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田んぼの生物多様性コーナー
新幹線で水族館に行こう!@魚津水族館編・第3回


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「これは置物・・・・・」


「富山の河川コーナー」の次は、通路をはさんで反対側にある「田んぼの生物多様性コーナー」です。
「富山」「米どころ」としても有名で、2017年は生産量で全国1位になりました。
「田んぼ」ももちろん多いんでしょうけど、水や環境がいいというのもあるんでしょうね。
そして「米」がよく採れるということは、様々な生きものたちがいるということ。
ここでは「田んぼ」で見られる生きものたちを展示しています。


表紙の写真は、「富山の河川コーナー」と同じ並びにある水槽の中です。
ここには「ヒキガエル」の仲間がいます。
ですが、明らかに質感のちがうものが置かれていました。
どこかの「焼き物」のようですね(^^;










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こちらは本物の「アズマヒキガエル」です。
「アズマ」とあるように「東北地方」から「近畿地方」「山陰地方」の北部に自然分布しています。
体長は最大18cmほどとかなりの大型種です。
「カエル」というと水辺にすんでいるイメージがありますが、この種は産卵期以外は水から離れて生活しています。
確かにこの水槽にも水はまったくと言っていいほど張られていませんでしたね。


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目の後ろに見える平らな部分は「鼓膜」(こまく)。
「カエル」には「外耳」がなく、「鼓膜」がむき出しになっています。
そして「アズマヒキガエル」はこれが大きく、目と同じかそれより大きいです。
また目と「鼓膜」の距離も短くなっていて、見分けのポイントの1つになっているんだそう。


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ここにはもう1種「ナガレヒキガエル」と、「アズマヒキガエル」との「交雑種」がいます。
「ナガレヒキガエル」は「鼓膜」がほとんど見えず、「交雑種」はその中間とのこと。
おー、これだけちがいがあるなら見分けも簡単そうですね~。
でも・・・・・実際に見てみたらどうなるのかな?

「どこが違うの??
 ヒキガエルの仲間はとてもよく似ていますが、
 目の後ろにある「鼓膜」(こまく)の大きさで見分けることができます。

 アズマヒキガエル 大きい
 交雑個体     小さい
 ナガレヒキガエル ほぼない
  眼の大きさと比べてみれば分かりやすいよ!

 カエルの耳は人間のような耳たぶはなく、鼓膜がむき出しになっています。
 この鼓膜で水のゆれや空気のゆれを感じ取っています。」

※説明板より引用、以下同じ


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こちらは「鼓膜」がかなり小さく、目の直径の半分以下くらいです。
ということは「ナガレヒキガエル」との「交雑種」かな?


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こちらは一見すると「鼓膜」がほとんどないような感じです。
ということは「ナガレヒキガエル」?
でも、拡大してみると先の「交雑種」とほぼ同じくらいの「鼓膜」がありました。
う~~ん、やっぱり区別が難しいです(^^;


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さて、ではなぜこの2種の「交雑種」ができてしまったのか。
「アズマヒキガエル」は水の流れがほとんどないところで産卵します。
また「ナガレヒキガエル」がその名の通り、流れのあるところで産卵します。
つまり、本来の両種の産卵場所は対照的な環境なんですね。
ですが「ダム」「砂防堰堤」(さぼうえんてい)ができたことで、どちらにも適した産卵場所が発生。
このため交雑が発生してしまったと考えられています。

「出会ってはいけない二人
 近くにいながらも棲み分けをしていたアズマヒキガエルとナガレヒキガエルですが、
 富山県のある川では、最近の調査研究により交雑個体が次々と発見されました。

 棲み分け
  アズマヒキガエルの産卵場:山裾の水溜りなどの止水域(しすいいき)
  ナガレヒキガエルの産卵場:流水のよどみや淵など
  交雑のおきている産卵場 :適度に川の水が入り込み、とても緩やかな流れになった場所

 交雑してしまった原因:堰堤(えんてい)ができたことで、川の流れが緩やかになり、
 両種が繁殖できる場所ができてしまったためだと考えられています。
 砂防堰堤ができて人間は安全に暮らせるようになりましたが、
 思わぬところでその影響を受けている生き物もいます!」



