希少淡水魚と世界遺産白神の魚のゾーン
新幹線で水族館に行こう!@浅虫水族館編・第6回


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「世界自然遺産の森」



「冷たい海の魚」ゾーンの次は「希少淡水魚」のゾーンです。
ご当地「青森県」「十和田湖」やそこから流れ出る「奥入瀬川」が形成する「奥入瀬渓流」が有名。
「世界自然遺産」に登録された「白神山地」もありますね。
また「淡水」ではなく「汽水」ですが、「小川原湖」(おがわらこ)や「十三湖」(じゅうさんこ)も。
この2か所は「シジミ」の産地として知られているんだそう。
「青森県」は三方を海に囲まれているので海の幸に目が行きますが、淡水の幸も豊富なんですね。

さて、見学の順路としてはこの2つのゾーンの前に「海獣館」があります。
「キタオットセイ」「ゴマフアザラシ」「フンボルトペンギン」「ゼニガタアザラシ」の4種が見られます。
ですが、今回はここの写真がありません(^^;
というわけで、ここをスキップして「希少淡水魚」ゾーンへと進みます。


表紙の写真は、2階にある次のゾーン「世界遺産白神の魚」の様子です。
いくつかに分けられた水槽が並び、その中央には大きな木(もちろん擬木)がそびえています。
背景には「白神」の森でしょうか、うっそうとした雰囲気を醸しています。










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1階の「希少淡水魚」ゾーンに戻し、まずは「ヒメマス」です。
「青森県」で最大の「淡水湖」である「十和田湖」の名産の1つ。
ですが、元からここにいたわけではなく「北海道」「支笏湖」(しこつこ)から1902年(明治35年)に移入されたものが始まり。
国内で自然分布しているのは「阿寒湖」(あかんこ)と「チミケップ湖」だけだそうです。
なお「チミケップ湖」は「北見市」から南に約20kmほどのところにあります。
同じ「サケ科」の仲間「ベニザケ」との関係は以下の説明にゆずります。

「「ベニザケ」と「ヒメマス」
 ベニザケは「流れの途中に湖を持つ河川」を繁殖地としており、海から川をさかのぼり、
 湖よりも上流の川床に産卵します。フ化した子魚は湖へと下って1~数年を過ごした後、さらに海へ下ります。
 海での数年で大きく成長し、産卵のために生まれた川へと帰ります。
 このようなベニザケの生活史から、「海洋生活の部分」を欠いたまま成熟するようになったものが
 「ヒメマス(陸封型ベニザケ)」です。
 ベニザケの遡上南限は択捉島(日本の北方領土)で、現在国内にはベニザケの自然遡上する河川は有りません。
 北海道の阿寒湖とチミケップ湖だけにはヒメマスが自然分布していますが、これはかつての氷期(気候が冷涼化する期間)に
 本州北部の河川にまで遡上していたベニザケが、その後の間氷期(気候が温暖化する期間)の温度上昇によって
 海との往来を断たれ陸封されたものと考えられます。」


「移入された陸封型ベニザケ  十和田湖の「ヒメマス」
 ヒメマスは、北海道の阿寒湖とチミケップ湖だけに自然分布する「陸封型ベニザケ」で、
 天然資源に乏しく利用されていなかった十和田湖を活用するために、移入されたものです。
 その歴史は古く、今から約100年前、明治35(1902)年に青森懸水産試験場が
 北海道水産試験場千歳孵化場(支笏湖)から受精卵を県内に導入したことに端を発します。
 昭和27(1952)年以降は国や青森・秋田両県の水産部による放流事業が行われ、
 現在も十和田湖増殖漁業協同組合によって継続されています。
 このような努力により十和田湖の重要な水産資源となったヒメマスですが、
 その漁獲量は1985年以降激減してしまいました。
 この現象は、1982年に当然出現したワカサギとの、餌の競合によるものだと考えられています。」

※説明板より引用、以下同じ


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続いては「スギノコ」です。
これは通称で、おなじみ「ヤマメ」のこと。
体の側面に縦長の小判のような模様が並んでいるのが特徴ですね。
この模様は「バーマーク」(Bar Mark)と呼ぶそう。
実は「ヤマメ」も「ヒメマス」と同じく「陸封型」で、「降海型」「サクラマス」です。

「スギノコ」は「下北半島」を流れる「大畑川」(おおはたがわ)の最上流に生息しています。
通常「ヤマメ」の生息域は「イワナ」より下流にありますが、「スギノコ」は特殊で上流にあるとのこと。

