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日本最大の鉱都
わたらせ渓谷鐵道ポタ・中編


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「冬支度中の駅」


今回は「足尾」の中心を訪ねます。
最大の見所はなんといっても「足尾銅山」ですよね。
足尾に来るのはこれでまだ2回目で、銅山観光はまだしたことがありません。
ということで、せっかくなので見学していくことにしました。
終点桐生までは距離があるので先を急ぎたいところですが、下り基調だから大丈夫でしょう。
あとはあまり施設見学にはまらないようにしないと(笑)

足尾銅山が発見されたのは1550年(天文19年)とかなり古いですが、本格的な採掘が始まったのは江戸時代になってから。
当然すべて手作業での採掘でしたが、最大で年間1200トンもの銅が産出され大いに賑わったんだとか。
その後は産出量が徐々に減少し、幕末から明治にかけては一時閉山状態に。
しかし1881年(明治14年)に新しい鉱脈を発見、探鉱技術の向上とともに相次いで鉱脈が発見され
20世紀初頭には日本の銅産出量の25%を担うほどに成長しました。
この反動で「足尾鉱毒事件」に代表される公害が起きたことも忘れてはなりませんが。
なお、閉山されたのは1973年(昭和48年)2月28日のことです。


表紙の写真は、「足尾駅」の構内です。
地名が駅名になってますが、中心地はこの1つ手前の「通洞駅」のほうが近いです。
基本的にこの駅は無人ですし。
ホームの奥にはJRのディーゼルカーや貨車などが留置されています。
写真でもオレンジ色の車体がチラッと見えてますが。


足尾銅山
足尾駅
いずれも@Wiki


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「間藤駅」でもらった地図を見ると「足尾駅」から線路に沿って細い道(トロ道)が続いていました。
ここを走れば車を気にせずのんびり走れそうです。
で、少し走ると線路のすぐそばまで入れるところが。
こういったところは保守用ということで入れないのが普通なんですが、特に何も書いてないのでちょっと入ってみました。
なんとなく生活感のある道なんですよね、これ(^^;


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ふと時計を見ると5分ほど後に、わたしが乗ってきた列車の1本後の「間藤行」が到着する見込み。
そこで「Brompton」を元の道に戻して待ち構えてみました。
でもいつも停車している列車ばかりなので、通過する列車(しかも後ろから来る!)を撮るのは難しい!
見事にピントを外してました(苦笑)
仕方ないので駅まで(すぐそばですが)追いかけて再挑戦!

行きと同じ車両だったら追いかけてまで撮らなかったんですが、レールバスタイプだったので。
で、線路沿いの柵からのぞき込むようにして撮影。
この時間はアクセスしやすい時間帯で乗客数が多くなるからか2両編成になってましたね。


列車の停車時間は短く、あっという間に発車していきます。
さすがに折り返しを待つには時間がもったいないので先に進むことに。
次の「通洞駅」(つうどう)は「足尾」の中心地にあり、「銅山観光」もこちら。
「わてつ」車内でも「銅山観光はこちらでお降りください」とアナウンスされます。


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「通洞駅」の駅舎を撮って先に進もうとすると、線路の向こうを歩いている人が目に入りました。
「あっちにも通る道があるんだ」と思って行ってみると、なんと線路のすぐそばに道が!( ̄Д ̄;
踏切もありますが遮断機や警報機はおろか踏板以外何もない!?
そばには「足尾歴史館」の案内がありますが、まさかこんなところを通るとは。
いくら運行本数が少ないとはいえ、せめて「列車に注意」ぐらいは掲示しておいた方がいいのでは?なんて思ってしまいます(苦笑)

ちなみに「足尾歴史館」は高台にあるため、駅前から県道に下りてしまうとまた坂を上らなくてはなりません。
そのためショートカットするこの道ができたようです。

また今回は訪ねませんでしたが、ここでは「ガソリンカー」なるものを復元して毎月第1土曜に運転しているとのこと。
「足尾」から「通洞」まで線路沿いに続いている「トロ道」は、この「ガソリンカー」が通っていた道なんだそう。
どうりで勾配がゆるやかなはずです(^^)


NPO法人足尾歴史館


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さて、歴史館の前を通って坂を下り「足尾銅山観光」へ。
広い駐車場はあるんですが、駐輪場がない!
仕方ないので片隅の看板にくくりつけておきましたが、いくら自転車で来る人が少ないとはいえ
レンタサイクルもあるんですから駐輪スペースも作ってほしいところですね(^^;

で、入口から坂を下って入場券売り場へ。
その先は待合室になっていて、ここからトロッコに乗って坑道へと入ります。
前半の坑道入口手前までは急な下りがあるため先頭に機関車を連結します。
この前日に行った「碓氷峠」と同じパターンですね(^^)
後半は平坦になるので途中駅(一般のお客さんは乗り降り不可)で機関車を切り離し、自走して坑道へと入ります。

足尾観光協会HP


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これがトロッコの終点のホームで、線路に下りて入口方向を眺めています。
鉱山が稼動してたときはトロッコはここからさらに奥へと進んでいきました。
現在は柵でふさがれていて中には入れませんが、柵の向こうをサーチライトで照らして内部の様子が見学できるようになっています。
その後、入口方面に少し戻ってホームの後方にある見学コースへと進みます。
地下水で床面や壁などがぬれているので足下に注意が必要ですよ。


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内部は江戸時代から近代にかけての鉱石発掘の様子を紹介しています。
人形も使われているのでちょっとコワいかも?(笑)

ちなみにこれは江戸時代の「負夫」。
掘り出した鉱石を外に運ぶ役割をしていた人です。
ただでさえ重い鉱石をこうして這うようにして運んでいたんですから重労働ですね。
「石見銀山」もそうでしたが、人力だけでよく作業ができたものだと感心してしまいます。
なお、近代になると手掘りに代わり「削岩機」によっての採掘が行われるようになります。


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壁の一部が青っぽく変色している部分があります。
これは「岩肌青色地帯」と呼ばれるところ。

「地下水が鉱脈を通るとき、そこに含まれる銅分を溶かし硫酸銅となってしみ出してきます。
 これを俗に「タンパン」といいます。
 青緑色の部分はタンパンが坑内の岩肌に付着して固まりとなったものです。」

※説明板より引用


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歴史の紹介の後は展示施設へ。
そこに通じる坑道は新しく作られたものなのか、真っすぐ伸びていて歩きやすいです。
ちょっと神秘的かも。


展示施設には「足尾銅山」での採掘作業などを紹介するフィルムが上映されています(約7分間)。
この中で全坑道を3Dマップで表示したものが出てきましたが、まるで毛細血管のようにあちこちに張り巡らされていて圧倒されました。


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これは「精錬所」のジオラマ。
左側が「間藤駅」側で、こちらから貨物列車が入線してきたんですね。


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銅のインゴット。
サイズや重さは出てませんでしたが、結構な重量がありそうです。


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最後は屋外にある「鋳銭座」(ちゅうせんざ)。
ここでは足尾で作られていた江戸時代の通貨「寛永通宝」の製造過程を見ることができます。
といっても今回は中に入らなかったんですが(^^;

並んだ2枚のオブジェのうち「足」の文字が刻まれているのは裏側。
この文字は「足尾で作られた」という意味があり、通称「足字銭」と呼ばれるんだそうです。
裏にこんな文字が刻まれているのがあるとは知りませんでした。


寛永通宝@Wiki


すべて D700+24-120mmF4G/VR


次回は後編、足尾市街から終点目指して走ります。
by sampo_katze | 2011-01-17 21:25 | Brompton+ローカル線 | Comments(0)


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