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通路の反対側に移り、本題の?「田んぼの生物多様性コーナー」に入ります。
こちらは浅く水が張られています。
そこから顔を出しているのは「トノサマガエル」です。
大きさは4~9cm(メスの方が一回り大きい)で、「ヒキガエル」の半分ほど。
背中に白っぽい3本の縦じま、そして黒い斑点が全体に入ります。
また背中に緑の部分が見えることからオスのようです。


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コケで覆われた岩?の上にいたのは「ツチガエル」
「トノサマガエル」より一回り小さく、体長は3~5cmほど。
背中に縦長のイボのようなものがあることから「イボガエル」と呼ぶ地方もあるそう。
この呼び方は「ヒキガエル」を指すこともあるようですね。
またこの「カエル」にふれると「イボ」ができるなんていう話がありますが、そんなことはありません。
ただしかなりの異臭を放つらしいので、さわらない方が無難ですね。


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そのとなりにあるやや大きな水槽。
ここには木製の足場が組まれていて、その上には「ニホンイシガメ」がいました。
かつては単に「イシガメ」と呼ばれていましたが、近縁種の「ミナミイシガメ」と区別するため「ニホン」がついたそう。
甲羅の真ん中には筋状の低い突起が入っています。

「ニホンイシガメ
 イシガメ科  Japanese pond turtle
 山際の池や山間部の小川にすむ。
 甲羅は黄色みがあり尻側のふちがギザギザしていることが特徴。
 意外と速く泳げる。」



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こちらは「クサガメ」
名前の由来は足の付け根から臭いを出すことから。
甲羅の表面にある筋状の突起は3列あるのが特徴です。

「クサガメ
 イシガメ科  Reevell's pond turtle
 足の付け根から臭いを放つことが名の由来。
 魚、虫、水草、タニシなど何でも食べる。
 成熟したオスは真っ黒になる。」



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その下の水の中をのぞいてみましょう。
まずは「ギンブナ」です。
ごく普通の種ですが、説明を見てビックリ!
なんと、オスがほとんどいないんだそう!
また「他種の精子で発生する」と書かれていますが、発生の刺激になるだけで遺伝には関与しないとのこと。
そんな生態があるとは知りませんでしたね。

「ギンブナ
 コイ科  Gin-buna
 産卵期は4~6月で、オスがほとんどおらず、
 ウグイやドジョウなど他種の精子で発生することが知られる。」



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こちらもおなじみの「コイ」です。
「フナ」との大きな違いは、この写真では分かりづらいですが口元にある2対の「ヒゲ」
体高はあまり高くなく、全体的に細長いシルエットをしています。
もっと体高が高いイメージを持っていましたが、これは飼育されたり養殖されたもの。
対してこちらは野生の個体のようです。
同じ種でも生育環境によって体型も大きくちがってくるんですね。

「コイ
 コイ科  Carp
 丸い口で水底の泥と一緒に吸い込み、喉にある歯で貝などもかみ砕いて食べる。
 口ひげは2対ある。」


「コイに恋して
 コイといえば錦鯉。
 錦鯉は日本で作られた観賞魚で、自然界にいる真っ黒なコイの中から
 長い年月をかけて作り出されました。
 発祥は江戸時代中期の新潟県なのだ!」



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最後は「ナマズ」です。
立派な「ヒゲ」の持ち主で「コイ」と同じく2対ありますが、どちらもかなりの長さを持っています。
そしてこの「ヒゲ」には味覚を感じる器官、「味蕾」(みらい)があるんですね。
ちなみに食べるととても美味しいんですよ~。

「ナマズ
 ナマズ科  Japanese catfish
 河川の下流域や湖沼、池などにすむ。
 春、小川の浅瀬や田んぼの用水路に入り込み産卵する。
 カエルが好物。夜行性。」


「かっこいいだけじゃない ナマズのヒゲ
 ナマズのヒゲには味を感じる味蕾(みらい)という細胞がたくさんあります。
 ヒゲで味を感じることによって、濁った水の中や真っ暗な闇の中でもエサを見つけることができます。
 顔面前方にヒゲピーンが基本姿勢」




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次回は、波の水槽と海岸の生物コーナーです。
by sampo_katze | 2018-06-01 21:00 | 水族館 | Comments(0)


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