「陸封型サクラマス(ヤマメ)の地域個体群  大畑川の「スギノコ」
 「ヤマメ(山女)」は「イワナ(岩魚)」と共に本州北部の河川系流域を代表する魚で、
 この2種が渓流上部から「イワナ域」「ヤマメ域」という順番に住み分ける事はよく知られていますが、
 青森県にはこの住み分けの原則に当てはまらないヤマメが生息しています。
 下北半島の大畑川最上流部(赤滝上流域)には、地元で「スギノコ」と呼ばれるヤマメが生息しています。
 この「スギノコ」はイワナよりも上流に生息するヤマメとして知られ、本来最上流に生息するはずのイワナは、
 赤滝(魚止めの滝)よりも下流にしか生息していません。この特異な生態をもつ「スギノコ」を保護するため、
 赤滝上流域は「スギノコ」の生息域として保護水面に指定され、釣などによる一切の捕獲が禁じられています。」


「「ヤマメ」と「サクラマス」と「スギノコ」
 「渓流のヤマメ」と「海で漁獲されるサクラマス(マス・本マス)」は全くの同一種で、
 どちらも標準和名ではサクラマスですが、一般的には「一生涯河川に留まるものをヤマメ」
 「ある時期を海で過ごす(降海する)ものをサクラマス」と呼び分けています。
 通常、本州北部のサクラマスはフ化後1年程を川で過ごした後、雌の大部分と雄の一部が「サクラマス(降海型)」になり、
 河川に残った雄のほとんどが「ヤマメ(河川残留型)」となるため、「ヤマメは、雄ばかり」「サクラマスは、雌ばかり」
 という現象が起きますが、滝により海への往来を遮断された「スギノコ(陸封型)」では雌雄両方が普通に見られます。」




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アップ気味に。
素人目には普通の「ヤマメ」とどこがちがうのか、見当もつきません(^^;



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3種目は「シナイモツゴ」です。
近縁種の「モツゴ」は知ってますが、こちらは初見。
外来種の放流や「モツゴ」との交雑などで絶滅したと考えられていました。
ですが1994年(平成2年)に発見され、保護活動がされているとのことです。
説明を読むと「モツゴ」との外観上のちがいは明確のようですが、「スギノコ」同様よくわかりません(^^;

「生き残っていた在来魚  シナイモツゴ
 コイ科ヒガイ亜科モツゴ属の淡水魚で、外見的な特徴は側線が不完全で前から3~5枚のウロコにしかないこと。
 モツゴに比べて頭が大きく、体型が太短いことなどです。
 かつては関東地方から東北地方にかけて広く分布していましたが、自然分布域の各地でモツゴ(西日本に自然分布)と
 置き換わる形で姿を消し、本亜種の基産地であった宮城県品井沼(しないぬま)でもモツゴに置き換わってしまいました。
 本県でもすでに絶滅したものと考えられていましたが、1994年青森平野(油川地区)の溜池で生息が確認され、
 青森市や地元住民グループによって保護活動が進められています。関東地方の個体群はすでに絶滅しており、
 現在は青森県・秋田県・山形県・新潟県の限られた水域にのみ生息しています。」




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こちらはおなじみ「ウグイ」です。
ですが「希少淡水魚」ゾーンにいる以上、只者であるはずがありません。
生息域は「下北半島」「恐山」(おそれざん)にある「宇曽利山湖」(うそりやまこ)。
この湖は酸性度が非常に高く、それを示す「pH」(ペーハー)は場所によりますが3.2~3.6。
数値だけではピンときませんが、この酸性度ですと「ウグイ」以外の魚は生息できません。
もちろん産まれてすぐこの環境で生息できるわけではなく、成長につれて適応していきます。
世界でもこれほどの酸性環境下で生息する魚類はいないようですね!(凄)

「宇曽利山湖
 日本三大霊場の一つとして名高い「恐山」(宇曽利山)のカルデラ湖で、「魚類が生息する、世界最強の酸性湖」として知られます。
 火山に由来する硫酸性の湧水によって強い酸性(pH3.2~3.6)を示します。
 pH(ペーハー)
 水溶液の酸性やアルカリ性を示す尺度
 pH1(酸性)-7(中性)-14(アルカリ性)
 夏ミカン pH3.3  オレンジ pH3.4  イチゴ pH3.6」


