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N700系の機器類を見てみよう!
新幹線なるほど発見デー2014編・第2回


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「安全の要」


「新幹線なるほど発見デー」では、「車両」だけでなく搭載されている「機器類」も展示しています。
普段は床下などに搭載されている上にカバーで隠れているので、このような機会でなければなかなか見ることはできません。
しかもどのような働きをしているのかという説明も添えられているのがうれしいところです。


表紙の写真は、「ブレーキ制御装置」です。
最高速度270km/hという高速で走る列車の安全をつかさどる重要な装置といえます。
全車両一定ではなく、各車両の積載重量に応じて強さを変えるという制御を行っているんですね。

「ブレーキ制御装置
 ・役割
  ブレーキ制御装置は16両全ての号車の床下に搭載されており、運転士がブレーキ操作をした時に
  状況に応じたブレーキ力を制御する装置です。
  列車のスピードや重量等によって号車ごとにブレーキの強さを変えています。
 ・特徴
  列車のスピードだけでなく、お客様の乗車人数によって列車の重量が変わるため、
  センサーで重量を検知し状況に応じて号車ごとにブレーキの強さを変えています。」


新幹線N700系電車@Wiki


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「N700系」で初めて導入された「車体傾斜制御装置」
「東海道新幹線」内にある半径2,500mのカーブでは、従来の車両では255km/hに減速する必要がありました。
最高速度の270km/hのままだと「遠心力」が規定値以上になってしまうためです。
そこでこの装置を導入することで、最高速度を保ったままカーブを通過できるようになりました。
対象となるカーブ以外でも車体を水平に保つような制御も行われていて、乗り心地向上に一役買っているとのこと。
ちなみに「東海道」区間に乗り入れない「JR九州」所属の「N700系」には搭載されていません。

「車体傾斜制御装置
 ・役割
  東海道新幹線はカーブが多く、最高速度270km/hでは走行できない区間が多くありました。
  列車の到達時間を短縮させるためには、カーブの走行速度を向上させる必要があります。
  これを実現させたのが「車体傾斜制御装置」です。
 ・特徴
  新幹線はATC装置により、現在どこを走行しているか把握できるようになっています。
  カーブが近付くと空気バネに空気を送り、車体を傾けることでカーブの走行速度を向上させています。
  直線区間で車体を傾斜させたり、カーブと逆方向に傾斜させてしまうと乗り心地が悪くなってしまいます。
  また一編成(16両)は400mと長く、カーブで傾斜させるタイミングは号車によって違うため非常に精密な装置です。」



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「コンプレッサー」とも呼ばれる「空気圧縮機」
駅などに停車中、床下から「ゴトゴト」とやや騒々しい音を立てているのはその作動音です。
といっても「新幹線」車両や最近登場した車両では静音タイプなのか、その音が聞こえなくなりつつありますけどね(^^;

「空気圧縮機
 ・役割
  空気圧縮機とは、ブレーキや出入口ドア、ワイパーなどに必要な圧縮空気をつくる装置です。
  分かり易く言うと「空気入れ」の役割をしています。
  空気圧縮機で作られた空気を元空気ダメ(タンク)に貯めておき、必要な時に必要な機器へ空気を送る様になっています。
  タンク内の空気が一定量より少なくなるとセンサーが検知し、自動的に空気圧縮機を稼働させ
  空気を補充する仕組みになっています。
 ・空気の流れ
   空気圧縮機 → 元空気ダメ(タンク) →
    ブレーキ、出入口ドア、空気バネ、気笛、ワイパー、車体傾斜、グリーン車腰掛(N700系)、便所等
 ・特徴
  空気圧縮機は300系まではレシプロ式(自動車のエンジン)が採用されていましたが、
  700系からは騒音や振動の少ない連続運転が可能なスクロール式が採用されました。
  また700系では一編成(16両)5台が搭載されていましたが、N700系からは車体傾斜装置の採用により、
  圧縮空気の使用量が増えたため一編成8台に創設されました。」



