ふじの中にある南極の博物館
名古屋訪問Ⅳ~名古屋港ガーデンふ頭編・第3回


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「歴代の南極観測船の模型」


「体験型歴史的資料」と銘打った「南極観測船ふじ」の見学。
地下1階から一気に2階へと上がります。
このフロアは3基搭載されていた「ヘリコプター」を格納していたところ。
それを改装して「南極の博物館」として様々な展示がされています。
主な内容は自然、歴史、観測の様子、そして「昭和基地」での暮らしなど。
それほど広くはありませんが、展示内容はかなり充実していました。

ちなみに「東京都立川市」にも「南極・北極科学館」というのがあります。
「国立極地研究所」の付属施設で、2010年7月に開館しました。
こちらも行ってみたいですね。


表紙の写真は、歴代の「南極観測船」の模型です。
手前にある「帆船」は、1911年(明治45年)1月に初めて「南極」に到達した「開南丸」(かいなんまる)。
オレンジの船体は手前から順に「宗谷」、「ふじ」、「初代しらせ」です。
船体の大きさは大きく、そして幅も広くなっていってますね。
なお、現行の「2代目しらせ」の模型はありません。


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「南極観測隊」といえばやっぱり「犬ぞり」
そうイメージしてしまうのは映画「南極物語」の印象が強いからでしょうか。
もちろん「高倉健」さん主演のですよ(^^)
これは「ニュージーランド」の「観測隊」が使ったもの。
16年もの長い間使われていたんですね。

「ニュージーランド南極観測隊の犬ぞり
 このそりは、ナンセンそりといわれ、ハスキー犬がひっぱるように設計されており、
 凍結してでこぼこになった雪原を走るにも十分耐えられるような構造になっています。
 昭和46年に作られ、昭和62年まで、南極スコット基地周辺で、人の輸送や物資の輸送に使用されました。
 なお、このそりと衣類は、ニュージーランド前南極局長 R.B.トムソン氏の尽力により、昭和63年5月、
 同国科学産業省から贈られたものです。
 材質:ニュージーランド産赤ブナ
 使用の状態:通常11頭の犬で600kgの荷物をひき、好条件の日は、1日で、32km走ることができました。
 製作者:木工の名匠、R.J.スペンス氏 ニュージーランド、クライストチャーチ」



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こちらは観測の様子を再現したもの。
右から測量機器「トランシット」を使っての測量、「ラジオゾンデ」での気象観測、
そして「アデリーペンギン」の生態調査の様子です。

「野外調査のようす
 観測隊は、地学(固体地球物理、地質、地理)、雪氷学(氷河学)、気象学、生物学などの分野で野外調査を行っています。
 このジオラマは、次の観測のようすを紹介しています。
 地学 :地質学、地理学などの基礎となるトランシットによる測量
 気象学:ラジオソンデによる高度約25km附近までの気圧、湿度、温度を測る
 生物学:アデリーペンギンのルッカリー(むれで巣をつくるところ)での生態調査」



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1965年(昭和40年)3月18日に行われた「ふじ」の「進水式」の様子。
船首部分に白い大きな物体が取りつけられていますが、これは「浮力タンク」とのこと。

「ふじの誕生
 ふじは、昭和40年(1965)の南極観測再開を機に、わが国で最初の本格的な極地用の砕氷船として、
 日本鋼管(株)鶴見造船所で造られ、船名も44万通の一般応募のなかから「ふじ」と決められました。
 宗谷時代の経験を生かし、ふじは特に空輸に重点をおいてヘリコプターが3機も入る格納庫を備えています。
 進水式は、昭和40年3月18日、処女航海には同年11月20日、第7次観測隊員40名と物資469トンが積まれ、
 東京港晴海ふ頭を出港しました。」



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「支綱切断」に使用された「斧」
式では「美智子妃殿下」(当時)がなされていて、その写真パネルも展示されています。
「斧」の部分を見学者の方々がさわるせいか、パネルのその部分だけがボロボロになっていましたが(^^;


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「荒天帯」を航行時の船首付近の様子。
「南極」に向かう際は緯度が高くなるほど海が荒れ、「吠える40度、狂う50度、叫ぶ60度」と呼ばれる
激しい嵐の海域を航行していきます。
大きくわき上がる白い波しぶきがその激しさを物語っていますね。


