京都訪問 in 2014秋編・第11回
「京都水族館」を出ると、外は雨。 しかも結構降っています。 朝こちらに入るときは晴れていたので、雨の予報はどうなったんだ?と思ってたんですが予報どおりになりました(^^; さて、この先どうしましょう? 雨が降っていなければそれこそ適当にどこでも行けばいいんですけどね。 そのときふと頭に浮かんだのが、ここからすぐのところにある「梅小路蒸気機関車館」です。 「動力近代化」の下で廃止されていく「蒸気機関車」(以下、SL)を動態保存すべくできた施設で、 「梅小路機関区」(当時)の「扇形車庫」を活用し1972年(昭和47年)10月10日に開業しました。 現在でも「梅小路運転区」として現役の車両基地であり、6形式7両(SLは5形式5両)が在籍しています。 またこれに加えて展示SLも15形式あり、ほとんどが間近で見ることができるんですよ。 表紙の写真は、入り口となっている「旧二条駅」の駅舎です。 1904年(明治37年)の建築で、国内でも最古参級の駅舎とのこと。 長らく現役でしたが沿線の高架化工事に伴い、1997年(平成9年)にこちらに移築されました。 内部は資料館になっています。 「京都市指定有形文化財 旧二条駅舎 旧二条駅舎は、京都鉄道株式会社の本社社屋兼駅舎として明治37年(1904)に建てられた。 京都鉄道は明治40年に国鉄に吸収され、以後国鉄、次いでJR西日本の駅舎として利用された。 建物は本屋の両端に翼を張り出した左右対称の平面で、その正面と背面に庇(ひさし)をもうけ、 正面中央に車寄をもうけている。本屋の中央部分を入母屋造(いりもやづくり)の2階建とし、 棟の両端に鴟尾(しび)をのせる。両翼は入母屋造、正面中央の車寄は切妻造(きりづまづくり)となっている。 全体的には伝統的な和風の意匠を基調とするが、待合所の丸柱の柱頭(ちゅうとう)飾りや上げ下げ式の窓などに 洋風の意匠が取り入れられている。また構造的には小屋組にトラスを組む洋風の技術が採用されている。 当初の本屋の1階は中央に広く待合所をとり、手荷物取扱所・改集札係室などを配していた。 2階は事務所にあてられていた。また正面向って右側の翼には一二等待合所と特等待合所が廊下を挟んで並び、 反対側の翼には貨物係室・駅長室などが置かれていた。 旧二条駅舎は、京都の近代化を体現する建築遺構であるだけでなく、明治期に建築された 本格的な和風駅舎としては現存する唯一のものであり、平成8年4月1日、京都市指定有形文化財に指定された。」 ※説明板より引用、以下同じ blogram ランキング参加中!よろしければクリックをお願いします。 というのも屋外は雨が降っているので(^^; これは「投炭練習機」。 「SL」の動力源はその名の通り「蒸気」ですが、それを発生させるために必要な燃料が「石炭」です。 これを「カマ」の中に入れて燃やし、「ボイラー」の水を沸かして「蒸気」を発生させます。 その「石炭」は人力で投入するわけですが、その作業の習熟は実機ではなくこの練習機で行うんですね。 考えて見れば、実機で燃やしてしまうのはもったいないですから。 「蒸気機関車(この場合D51形)を1km走らせるためには、石炭が約40kg必要です。 大スコで1回にすくえる石炭の量は約2kgなので、20回投炭しなければならない計算になります。 つまり10kmの距離では約200回、100kmでは約2,000回も投炭しなければいけないため、かなりの重労働になります。」 その組み合わせでエリア分けをして、それらに均一に投炭できるように訓練したものと思われ。 均一に投炭できないと燃焼効率が悪くなってしまうからでしょう。 でも、あの狭い投入口からこれだけ広いエリアに均一に投炭するのは至難の業ですね。 相当な訓練が必要そうです。 1回にすくえる「石炭」の量は2kgとありますが「大スコ」自体も結構重いので、投炭作業の大変さを実感できますよ。 先の説明によれば、100kmを走るのに約2,000回の投炭・・・・・気が遠くなりそうです(^^; ちなみに100kmは「東海道本線」でいうと「東京駅」から「熱海駅」あたりまで。 わたしだったら「新橋駅」でもうダメかも(笑) 続いては「駅弁」のお供として登場した「お茶」の容器です。 現在は「缶」や「ペットボトル」が主流ですが、最初は「土瓶」でした。 