陸上を支配した哺乳類~地球環境の変動と生物の進化・その3
国立科学博物館・地球館を訪ねよう!編・第9回


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「哺乳類の祖先」


「国立科学博物館」「地球館」、地下2階へと下ります。
このフロアのテーマは地下1階と同じ「地球環境の変動と生物の進化」です。
地下1階が「恐竜」に特化した展示に対し、こちらは「地球の誕生」から「人類の進化」と幅広い展示になっています。
そのためボリュームもおそらく館内随一かと。
で、ここではその中から「哺乳類」に関する展示をピックアップしていきます。


表紙の写真は、原始的な「単弓類」(たんきゅうるい)の1種の「エダフォサウルス」です。
あれ?これって「恐竜」でないの?
そう思われるのも無理はありませんし、わたしもまったく同じ感想を持ちました(^^;
見た目もそうですし、名前も「~サウルス」(=「ギリシャ語」「トカゲ」の意)とありますからね。
でも、「頭骨」の特徴が一致することから「哺乳類」の祖先と考えられているんだそうです。

「哺乳類と爬虫類はともに両生類から進化した姉妹である。
 両生類のあるグループを共通の祖先として、単弓類(たんきゅうるい)と爬虫類が石炭紀後期(3.2億年前)に進化した。
 初期の単弓類である盤竜類(ばんりゅうるい)は、哺乳類の祖先と考えられている。
 盤竜類の頭骨には、目の穴の後ろにもう一つの穴があり、哺乳類の特徴と一致するからである。
 時代とともに単弓類は進化し、やがて三畳紀後期(2.03億年前)になって真の哺乳類が誕生した。」


単弓類@Wiki

詳しい解説は下記リンクの左下にある「コンテンツ検索」に種名を入れることで見ることができます。
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「新第三紀以降の森林の哺乳類
 始新世(ししんせい)と漸新世(ぜんしんせい)の境界である3400万年前ごろ、
 中~高緯度の地域を中心に、急激に気温が低下した。
 中新世(ちゅうしんせい)の前半(2500万~1500万年前)には一時的にやや回復したものの、
 それ以降は寒冷化がいちだんと進んで現在にいたっている。
 この寒冷化によって森林にも大きな変化がおこり、そこに生息する哺乳類にも新たな種類が出現した。
 その多くは科のレベルで現在も生息しているグループであり、哺乳類全体が現代的となった。」



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まずは「オオツノジカ」
「更新世」(こうしんせい)の後期に生息した、最大で肩高2.3m、全長3.1mにも達したという大型の「シカ」です。
最大の特徴は、その名の元となったあまりにも巨大な「角」
幅約3.6m、重さは左右合わせて約50kgという桁違いの大きさです。
それを支える首や肩は相当強靭なつくりをしていたと考えられています。
そうでないと頭を持ち上げることなんかできませんからね(^^;
(注)更新世後期=約12万5000~1万2000年前

オオツノシカ@Wiki


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正面から見るとこんな感じ。
顔が小さいので、余計に角が大きく見えます。


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「ビーバー」の祖先の「カストロイデス」


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頭部をアップ。
上下に2本ずつある「前歯」が異様なほど発達しています。
特に「下顎」はずいぶんと後退していて顔の半分ほどしかなく、その代わりに下の歯が長く伸びていますね。
現在の「ビーバー」の骨格は見たことがありませんが、ここまで極端な構造にはなっていないような気がします。


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「オオツノジカ」と「カストロイデス」の想像図。
「オオツノジカ」の肩の筋肉の盛り上がり方はかなり大きく、「ラクダ」のコブのようです。


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「サイ」に近いシルエットを持つ「ウインタテリウム」
大きさもほぼ同じ。
ですが分類は「サイ」が「奇蹄目」(きていもく)なのに対し、こちらは「恐角目」(きょうかくもく)と異なります。

最大の特徴として「上顎」から伸びる大きな「牙」を持つことがあげられます。
「草食動物」にもかかわらずなぜこのような大きな「牙」があるのかはわかっていません。
また「下顎」の前の方には「歯」があったと思われる穴がありましたが、「上顎」は見てませんでした(^^;
でも下にはあって上にはないとすると、その「歯」は一体どんな役割をしていたんでしょうね?


