mの深海底への潜航調査にドラマ撮影班が同行しました。
 「しんかい6500」の潜航(調査)でドラマの撮影が行われたのは史上初になります。

 ドラマ「海に降る」では、本物の「しんかい6500」の映像、深海映像、そしてこのセットで撮影された映像が楽しめます。
 また、新江ノ島水族館の「深海Ⅱ~しんかい2000」フロアや、相模湾大水槽前でもドラマ「海に降る」の撮影が行われました。」


「「しんかい6500」耐圧殻
 1平方センチメートルあたり約680kgfという水圧がかかる深海で、3名の乗員が安全に調査活動を行えるように、
 そして繰返し何度も深海を往復できる高い信頼性を得るために、コックピットは内径2.0mの球(耐圧殻といいます)の
 中にあります。この球は軽くて丈夫なチタン合金でできていて、高圧下の深海では、わずかなゆがみも許されないため、
 この球の真球度は1.004、外形はわずか±2mm以下の製作精度で製造されています。」



すべて D700+24-120mmF4G/VR


次回から新シリーズ、上野動物園編です。
by sampo_katze | 2015-12-10 20:45 | 水族館 | Comments(0)


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