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両生爬虫類館の特設展示・2017
年賀状素材探し@晩秋の上野動物園編・第3回


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「2017年の特設展示のテーマは"足"」


「両生爬虫類館」の続きです。
この施設は奥の「温室」内にある「常設展示」と、入口側のスペースで行われる「特設展示」があります。
毎年3月下旬からテーマを変えてスタートし、期間限定で開催されているようです。
わたしが訪ねた12月2日(土)は「ハペペ博士の研究所 ~あしのナゾ~」が開催されていました(現在は終了)。
このテーマは3月22日から12月28日までと、かなりの長期間にわたって開催されたんですね。
気の早い話ですが、今年はどんなテーマになるのかな?


表紙の写真は、「特設展示」の入口上に掲げられた看板です。
ところで「ハペペ博士」は架空の人物というのはわかりますが、その意味はなんでしょう?
調べてみると「両生爬虫類学」を英語では「herpetology」
無理を承知でカタカナ読みにすると「ハペトロジー」となります。
どうもこれが由来のようですね。


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「特設展示」入口はこんな感じ。
博士の研究所の玄関という設定ですね。
扉を開けっぱなしでどこかに行ってしまう博士もどうかと思いますが(笑)

「みなさんへ
 ここは、ハペペ博士の研究所。部屋の中には、本や標本、
 観察用のカエルやトカゲ、 それから、よくわからないガラクタでいっぱい。

 博士はいま、両生類やは虫類の『あし』の研究に夢中のようです。

 博士はちょっと変わりものです。でも、とても物知りで、
 私たちが遊びに行くと、いろいろなことを教えてくれます。

 今日は、どうやら留守みたい。いつものように、扉は開きっぱなし。こっそり中を覗けそうです。
 両生爬虫類館の飼育係より」

※説明板より引用、以下同じ


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まずは「トウキョウダルマガエル」
「トノサマガエル」とよく似ていますが、こちらは体型がややぽっちゃりで後肢は短めとのこと。
その体型から「ダルマ」の名がつけられたそうです。


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跳躍する「カエル」の骨格。
後脚の骨の長さは、胴体のそれと比べてざっと2.5倍ほどもあります!
脚の各関節も他の部分と比べると太くて丈夫そう。
指もかなり長いですね。
体長の何十倍もの距離を飛び跳ねる秘密の1つは骨にあるようです。

「体の何倍もはねる! 多くのカエルが10-20倍 30,40倍なんてのもいる!
 はねるあしは長い!!!
 衝撃!!驚くべき後あしの長さ!!
 着地するとき衝撃はないのか??
 骨格標本を見ながら考えるとしよう・・・
 あしの骨のつくりにひみつがありそうだ・・・」



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壁に張りついてこちらに視線を向けているのは「トッケイヤモリ」
「ヤモリ科ヤモリ属」の中では最大種で、最大全長は35cmにも達します。
オレンジ色の斑点を体中にちりばめたなかなかのおしゃれさん。
でもこう見えて意外と気は荒いんだそう(^^;

ギョロッとした大きな目に細い「瞳孔」を持っていますが、これは「夜行性」の証。
多くの「ヤモリ」の仲間は「夜行性」なので、明るいところでは「ネコ」と同じように細くなります。
反対に「昼行性」「ヒルヤモリ」の仲間は丸い「瞳孔」を持っています。

「今月の一句  はりついた あしの先には ひと工夫
 本当に不思議だ。  壁も天井も、関係なく歩くやつら・・・
 足の裏はどうなっているのか?顕微鏡でナゾに迫れるはずだ。
 ファンデルワールス力=弱い引力の一種
 吸盤  粘液  毛」



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壁に張りついたまま後脚を壁から離しました。
何をするのかな?と見ていると、頭を後ろに向けて大きく口を開けて何かをパクリ!
その口元には薄い皮のようなものがくわえられています。
どうやら脱皮中だったようですね。
後脚から尻尾にかけてちょっと白っぽい色をしていたのはそのためのよう。
自然にはがれ落ちるのを待つだけではなく、こうして自分ではがすこともあるんですね~。


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壁に張りついたまま、重力の法則を無視するかのように歩く「トッケイヤモリ」。
しかもガラスのようなツルツルした表面であっても平気でこなします。
彼らの足の裏をちょっと拝見するとご覧の通り。
足首?から指の付け根付近まではウロコで覆われていますが、その先は横に並んだヒダのようなものが並んでいます。
これが滑り止めのようなはたらきをしているんでしょうか?