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「空気調和装置」
要するに「エアコン」ですね。

「空気調和装置
 ・空調って?
  空気調和装置とは、車内空気の清浄と快適な車内温度を保つためのものです。
  新幹線はトンネルなどの入るときに発生する「耳ツン」を防ぐために気密構造となっているので、
  外気との換気はこの空気調和装置で行っています。
 ・空調能力
  家庭用エアコン(12畳用)と冷房能力を比較すると・・・
   家庭用  約4kW
   新幹線用 約77kW → 約19倍の能力!
  新幹線1両の客室の広さは約36畳(14号車)なので12畳と比べて広さは3倍ですが、冷房能力は19倍となっています。
  これは、車体が外気の影響を受けやすいことと、1両に100人程度と多くのお客様に乗車していただいても
  快適な車内温度を保つためです。
 ・N700系空調の特徴
  全熱交換器を採用することにより、空調効率を向上させています。
  これは特に夏の暑い日に、換気のため排気する車内の冷えた空気で外の暑い空気を冷やす
  熱回収を行ってから取り込み、車内を快適な温度に維持するとともに空調装置の負担を軽くする装置です。」



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「700系」「戸閉装置カットモデル」
ドアの開閉させる機構と走行時にドアをロックする機構の2つがあり、どちらも空気によって動きます。
先ほどの「空気圧縮機」で作られた「圧縮空気」が使われる場所の1つですね。


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次は「モニタ装置」
これだけ聞くと「運転席」に搭載されたものを想像してしまいます。
でも「乗務員」だけでなく「乗客」などにも情報を提供する機器も含まれているようでした。

その代表の1つがこの「行先表示器」
この「幕式」タイプは現在では「700系」でのみ見ることができます。
ただし製造時から「JR西日本」に所属する編成は、当初から次に紹介する「LED式」が搭載されています。
「N700A」の登場によって順次「700系」は置き換えられていくので、このタイプが見られなくなるのも時間の問題。
くるくると変わっていく様子が楽しんですけどね。

「モニタ装置
 ・モニタ装置って?
  モニタ装置とは、新幹線を安全で安定的に走行させるために、運転士、車掌それぞれに必要な情報を提供したり、
  サービス機器を制御する装置です。
  お客様に対するものでは、車内にある電光掲示(テロップ)、駅に到着するときに流れる放送、行先表示、
  空調の温度設定などの制御をしています。
  運転士、車掌に対するものでは、新幹線走行状態や車両の状態を表示します。
  また、車両に万が一異常が発生した場合にその異常内容を乗務員に表示やブザーで知らせたり、
  故障内容を記録したりして、迅速で適切な対応ができるよう支援します。
  記録された内容はその後の調査の有力な情報にもなります。」



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こちらは「LED式」。
従来の「種別+行先」だけでなく、ご覧のようにいろいろな情報が表示されるようになっています。

今回のデモでは通常運転ではありえない「こだま999号」の表示が!
ほかにも「のぞみ」しかないはずの「1号」「こだま1号」として表示されたり、「こだま777号」なんてのも。
データさえ入力すればどんな列車も表示可能というのが面白いですね。
ちなみに今年3月の時点で「山陽新幹線」「新大阪駅」22:37発の「こだま773号」というのがあります。
あと2本増発されれば本当に「こだま777号」が運転されるんですが・・・・・(^^;


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「0系」「100系」に搭載されていた「MT200B形主電動機」のカットモデル。
昭和57年(1982年)1月「日立製作所」製とあったことから、「0系」で使用されていたもののようです。
ちなみに「100系」の第1編成が登場したのは3年後の1985年のことです。

「主電動機
 ・主電動機って?
  主電動機(メイン・モータ)とは、新幹線を走らせるための機器で、自動車でいうとエンジンです。
  新幹線を走らせるときには、モータの軸はなんと最大で1分間に5720回転!もの高速で回転させ、車輪を動かします。
  0系、100系時代は直流モータを使用していました。
  ミニ四駆のモータも直流モータです。」


「MT200形式主電動機 ~0系新幹線に搭載されていた直流電動機~
  昭和39年に初めて登場し、世界で初めて200km/hを超える営業運転を達成した0系新幹線。
  その走行用モータとして採用されていたのが、MT200形式主電動機です。
  直流電動機は整流子とブラシを有しているため定期的なメンテナンスを必要とします。
  しかし、速度およびトルクの制御が容易であるため、従来より走行用モータとして広く採用されてきました。
  MT200は原設計を三菱電機が担当し、当時の日本において最高峰の性能を誇りました。」


新幹線0系電車
新幹線100系電車
いずれも@Wiki


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こちらは「700系」に搭載されていたもの。
「三相かご形誘導電動機」という方式のもので、「300系」から搭載されています。
もちろん各車両で出力などの性能はちがってますが。