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そんな荒れた海上を航行中でも、こんな感じで食事をとっている乗組員たち。
かなり船体が揺れていると思うんですが、慣れなのか平気な顔をしているのがすごいですね(^^;
鍋ややかんが天井から伸びたロープにつながれて、ひっくり返らないように処置されています。


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これは観測隊員が所持していた「免許証」
もちろん「南極限定」ですが、内容がなかなかおもしろいです。


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移動手段の1つである「スノーモービル」
極地向けの特殊仕様なのかと思いきや、市販されているものをベースに対策を追加してあるだけなんですね。

「スノーモービル
 このスノーモービルは、基地周りの連絡、荷物の移動や内陸調査などに使用されました。
 調査旅行では、観測機材や装備を積んだ小型そり1台をけん引走行しました。
 平成10年4月13日、南極観測船しらせが南極昭和基地から持ち帰ったものです。
 ●仕様
  日本で市販されているものに防雪対策を施しています。
  1.分離給油方式ではなく、混合油(ガソリン+エンジンオイル)を使用
  2.大きなフードをつけて強風から守った。
  3.氷上で滑らないように履帯(キャタピラ)にはスパイクが打ってある。
  4.グリップにはヒーターを取り付けてあり、手を保温。
 年式:1986年(昭和61年)式
 使用:第29次南極観測隊(1987年~1989年)から第38次南極観測隊(1996年~1997年)
 長さ:2m57cm  幅:99cm  高さ:1m10cm  重さ:186kg  総排気量:337cc
        協力 国立極地研究所」



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初代の「雪上車」
「ボンネットバス」のように先頭部が長く伸びているのが特徴ですね。
現在使われている大型車はこの約3倍の容積があるようです。

「雪上車
 この雪上車は、日本南極観測隊の第1号車で、第1次隊から第5次隊まで使われていたものです。
 長さ:4.05m  幅:1.95m  高さ:2.15m
 車輛総重量:2,880kg  最高速度:45km/h  総排気量:3,878cc  最高出力:105ps/3,200rpm

 現在の雪上車
  SM100S雪上車は、大規模な調査・輸送用に開発された大型の雪上車で、気温-60℃、高度4000mの環境でも
  稼働することができます。車内には運転席を含め4座席と2名分のベッドがあり、炊事も車内でできます。
  長さ:6.91m  幅:3.45m  高さ:3.24m  車輛総重量:11,500kg
  最高速度:21km/h  総排気量:11,000cc  最高出力:220kW(300ps)/2,000rpm」



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物資輸送に使われた「木製そり」
積載量は2トンとかなりのものですが、速度は時速10km以下と低速で行うために輸送はかなり大変だったよう。

「木製そり(2トン積み用)
 このそりは南極で約10年間、みずほ基地やドームふじ観測拠点(現ドームふじ基地)といった内陸基地などへの
 物資輸送や、内陸調査旅行に使用されました。
 そりは大型雪上車でけん引します。そり1台には軽油や灯油の200リットルドラム缶を12本積むことができ、
 このドラム缶満載のソリ同士7台をワイヤーで連結したものを、雪上車は一度に運ぶことができます。
 そりでの輸送は時速10km以下で行うため、昭和基地から約1000km離れたドームふじ観測拠点までなら
 約3週間かかります。
 厳しい気象条件に耐えられるように、そりの主要構造材には広葉樹の一種のアサダを、
 滑走面には同じくケヤキを使用しています。
 平成10年4月13日、南極観測船しらせが南極昭和基地から持ち帰ったものです。
 製造年:1987年(昭和62年)3月
 使用:第29次南極観測隊(1987年~1989年)から第38次南極観測隊(1996年~1997年)
 長さ:4m20cm  幅:1m60cm  高さ:96.5cm  重さ:800kg
        協力 国立極地研究所」



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「南極の氷」(左)と「日本の氷」の比較。
全体が白っぽいのが「南極」ものの特徴ですね。