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その不思議な部分を「電子顕微鏡」で観察してみると・・・・・。
なんとこんな細かい毛でできていた!?
毛の写真中の下に引かれている白い横棒は「10μm」(=0.01mm=1mの10万分の1)を表しています。
つまりこの毛の太さはさらに細く、「10nm」(=0.000001mm=1mの1億分の1)クラスということ!?
そしてこの超極細の毛が生み出す「ファンデルワールス力」によって壁などに張りついているんだそう。
このことが判明したのは2000年になってからだそうで、長年の謎だったんですね。


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前回も登場した「グリーンイグアナ」
手前にある大きな枝がかぶってその姿がよく見えませんが(^^;
でも今回のポイントは足なので問題ないですかね?
さて、博士のメモがあったので見てみましょう。
そこにはちょっと気になるポイントがありました・・・・・。

「3月9日
  今日、イグアナに引っかかれた。なぜこんなに鋭い爪をもっているのだろう。
 3月12日
  指は伸びたままで、ものをつかむことは出来ないようだ。
 3月15日
  後ろあしの指がとても長い!遠い枝にも、しっかりと引っかかっている!
 3月17日
  指の長さは、薬指が一番長い。なぜだろうか・・・」



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鋭い爪を持っているというイメージはなんとなくですがあります。
でも「薬指が一番長い」というのは初めて。
そこで後足をよく見てみると・・・・・確かに「薬指」だけ妙に長いですね!
また「小指」もほかの指と比べると少し離れたところから伸びているよう。
「ヒト」の手を裏返したような指の付き方をしているような感じです。
残念ながら博士もこの謎はまだ解けてないようでした。


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お次は「パンサーカメレオン」です。
「カメレオン」というと体色を自由に変化させ、周囲に溶け込んでしまうというイメージがありますね。
でも実際は手持ち?の色は限定的で、気分によっても変わることもあるのでこれはあまり正確ではないそう。
また「フジツボ」のような形をした目を持っていて、左右別々に動かすことができます。
そしてこの展示のテーマとなる足に注目すると、木の枝をしっかりつかんでいるのがわかりますね。


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どうやってつかんでいるか、アップにしてみるとご覧の通り。
指が二股に分かれているのでしっかりと枝をつかむことができるようになっています。
しかも前足と後足の指の数はどちらも5本ですが、外側と内側の本数が前後でちがっているんだそう。
このちがいはどうしてなんでしょうね?

「樹の上で発見!!
 1月10日
  実に見事なあし運びだ。落ちないように慎重に、枝の上をゆっくりゆっくり歩いている・・・
 1月19日
  あぶなっかしく見えるが、一度も枝から落ちない。なぜだ?謎を解くカギは、あしの指にありそうだ・・・
 前肢のゆび 外2本・内3本  後肢は外3本・内2本
 向き合った指で枝をつかむ!」



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「パンサーカメレオン」?の骨格。
足でしっかり枝をつかんでいるほか、尻尾も巻きつけているのがわかります。
舌は骨でできているわけではないので後付けですかね。


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首を上に向けているのは「ボールニシキヘビ」
「ヘビ」自体なかなか見ることがないんですが、こうして首を真上に向けている様子は初めて見ます。
しかもこの後、すぐに頭を下げてしまいました。
なんとか1枚だけ撮れましたがラッキーでしたね。
あれ?でも「ヘビ」は足がないのに、なんでこの展示にいるのでしょうか?


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実は「ニシキヘビ」の仲間は足こそないものの、後足の名残がお腹にあるんです。
ここに爪のようなものが写っていますね。
「ケヅメ」と呼ばれるもので、オスはこれでメスの体をひっかいて求愛するんだそう。
この「ケヅメ」のことは昨年6月に訪ねた「東山動植物園」で初めて知りました

「ボールニシキヘビの観察記録
 8月2日
  あしがなくても、地面を移動できる。えものも捕らえられる。器用に木にのぼることまで・・・
 8月7日
  なんと後ろあしの名残があった!!ヘビは、元々あしがなかったのではなく、いらなくなったあしが退化したのだ!!」


「東山動植物園」のヘビたちはこちら
2017年11月26日の記事 自然動物館のヘビの仲間たち(閲覧注意?)


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最後は「ハイギョ」の仲間の「オーストラリアハイギョ」

「魚類」には足がありません。
でもこの展示にいるのはなぜなんでしょう?
当然、こちらも足が関係しているんですが・・・・・。


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「腹びれ」のアップ。
一見何の変哲もないですが、説明にあるように「四足動物」に近い構造をしているんだそう。
前足にあたる「胸びれ」も見たかったところですが、微妙に隠れていて見えませんでした(^^;

「ハイギョのなかま
 ハイギョは、「四足動物※の祖先の特徴を残している」と考えられている。
 一般的な魚と比べて、ハイギョのひれ(胸・腹びれ)は、頑丈で、根元から回転させることができるなど、
 四足動物のあしに近い構造をしている。
 ※四足動物:両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類のこと」


「「はじまりの魚」
 季節のはじまり、一年のはじまり、命のはじまり、 恋のはじまり
 この世界にはいつも「はじまり」がある
 カエルのあし、トカゲのあし  ゾウのあし、人間のあし
 私が愛する様々なあしにも「はじまり」があった
 その鍵をにぎる魚「ハイギョ」
 ここに「あしのはじまり」がある
 Dr.ハペペ」




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次回は、キリンとプレーリードッグです。
by sampo_katze | 2018-01-06 21:00 | 動物園 | Comments(0)


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