「  現在使われているモータは軽量で高出力な交流モータです。
  100系の直流モータは1台830kgあったのに対し、N700系の交流モータは1台約400kgと重さが約半分になったのに加え、
  パワーは1.5倍にもなっています。
  では、なんで最初から交流モータを使わなかったのでしょうか?
  それは...モータを動かす制御が技術的に難しかったからです。
  それを解決したのがCIなのです!
  CIについてはCIのところの説明を読んでくださいね(゜▽^*)
 ・定格性能(N700系)
  出力   305kW
  電圧   2300V
  電流   100A
  周波数  110Hz
  回転速度 3260rpm
 ・主電動機のパワー
  主電動機のパワーってどれくらいのパワーがあるんでしょうか?
  N700系のモータは305kWなので、それを馬力に換算すると、415馬力になります。
  それがN700系には56台も搭載されているので、1編成では23240馬力にもなるのです!
  自動車最速といわれているF1マシンが約700馬力(軽自動車は40~60馬力くらい)なので、
  F1マシン33台分ものパワーを持っているのです。
  すごいでしょ?o(≧▽≦)o」


かご形三相誘導電動機@Wiki


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「主電動機」を制御する「主変換装置」
略称の「CI」「Converter Inverter 」の頭文字をとったものです。

「主変換装置(CI)
 ・CIって?
  新幹線は、300系から三相交流誘導モータを使っていますが、そのための電気のコントロールは、とても複雑です。

  新幹線は止まっている時から動きはじめる時に大きな力が必要です。
  そんな時は、電圧を大きくしなければいけません。
  
  速く走ろうとすると、モータを速く回す必要があります。
  そんな時は、周波数を高くしなければなりません。

  モータを回すための電圧・電流・周波数を自由自在に変化させる働きをしているのがCIです。
  そのために、CIの中には半導体素子がたくさん入っています。
  電気が流れると半導体素子は熱くなってしまい壊れてしまいます。
  そのため、CIには素子を冷やす仕組みが必ず盛り込まれています。
 ・N700系CIの特徴
  N700系には素子を冷やす仕組みが違う2種類のCIがあります。
  一つは、扇風機のような装置(ブロアモータ)があるTCI3形。
  もう一つは、新幹線が走るときに受ける床下の走行風を利用することでブロアモータを無くしたTCI100形(ブロアレスCI)です。
  ブロアモータはとても重く146kgもあります。また、回転する時に騒音の元にもなります。
  ブロアモータを無くすことで重量が大幅に軽くなったほか、とても静かになりました。
  今後の新幹線のCIはブロアレスCIが主流になる予定です。」



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「新幹線」の模型、「Nゲージ」かな?を実際の運転台を模したコントローラーで操作体験ができるコーナー。
「マスコン」「ブレーキ」「逆転機」の3つのレバーがあり、「スタッフ」のサポートを受けながら操作します。
小さなお子さんが並んでいましたね。

「操作ボックス」の右にある「制御部」「アナログ」ながらかなり本格的。
ってか、廃車からの流用品なのかな??


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「サメ」「背びれ」のような形をしているのは「静電アンテナ」
「架線電圧検知」という機能もあったんですね~、知らなかった(^^;

「静電アンテナ
 ・静電アンテナって?
  両先頭車に設置されていて、電車線電圧検知及び構内無線用アンテナとしての機能があります。
 ・架線電圧検知
  架線に電気が流れているかどうかを調べます。
 ・構内無線
  駅構内で列車と信号扱い所との直接通話に使います。」



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いわずとしれた「パンタグラフ」
これは「700系」のもので、操作体験もやってました。

「パンタグラフ
 ・役割
  パンタグラフは屋根上に搭載されており、新幹線が走るのに必要な電気を架線から取り入れるための機器で、
  電化製品で言うと「コンセント」の役目をしています。
 ・電気の流れ
  パンタグラフから交流25000Vを取り込み主変圧器へ送る。
  主変圧器で交流1520Vに降圧したものを主変換装置へ、交流440Vに降圧したものを空気調和装置などへ送る。
 ・特徴
  パンタグラフは0系の時は一編成8台搭載されていましたが、300系以降は一編成2台搭載されています。
  走行時の騒音を低減するために空気抵抗の少ない形状となっています。」



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たたまれるとこんなにコンパクト。


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たたまれているときはフックで固定されています。


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「N700系」はこちらのタイプ。
先のと同じ「シングルアーム」タイプですが、シンプルなシルエットになっていました。
こんなにちがってたんですね~。


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次回は、新幹線ではたらく作業車を紹介します。
by sampo_katze | 2014-09-11 21:45 | 東海・中部 | Comments(0)


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