犬山訪問Ⅲ~博物館明治村編・第11回
「明治村」編も今回を含めてあと2回。 かなりの数の建物を紹介してきましたが、実際には時間の関係でスルーしている建物も多くあります。 でも2日かけてでも全部の建物をしっかり回っていたら、まとめるのが大変だったかも? 建物だけでも多いのに、いくつかの建物では中で常設展示をしているのもありますからね。 また「犬山」には世界各地の古民家などを移築、展示している「リトルワールド」もあります。 こちらも気になるところですが、訪問はいつになることやら(^^; さて、「5丁目」には2棟の「監獄」が移築されています。 そのうちの1つが今回紹介する「金沢市」にあった「金沢監獄」です。 もう1棟は「前橋監獄雑居房」ですが、こちらは省略・・・・・。 村内で悪いことをするとこちらに連れてこられる、なんてことはありません。 ですが、「監獄」の中に入って「囚人」気分?を味わうことができますよ。 さすがに部屋の入口の扉を閉めることはできませんけどね、確か。 表紙の写真は、「金沢監獄」の正門です。 レンガ造りのとても立派な門で、とても「監獄」の入口とは思えないつくりになっています。 本来はこの左右にも高い塀が連なっていたはずなので、そうであればまたちがった感じ方をしたでしょうね。 「金沢監獄正門 旧所在地 石川県金沢市小立野 建設年 明治40年 解体年 昭和46年 移築年 昭和52年 構造 煉瓦造 寄贈者 金沢市 洋式の放射型監獄舎房の規範を示す「監獄則並図式」(かんごくそくならびにずしき)により金沢監獄が造られたのは 明治40年(1907)のことである。敷地は煉瓦造の高い塀で囲まれ、西側に開けられたのがこの門であった。 煉瓦と石で造られた重厚感のあるデザインで、監獄の門という特殊な用途のため、外側と内側の装飾の差が著しい。 外は凹凸が多く、内は足掛りとなる装飾は一切ない。」 ※説明板より引用、以下同じ blogram ランキング参加中!よろしければクリックをお願いします。 こうして見ると格子のはまった窓や門扉とあいまって、威圧感というか迫力を感じます。 門扉がありませんが、これは「明治村」の正面入口を入ったところにあるモニュメント「新世界への扉」に使われています。 まずは外側から。 高さが異なる3層構造?といった雰囲気で、下層の角は直角ですがそれより上は角をとった形になっています。 レンガで埋められている場所もありますが、窓のような場所は1段引っ込んでいますね。 下層の門扉側に門番?が出入りするための扉があり、最上層に小さな窓が3つ並んでいます。 ですがそれ以外には平面的でシンプル、確かに丸腰では足場になりそうな場所はありません。 「フリークライミング」の名手であってもさすがにこれは難しい・・・・・のでしょうか?(^^; さすがにこれは「重要文化財」なので、試すわけにはいかないでしょうけど。 右寄りの高い塔がある八角形の建物が「中央看守所」で、その左側に連なるのが「独居房」です。 「独居房」は全部で5つで「看守所」を中心に放射状に伸びていたそうですが、移築されたのはその一部にとどまっています。 もちろんそれはここに限ったことではないんですが。 もし、全部の建物を全面的に移築するとなるとこれだけ広大な敷地があっても足りないでしょうね。 「金沢監獄中央看守所・監房 旧所在地 石川県金沢市小立野 建設年 明治40年 解体年 昭和46年 移築年 昭和47年 建築面積 112.7坪 構造 木造平屋建 寄贈者 金沢市 金沢監獄は明治5年(1872)に制定の「監獄則並図式」に沿って造られた監獄である。八角形の看守所を中心に 5つの監房棟が放射状に並ぶ様式の配置である。明治村には要であった中央看守所と独居房として使用された 監房の一部分が移築された。なお中央に置かれている看視室は網走監獄で使用されたものである。 看視室からは各監房棟の中廊下が一望に見渡せ、外部については看守所上部の見張り櫓から監獄全域の状況を 把握できるため、管理上非常に効果的であった。」 これだけ見ると、ここが「監獄」という感じはほとんどしません。 でも左側の建物に並ぶ窓の間隔が狭いので、何やら小部屋が並んでいるというのはわかりますね。 向かって左右と奥、そしてその間に斜めに伸びる5方向に「独居房」が並んでいたようです。 なお、こちらに移築されたのは左側に伸びる建物の一部分です。 よく見ると「正八角形」にはなってません。 これは上に正方形の「見張り櫓」があるためで、梁が短いところは「見張り櫓」の角にあたるところのようです。 外観を改めて見るとわかると思いますよ。 ほかの部分はパネルになっていますが、なかなか高い再現性です。 ぼーっと見てたらそちらの方に歩いて行って・・・・・ドーン! なんてことになりそうな感じですね(^^; 左右に「独居房」が並んでいます。 