「ウグイ
 コイ目コイ科ウグイ亜科の魚で、北海道から九州までに分布しています。
 淡水型と降海型があり、北に生息するほど海に降りるものが多くなります。
 青森県では河川上流(渓流域)から海(沿岸域)までの広い範囲で見られ、成長すると全長30cm以上になります。
 宇曽利山湖産ウグイは小型で、全長20cmを越えるものは多くありません。
 親魚は、宇曽利湖山に注ぎ込む中性の沢をさかのぼって産卵します。
 卵から孵化した稚魚は中性の沢に留まりながら成長し、酸性水に耐えられる大きさ(全長3cm程)になってから宇曽利山湖へと下ります。」


「強酸性湖に生きる  恐山(宇曽利山湖)の「ウグイ」
 ウグイは、もともと塩分や水温などに対する適応範囲の広い魚で猪苗代湖などの弱酸性湖にも生息していますが、
 宇曽利山湖の強酸性水では他水域産ウグイは生存できません。宇曽利山湖産ウグイの特徴としては、
 鰓(エラ)の塩類細胞(体内の塩分を調節する器官)が特に大きく発達していることが知られています。」




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「希少淡水魚」ゾーンからは階段またはエレベータで2階へと上がります。
その左側に「世界遺産白神の魚」ゾーンがあります。

「世界自然遺産:白神山地
 白神山地は青森県と秋田県にまたがる約13万ヘクタールの山地で、標高1200m級の白神岳と向白神岳を主峰とし、
 標高800~1000m級の山が連なります。急な山と深い谷が繰り返す複雑な地形で、熊を狩るマタギ(狩猟集団)だけが
 入山する山域でした。このため自然環境が良好に保たれ、なかでも人工的な整備が加えられていない
 約1万7千ヘクタールが、1993年(平成5年)「世界最大の原生的ブナ林」として、
 屋久島と共に日本初の世界自然遺産に登録されました。」



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木にとまっているのは「キツツキ」の仲間の「クマゲラ」です。
国内で見られる「キツツキ科」の仲間では最大種で、最大全長は60cmを下回るくらい。
国内では「東北地方」北部から「北海道」にかけて分布しています。
全身は黒で、頭のてっぺんにはベレー帽をかぶったような赤い羽毛があります。
これはオスの特徴で、メスはこの赤い部分が後頭の方にのみあるとのこと。




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水槽の方に目を転じると「エゾイワナ」がいます。
「陸封型」で、「降海型」は「アメマス」と呼びます。
英名で「Whitespotted char」(ホワイトスポッテッド チャー)と呼ぶように、体に散りばめられた白の斑点が特徴。
特に「エゾイワナ」は亜種の中でもっとも白点が目立つんだそうです。



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正面顔も撮れました。
結構いかつい顔をしていますね。



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先にも登場した「ヤマメ」。
こちらは通常タイプで、「イワナ」より下流に生息域を持つものです。
「バーマーク」ももちろんありますが、上の子は模様の幅が細くなっていますね。


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小判紋様が薄く、ほとんど見えない子もいました。
「降海型」では海へと下る3~5月頃に「バーマーク」が消え、体色が銀色になるそう。
この現象は「スモルト」「銀化」(ぎんけ)と呼ぶとのことです。
でも時期もちがいますし(この日は7月)、体色も銀色とは言えないので個体差といったところでしょうか。



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こちらもノーマルタイプの「ウグイ」です。
先の「宇曽利山湖」の個体はひれのつけ根などが赤みを帯びていましたが、こちらのは銀色をベースに黄色みを帯びています。





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最後は、さらに次の「熱帯淡水魚」ゾーンから先出しで「レッドテールキャット」です。
とても大型になる「ナマズ目ピメロドゥス科」の仲間で、最大で1.2mにもなります。
見た目のインパクトや丈夫で飼育しやすいからか、あちこちで見られる定番の一種ですね。



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名前の由来となった赤い尾びれ。
黒っぽい背中と真っ白なお腹のツートーンにアクセントをくわえています。


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お約束の正面顔も。
体の割に目が小さく、結構かわいい感じがするんですよね(^^)
でも食欲は旺盛で、その大きな口で自分と同じくらいの大きさの魚も飲み込んでしまうこともあるんだとか。
かわいい外観にまどわされてはいけませんね。


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次回は最終回、熱帯淡水魚のゾーンです。
by sampo_katze | 2018-04-12 22:00 | 水族館 | Comments(0)


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