ここには登場当時に使われていたいろいろな「土瓶」、それに続く各種容器が展示されています。 「変わりゆく旅の器たち ~汽車土瓶~ 駅売りのお茶と汽車土瓶 今も昔も、列車の旅で楽しみなもののひとつとして、「駅弁」があります。 駅弁の販売は、1872(明治5)年に新橋-横浜間で鉄道が開業した5年後の、1877(明治10)年に 神戸で始まりました。 そして、駅弁とともに、お茶が販売されるようになったのは、駅弁販売からさらに10年以上たった 1889年(明治22)で、静岡駅で販売されたという記録が資料に残されています。 同年は新橋-神戸間が開通した年で、各区間を結んでいた路線が一つにつながったことで、 本格的な「鉄道の旅」が始まりました。そして、当時の食堂車の料金はたいへん高額であり 一般の人々には高嶺の花であったことから、駅弁とお茶の需要は急速に広がっていきました。 駅売りのお茶は、「汽車土瓶」に入れられて販売されていました。この汽車土瓶は、陶器製の容器で、 販売当初は茶瓶のみでしたが、後に湯呑もセットで販売されるようになりました。また、汽車土瓶の製造は、 益子(ましこ・栃木県芳賀(はが)郡)や信楽(しがらき・滋賀県甲賀(こうが)市)などで行われていました。 なお、汽車土瓶は消耗品として扱われていたため、お土産として持ち帰ることもできましたが、 そのまま駅に廃棄する人も少なくなく、回収した汽車土瓶を洗って再利用することもありましたが (再利用は大正時代に禁止されたこともあります)、駅に埋められることもありました。」 回収したものが駅に埋められることもあったという記述を裏付けてますね。 普通の「急須」と比べるとふたの周りが高くなっていて、こぼれにくくしてあります。 また注ぎ口とその対角には耳がついていて、ここにひもか何かが通されて吊り下げられるようになっています。 側面には駅名が書かれているのも特徴的ですね。 中央にあるものは「づふこ」と読み取れます。 これは「東海道本線」の「国府津駅」(こうづ)のものと思われ。 一説によればこの駅が「東海道本線」で初めて「駅弁」の販売を始めたそうです。 「京都駅から出土した汽車土瓶 1993(平成5)年から始まった4代目京都駅の工事の際に、土中から発見された汽車土瓶です。 発見された汽車土瓶には「なら(奈良県奈良市)」「柘植(つげ・三重県伊賀市)」「柳井津(やないつ・山口県柳井市)」 などの駅名が書かれています。(梅小路蒸気機関車館 所蔵)」 「瀬戸焼」は縦長で八角形になっているという独特のシルエットを持っています。 また「信楽焼」はふたのある部分が大きく開口していて、その周囲に段がつけてあります。 やや平たい形になっているので安定感が高そうですね。 揺れる列車の中でもこれなら安心? 「瀬戸産の汽車土瓶 「鉄道管理局指定」、「空壜(からびん)空折箱などを窓の外へ投げすてる事は危険ですから こしかけの下に置き下さるか又はお持ち帰り下さい」と書かれています。(梅小路蒸気機関車館 所蔵)」 信楽産の汽車土瓶 1945(昭和20)年ごろに製造された信楽産の汽車土瓶です。(信楽学園 寄贈) 中身が見えることが重要視されたんですね。 ほかにも写真はありませんが、現在の製法で作った復刻版の「土瓶」なども展示されていました。 さすがにこれだけ「缶」や「ペットボトル」が普及していると、「土瓶」はおいそれとは使えないでしょうけど 「SL」がけん引する列車限定などで復刻版を使用するのも面白そうですね。 「汽車土瓶の変遷 1889(明治22)年の販売開始以降、汽車土瓶は広く普及していきました。しかし、陶器製の汽車土瓶は、 沈殿物や不純物などが混入していてもわからないため、不衛生であると考えられるようになりました。 そして、1921(大正10)年、当時の鉄道管理局が通達を出し、一見して中身を確認することが出来る ガラス製の容器(ガラス茶瓶)の使用が各駅に義務付けられました。 しかし、このガラス茶瓶は落として割ってしまったり、熱いお湯を入れると割れてしまったり、飲み終わった空の瓶が 線路に投げ捨てられ、線路工夫(こうふ・保線している作業員)が怪我(けが)をするなどといった欠点があったたため、 登場から約10年ほどで姿を消し、再び汽車土瓶が使用されるようになっていきました。 その後、1950年代末ごろから、手軽で便利なポリエチレン製の容器によるお茶の販売が始まると、 汽車土瓶の需要は少しづつ減少し、姿を消すこととなりました。