扉の中段にはポストの投函口のような、下部には板でふさがれた窓がそれぞれつけられています。 下の窓は「食事孔」で、その左側には1から5の番号が振られています。 その意味はというと・・・・・。 「<食等番号> 収容者はその作業内容で主食の量が分けられた。食事孔の左側の数字はその等級をあらわしている。 1等食は873g、5等級は525g(米麦5対5)で、ちなみに明治5年の監獄則によれば強役者は1日7合(980g)であった。」 広さは3畳くらいでしょうか。 奥の右側は洗面台、左側はトイレです。 そしてほかには布団が置かれているだけというとても殺風景な部屋になっているんですね。 マネキンがなぜか笑顔になってますね(^^; 「明治時代の監獄の食事 明治時代の監獄の食事は、少ない予算の中から献立を作るため、恵まれたものではなかった。 明治5年の監獄則では、材料として肉類も制定されているところに文明開化の影響を見ることができる。 明治15年の規則改正で、力役によって主食料を分けたり、米と麦の混合率を4:6とすることなどが決められ、 さらに明治41年制定の監獄法では、一人一回米172g、麦192gとグラムで科学的に計算するように改められた。 明治27年12月 岐阜県監獄署(標準的力役) 4日 5日 6日 朝食 大根味噌汁 蕪味噌汁 大根味噌汁 昼食 大根漬 煮味噌 煮味噌 夕食 里芋牛蒡味噌汁 大根味噌汁 大豆里芋味噌汁 主食 飯(白米4:麦6) 一日6合 参考『日本近世行刑史稿』 現在の刑務所の献立 協力 名古屋矯正管区 朝食 みそ汁(わかめ、とうふ) 漬物(野沢菜) 昼食 煮魚(さば) おろし(大根) 野菜炒め(キャベツ、人参、モヤシ、ピーマン) 夕食 すき焼風煮(豚小間、野菜、いも) 昆布佃煮(昆布、ゴマ) 主食 米375g、麦160g」 こちらは「内閣文庫」の事務棟です。 移築されていませんが、この建物の背後に書庫があって約49万冊もの膨大な古文書などを収蔵していました。 1971年(昭和46年)に「国立公文書館」が設立されると、蔵書はそちらに移され組織も統合されました。 その後、組織自体もなくなったためかつての蔵書を「内閣文庫」と称しているとのことです。 「内閣文庫 旧所在地 東京都千代田区千代田 建設年 明治44年 解体年 昭和59年~昭和60年 移築年 平成2年 建築面積 91.5坪 構造 鉄筋コンクリート造二階建スレート葺 寄贈者 総理府 この建物は明治政府が中央図書館として建てた内閣文庫庁舎の主屋部分である。江戸幕府から引き継いだ古文書に加え、 各地の古文書や海外の書籍が買い足されて、蔵書の内容は充実していた。昭和46年(1971)に国立公文書館が 建設されるまで、古文書研究家に広く利用された。 設計者は後に国会議事堂の建設を指揮することになる大熊喜邦(おおくまよしくに)である。石と煉瓦で造られた ルネッサンス様式であり、4本の円柱と2本の角柱が巨大なペディメントを受けている正面は、古代ギリシャ・ローマの 神殿建築を思わせる姿である。この事務棟の背後に煉瓦造の書庫棟が建っていた。」 こちらも「金沢監獄正門」の門扉同様、モニュメントに使われていますが、ここにあるのは真新しい感じがしますね。 もしかすると作りかえられたものなのかもしれませんが、よくわかりません。 「日本橋」にある「三井本館」もこんな柱が並んでいました。 こちらは裏側にあたるからか妻面の窓はかなり小さく扉もありませんが、反対側には大型の変電用機械を入れるための 大きな扉があります。 また側面にも大きな窓がついていて、内部を明るく保つようになっているようです。 「名鉄岩倉変電所 旧所在地 愛知県岩倉市岩倉駅構内 建設年 明治45年 解体年 昭和49年 移築年 昭和50年 建築面積 45.7坪 構造 煉瓦造平屋建 木造併用 (現在 鉄筋コンクリート造平屋建スレート葺) 寄贈者 名古屋鉄道株式会社 この建物は、名古屋電気鉄道(現在の名古屋鉄道)犬山線の変電所として岩倉駅構内に建てられた。 電車が交通機関として普及すると、給電のための変電所が重要な施設となった。内部に高価で大きな変電用機械を 入れるため、背の高い煉瓦造となっており、屋根には天然スレートを葺いた。 岩倉変電所の背面は、半円アーチ、円弧アーチ、柱型やくぼみなど様々な幾何学模様の装飾が特徴である。」 すべて D700+24-120mmF4G/VR 次回は犬山編の最終回、帝国ホテルです。
by sampo_katze
| 2016-03-09 21:00
| 東海・中部
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