田園調布に家が建った
江戸東京たてもの園編・第4回。


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「憧れの郊外住宅」


今回は「田園調布の家(大川邸)」を訪ねます。
建築年1925年(大正14年)、復元年1995年(平成7年)。

田園調布というと「高級住宅街」というイメージがあります。
その歴史は1923年(大正12年)、実業家「渋沢栄一」が設立した「田園都市株式会社」による宅地分譲が始まり。
ただし、この頃の会社の支配人は息子の秀雄氏に代わっています。
多摩川台地区(当時)で開発されたのですが、折りしもその年の9月1日に「関東大震災」が発生。
都市から郊外へと移住する風潮が生まれ、分譲地の売れ行きは好調だったようです。


表紙の写真は、その住宅の1つで当時鉄道省の土木技師を務めていた大川氏の住居です。
大川氏は写真を趣味とされていて、当時の生活状況をたくさん写真に収めていたようです。
また大川家には創建時の設計図も保存されていて、ほぼ完全な形で創建当時に復元することができました。
なおこの建物は増改築を重ね、1993年(平成5年)まで使われていたとのことです。


田園調布@Wiki









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玄関前の照明。
フクロウをモデルにしたものかと思ったのですが、キツツキだそう(^^;


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床下通気口のふたも凝ったデザイン。
どちらも創建当時のものです。


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玄関を上がって、右手にある「書斎」。
玄関側(北向き)の壁をのぞいて窓がついていて、とても明るい部屋です。
机は大川家で使われていたものがそのまま置かれています。


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正面にある「居間」。
ソファは展示のために準備したそうですが、イメージとしてはこんな雰囲気ですね。
もっとも普段の生活にはちょっと豪勢すぎるようにも見えますが(^^;


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出窓側から。
左の扉は書斎、真ん中は玄関に、そして右端は食堂と、居間を中心にした部屋の配置になっています。
バリアフリーと言う面でも理想的な造りですね。


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居間の奥にある「寝室」。
当時から使われていた整理タンスが部屋の入り口右手に置かれていて、
引き出しには「ひ」の字のような形をした取っ手がついていました。
昔の祖母の家にもあって、小さい頃はその取っ手をパタパタさせて遊んだ記憶があります。

奥には足踏み式のミシンが置かれていました。
本体に描かれているのはスフィンクスと「SINGER」の文字。
ミシンとしてのフォルムもいいですが、この豪奢な装飾もまたいい雰囲気です。

シンガーミシンのHPを見ていたら、なんと機種番号から製造年や生産国がわかる一覧表が!
1871~1899年の番号だけの機種は製造年のみ、1900年代のアルファベットつき番号だと
製造年と生産国・生産工場を読み取ることができます。
唯一「QA~QZ」で始まる機種番号は「不明」になってましたが、これはなんででしょうね?

また、このミシンの番号は控えていないので残念ながら調べられませんでした。
そんな秘密があると知ってたら、もっとじっくり見ていたのに(笑)


株式会社シンガーハッピージャパン


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寝室から食堂を通り抜けて「台所」をのぞいてみましょう。
北側に面していますが、大きく取られた窓のおかげで採光性はよく作業はしやすそう。


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端に置かれたこの機械。
イギリスの「The General Electric Co.Ltd」製なのはわかりますが、肝心の正体がよくわかりません。
正面右にあるダイヤルは上から「OVEN」「HOTPLATE」「GRILL BOILER」とあり、
「HOTPLATE」ダイヤルには「GRILL OFF」を書かれたレバーがついていました。
電気で動く調理器具であることは間違いないのですが、中が見られませんし・・・・・(^^;


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台所のとなりは「女中部屋」。
現在は、内部に管理盤があることからこの建物の管理用の部屋として使われているようです。
そんなところに入れるようになっていて大丈夫なんかいな??(汗)

室内には管理用の電話(内線?)のほかに、壁にこれが掛かっていました。
「デルビル磁石式」と呼ばれるもので、レトロな電話というとこれが真っ先に頭に浮かびますよね。
「前川邸」に置かれていたのは卓上型でしたが、あちらと使い方は同じです。


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この電話機には受話器がついていませんでした。
でもおかげで受話器をかけるフックが手のように見えます。
さらにベル2個が目、送話管が口。
真正面から見ていたら「こちらへどうぞ~」といってるように見えてきました(^^)
そういえば「Dr.スランプ」では則巻家の電話もこのタイプで、千兵衛が電話に出る前にかけてきた相手を教えてたりしてたっけ。


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最後は「食堂」を。
ここも台所とはカウンターでつながっています。
仕切り壁にも大きな窓がつけられていて、台所の光が食堂にも入るようになっていますね。


1枚目 D40+DX12-24mmF4G
2、3枚目 D40+DX18-55mmF3.5-5.6GⅡ
4~6、8、12枚目 D700+AiAF20mmF2.8D
7、9~11枚目 D700+AiAF35mmF2D


次回は、たてもの園のセンターゾーンにある建物を巡ります。
by sampo_katze | 2009-08-17 21:00 | 博物館・美術館 | Comments(2)
Commented by OM1ユーザー at 2009-08-19 11:03 x
田園調布は我が大田区の誇る高級住宅街ですね。
大田区では続いて山王、久ヶ原、南千束ですが、固定資産税が高いのは年金生活者には大変です。

この住宅は古さを感じさせない外観ですね。
格子の上窓がお洒落ですね。
Commented by sampo_katze at 2009-08-19 21:16
OM1ユーザーさん、こんばんは♪

わたしは近くに行ったことがないのですが、
「田園調布=高級住宅街」というイメージがありますね。
都心から程近くて交通も便利ですし(^^)
その分、昨今の鉄道の混雑は相当のもののようですが。
「住めば都」なれど、いろいろと大変な面もあるんですね(汗)

この建物、現在でも十分通用しますよね☆
平屋でバリアフリーにもできますし、2階に2部屋くらい乗っけてもいけそうですし。

固定された上窓は明りとりになるので、おしゃれ+実用も兼ねていて
とっても優れたデザインです。
夏にはここにすだれをかけておきたいところですが(^^ゞ


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