しかし、ポリエチレン製の容器は、 熱いお湯を入れると、ポリエチレン特有の臭いがしたことから、敬遠されることも多かったようです。 また、1960年末ごろから缶飲料が、そして1980年代には飲料のペットボトルが販売されました。 なお、現在では、ペットボトルや缶飲料などの、リサイクルしやすいものが中心ですが、一部の駅や施設では、 信楽産などの汽車土瓶が復刻販売されています。」 駅舎自体が移築の際に規模を縮小されていますが、「貴賓室」もなくなってしまったんでしょうかね。 展示中の「SL」は一部を除き、「運転席」に入ることができるようになっています。 また車両の周りに設置されたデッキに上がると、車両の上部の様子を眺めることができますよ。 で、これは「保守作業員」が線路の確認や点検に使用した「軌道自転車」。 名前そのままに線路上を走ることができる「自転車」で、しかも「タンデム」! 「ハンドル」中央部には「ライト」と「警笛」があり、さらには小型の「エンジン」もついています。 なかなか魅力的ですが、「サスペンション」などは皆無なので乗り心地は・・・・・?(^^; ちなみに「岐阜県飛騨市神岡町」では、廃線跡を利用した「レールマウンテンバイク」を実施中! こちらの車両とはちがいますが、線路上を「自転車」に乗って自分の足で走ることができるんですよ。 詳しくは「レールマウンテンバイク」で検索! 「軌道自転車 保線作業の際に移動するときに用いるもので、工事箇所を巡回したり、材料の運搬などで用いました。 1922年(大正11)に開発され、かつては三輪のものもありました。展示中のものは二人乗りで 機材を約130kg積めるほか、勾配区間で用いる補助エンジンも付いています。」 まずは「扇形車庫」の全景。 小型から最大級まで、「SL」がいろいろそろっています。 右端に見える赤い車両は「50系客車」で、休憩室として利用されています。 ボイラーの太さを見ると2倍くらいのちがいがありますね。 といっても引きが取れないため、足回りのあたりに注目した構図ですが(^^; 「動輪」が2本なので、形式の頭がアルファベット2番目の「B」となります。 こちらもやや斜めからですが。 先ほどの「B20形」と同じ目線の高さで撮っているのですが、動輪の大きさのちがいは歴然としています。 ちなみに「C62形」は1750mmで「B20形」の860mmの2倍以上もあるんですね。 この機種は「狭軌における蒸気機関車最高速度」を記録した機種でもあり、その時速は129km/h。 その記録ホルダーの17号機は「名古屋」にある「リニア・鉄道館」で展示されています。 「C62-17」を訪ねたときの様子はこちら 2013年11月16日の記事 日本最速を記録した蒸気機関車・C62-17 「お召列車牽引機」の装飾が施されていて、正面には「菊の御紋」が掲げられ 側面の「除煙板」には「鳳凰」のレリーフが取りつけられています。 ポールや手すりも白く塗装されていて異彩を放っていますね。 余談ですが「除煙板」は「デフレクター」、略して「デフ」と呼ばれることが多いです。 そこにいたのは「7100形蒸気機関車」です。 以前「大阪」の「弁天橋駅」そばにあった「交通科学博物館」で展示されていましたが、昨年4月の閉館を機にこちらに移籍。 さらに構内運転ができるようにすべく復元作業が施されているんだそう。 「SL」といえば「デゴイチ」の愛称で親しまれる「D51形」を思い浮かべる方が多いと思いますが、 わたしはこの「C62」が好きですね。 これが愛称のもととなり、人気の一因になっています。 「DE10形」は「嵯峨野観光鉄道」を走る「トロッコ列車」を牽引する専用機で、ここにいる1156号機は予備機です。 また左の「D51 200」は整備の上、2017年度以降に本線での営業運転が予定されているとのこと。 これは楽しみですね(^^) 「JR東日本」所有の498号機との共演も見たいところですが、さすがに難しいかな? すべて D700+24-120mmF4G/VR 次回は2日目、清水寺を訪ねます。
by sampo_katze
| 2015-03-11 20:25
| 関西
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