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こちらは「奇蹄目」に属する「ブロントプス」の頭骨。
「犬歯」が上下ともやや大きくなっています。


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原始的な「ウマ」「メソヒップス」
シルエットはだいぶ近いですが、「足」の指が3つに分かれているのが大きな違いです。
「ニンゲン」に例えると「人差し指」「中指」「薬指」がこれにあたり、「小指」は退化しています。
その後はより速く走るために「中指」のみが進化し、ほかの指は退化していきました。

ウマの進化@Wiki



ここまでは地上で生活していた「哺乳類」でしたが、続いては樹木の上での生活に対応した「哺乳類」です。

「樹上性の哺乳類
 熱帯~亜熱帯の森林では、地上に降りなくても樹の上だけで一つの生息環境が成り立っている。
 このような環境にいち早く適応した有胎盤哺乳類(ゆうたいばん~)が原始的な霊長類で、すでに白亜紀末には出現していた。
 やがて新生代(しんせいだい)になると、霊長類のほかにも、原始的な齧歯類(げっしるい)の多くや
 コピドドンのようなパントレステス類の一部などが、樹上環境に適応して進化した。
 なお、のちにあらわれる私たち人類は、この樹上環境に適応した霊長類の仲間から進化した。」



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一見すると「カンガルー」のようなシルエットの「コピドドン」
もっとも体勢がそうなっているからで、実際にはぜんぜんちがう仲間(^^;
分類上は「パントレステス目・パロキシクラエヌス科」という舌をかみそうな名前のグループに属します。
このグループはすでに絶滅していますが、生態は「リス」などに近いものだったよう?

キモレステス目@Wiki


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こちらは「霊長目」に属する「プレジアダピス」

サル目@Wiki


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この2種の想像図。
並べてみてもちがいがよくわかりません(^^;



最後は「肉食」の「哺乳類」たちを紹介します。

「植物食の哺乳類が栄えるとそれをエサにする肉食の哺乳類も多様化する。
 新生代に植物食の哺乳類が多様化すると、それらをエサとする肉食性の哺乳類も急速に進化した。
 その代表が現在繁栄している食肉類だが、新生代のはじめには、むしろ絶滅した肉歯類(にくしるい)の方が優勢だった。
 クジラ類の祖先に近縁とされるメソニクス類も肉食性である。
 南アメリカでは、有袋類(ゆうたいるい)の一部が肉食性となり、真の食肉類によく似た進化をしたものもあらわれた。」



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「クマ科」に属す大型の「ホラアナグマ」(洞穴熊)。
体の大きさに比べると顔が小さく、その特徴は「ホッキョクグマ」によく似ています。
そのため発見当初は「ホッキョクグマ」の仲間と仮定されたこともあるんだとか。

「アナグマ」と名前がよく似ていますが、こちらは「イタチ科アナグマ属」でまったく別の仲間です。
穴をすみかにする点は同じですけどね。

ホラアナグマ
アナグマ
いずれも@Wiki


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「オオカミ」に近い仲間の「ダイアウルフ」
体長1.5m、体高約0.8mとかなり大型で、史上最大の「オオカミ」とされているそう。
パッと見ても足が長く、となりに並ぶ「ホラアナグマ」と比べても「オオカミ」としてはかなり大きく感じます。

ダイアウルフ@Wiki


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「ニムラブス科」という「ネコ」に近い分類に属する「ホプロフォネウス」
上顎の「犬歯」が長く伸びています。


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最後は「サーベルタイガー」の1種の「スミロドン」
先の「ホプロフォネウス」と比べるまでもなく、その大きく長く伸びた「犬歯」が最大の特徴。
また後肢と比べて前肢の方が太くなっているようです。

スミロドン@Wiki


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頭部のアップ。
120度近くまで開いた顎が驚異的です。
もっともこれだけ長い「犬歯」があるんですから、これくらい開かないとどうにもならなかったんでしょうね(^^;


すべて D700+24-120mmF4G/VR


次回は最終回、大型哺乳類の祖先の骨格です。
by sampo_katze | 2014-02-19 20:30 | 博物館・美術館 | Comments(0)


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