「南極の氷
 南極大陸の氷は、降り積もった雪がその重さでおしつぶされ氷となったものです。
 この氷が白く見えるのは、中に空気が閉じ込められているからです。
 また、氷の中には、起源の異なるさまざまな物質が含まれており、これらから雪が降り積もった
 当時の気候などを調べることができます。
 採取地点 昭和基地の北北東 南緯68度59分46秒 東経39度35分06秒
      2010年1月末頃 オングル海峡の氷山より南極観測船「しらせ」が採取」



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「南極大陸」の断面。
断面を見てもそのほとんどが氷で占められているのがわかります。
また標高も最高点で4000m近く、平均2000mと世界で最も高い大陸なんだそう。
それだけこの大陸にある氷の量が膨大だってことなんですね。

「南極大陸のおいたち
 ■南極大陸の地形と氷の厚さ
  南極は南緯90度の南極点を中心に広がる1380万平方キロメートル(棚氷を含む)の大陸で、
  日本の約37倍の面積があり、これは世界の陸地の面積の10分の1にあたります。
  南極大陸の95%以上は氷(氷床)でおおわれており、氷の厚さは平均で1856m、
  最も厚いところでは4776mもあり、地球上に存在する氷の約90%が南極にあります。
 ■大陸のおいたち
  今から40億年くらい前に地球上にできた最初の陸地は、集合したり分離したりしながら次第に成長していき、
  20億年くらい前までには巨大な大陸が生まれました。さらに分裂と集合をくりかえした結果、
  約5億年前にできたのがゴンドアナ超大陸です。南極大陸になる部分は赤道付近にありました。
  この超大陸は約1億8千万年前から、再び分裂を始め、南極大陸が現在の位置になったのは
  約6千万年前のことです。」



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現在運用中の「南極観測船」は2代目の「しらせ」。
2008年4月進水、2009年5月竣工、同年11月に初任務に就きました。
船首から出ているのは砕氷の補助の役目を果たす「散水装置」からの放水です。

「南極観測船「しらせ」 1:100
 基準排水量:12,500トン  全長:138m  最大幅:28m  馬力:30,000ps  巡航速力:15kt
 推進方式:ディーゼルエレクトリック  搭載機:CH101輸送ヘリ×2機、観測ヘリ×2機
 乗員数:179名  観測隊員など:80名  竣工:2009年5月20日  建造所:ユニバーサル造船(舞鶴)」



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実際の運用の様子。


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屋外の「飛行甲板」へ。
あいにくの雨でちょっと残念ですが。
そこには1基の「ヘリコプター」が展示されています。
「ふじ」の初任務となった第9次から第15次までパートナーとして活躍した機体とのこと。

「飛行甲板
 ふじには輸送用や氷の状態などを偵察するヘリコプター3機が乗せられており、
 飛行甲板では1機ずつ発着できるようになっています。
 格納庫の前から船尾までは38m、外側の手すりは油圧起倒式で広げられます。
 発着を管制する部屋は格納庫の上にあります。
 ふじが航海中は、毎朝ここで朝礼や総員体操などが行われていました。

 ヘリコプター
  このヘリコプターは、昭和40年(1965)6月南極観測輸送支援用として製作されたもので、
  同年の第7次から15次までの9回にわたってふじに乗せられ、主に昭和基地へ資機材約2,000tを
  空輸するなど活躍しました。

 主要目
  全長:16.69m(メインブレードを除く)  全幅:4.77m(メインブレードを除く)  最大高:4.71m
  搭載能力:3.50t  メインローター回転翼半径:9.45m」



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側面に描かれた「ペンギン」のイラスト。
モデルとなったのは「エンペラーペンギン」かな?
胸元のT字のようなラインは本来はないものなので、何か意味があるのかも?


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最後は3階の「ブリッジ」の見学!
と思ったんですが、折からの雨ですべりやすくなっているため見学は中止に。
わー!一番の楽しみの場所が見られないなんて・・・・・。
それならその旨を入口に掲示しておいてほしかったな~(^^;
ともあれ、今度雨が降っていないときに再訪問したいですね。


すべて D700+24-120mmF4G/VR


次回は、ポートビル内にある名古屋海洋博物館と展望室を見学します。
by sampo_katze | 2016-05-18 21:30 | 博物館・美術館 | Comments(0)


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