人気ブログランキング |
富山湾大水槽と深海生物コーナー
新幹線で水族館に行こう!@魚津水族館編・第5回


c0081462_20192179.jpg
「日本初が隠れている大水槽」


比較的明るかった「波の水槽」の次は、一転して暗い「深海生物コーナー」
そして「魚津水族館」のメインである「富山湾大水槽」があります。

「富山湾」は「富山県」北部に面していて「日本海」側では最大。
その深さもかなりあって「駿河湾」「相模湾」と並んで「日本三大深湾」の1つに数えられています。
その最深部は「駿河湾」がもっとも深くて約2500mにも達するそう。
対する「富山湾」と「相模湾」は1000m級ですが、これでも十分深いですね!

また「富山湾」は浅い部分が少なく、岸の近くから急激に深くなっているところも特徴。
海底(斜面)には深い谷、「海底谷」(かいていこく)が多くあって複雑な地形をなしているそう。
それは海の生きものたちの格好のすみかとなります。

水深300m以上の深い海には水温2℃前後の「日本海固有水」と呼ばれる冷水域があり、冷たい海にすむ生きものたちが生息。
それより浅いところは暖流の「対馬海流」の一部が流れ込むため、暖かい海の生きものたちがやってきます。
さらに「富山七大河川」を中心として多くの川が山や森の栄養分を運び込むので、とても恵まれた環境になっているんですね。
そのため約800種類いるとされる「日本海」の「魚介類」うち、なんと約500種類が「富山湾」に生息しているそう!
漁場と港が近いこともあって、「富山湾」は「天然のいけす」と呼ばれることもあるようです。
あ~、また行きたくなってきた(^^;

さて、「富山湾大水槽」ではそんな豊かな海の中にいる大型の魚たちを見ることができます。
もちろん「富山のスター」ともいえるあの魚がメインですよ。


表紙の写真は、「富山湾大水槽」の全景です。
館内でもっとも大きな水槽で、その水量は240tもあります。
でも、これよりずっと大きな水槽に見慣れた身からするとこじんまりとした感じも否めません。
何しろこの3か月ほど前に「海遊館」に行ってきたばかりでしたから(^^;
もっともあちらは1990年(平成2年)、こちらは1981年(昭和56年)と開きがありますけどね。










c0081462_20192404.jpg
水槽の真ん中をトンネルが通っています。
実はこれ、日本で最初に導入された「アクリル製トンネル」なんだそう。
今ではあちらこちらで見られるこの設備のルーツがここにありました。
鉄骨の支柱が入っているので全面アクリルではないですが、見学には支障はありませんよ。
ただ、説明板が設置された当時は「日本初」ではなく「世界初」と書かれていたようです。
では「世界初」はいつどこで導入されたんでしょうね?

「日本で最初のアクリル製トンネル
 これは、昭和56年(1981年)の三代目魚津水族館建設時に作られた「日本初の全面アクリル製のトンネル」です。
 当時は、補強の鉄骨を使わなければ設置することができませんでした。
 今や日本中の水族館などにアクリル製の大型トンネルがたくさんありますが、そのルーツはこの富山湾大水槽なのです。」

※説明板より引用、以下同じ


c0081462_20192677.jpg
では、水槽の中をのぞいてみましょう。
まずは「富山湾」を代表する「ブリ」です。
全長約1mになる「アジ科」の仲間。

成長するにつれて名前が変わる「出世魚」ですが、地方によってその呼び方もさまざま。
かなりややこしいですが、おおむね80cm以上になるとどこでも「ブリ」と呼ぶようです。
体型は前後に長い紡錘型で、体高はあまりなく丸々とした感じです。
体の側面中央付近には黄色のラインが入りますが、「カンパチ」とちがって目の上に黒いラインがありません。
ここの目玉だけに説明もかなり長いものになっています(^^;

「ブリ  Yellow tailfish  アジ科
 成長すると名前が変わる出世魚。富山湾のブリは脂がのった高級魚で、11月~12月がブリ漁の盛期。」


「越中鰤
 ~出世魚・ブリ~
  ブリは日本近海に広く生息する回遊性の大型魚で、成鳥に伴って呼び名の変わる「出世魚」として有名です。
  全国では100を超える呼称があり、富山県内でも西部の氷見(ひみ)では「ツバイソ→コヅクラ→フクラギ→ガンド→ブリ」、
  東部の魚津では「ツバイソ→フクラギ→ハマチ→ブリ」と地域によって呼び名が違います。
  一般的にはハマチは養殖ブリと思われていますが、魚津のハマチは天然1歳魚です。
  ブリと呼ばれるのは3歳以上の大型で、「鰤らしいブリ」と言えば体重が10kgを超す大物です。
  その姿・味ともに「富山湾の王者」と言えます。

 ~越中ブリの回遊~
  富山湾で漁獲される越中ブリの多くは、東シナ海で産まれ、幼魚は流れ藻とともに対馬暖流に乗って日本海を北上し、
  富山湾を含む日本海各地の沿岸域に分散します。
  その後、日本海と沿岸海域を小回遊しながら2歳を越した夏には北海道付近まで北上し、冬は能登半島以北で越冬します。
  3歳になると、再び北海道周辺海域まで北上し、イカやサンマを食べて成長します。
  初冬の頃、立派に成長したブリは越冬・産卵のために東シナ海付近に南下し、春に産卵します。
  南下の途中に、富山湾で漁獲されたものが越中ブリなのです。

 ~富山湾のブリ漁~
  富山湾ではお盆の頃にツバイソが姿をあらわし、沿岸域で成長しながら秋にはフクラギとなって漁獲されます。
  冬には北海道から南下してきたブリが漁獲されますが、荒れる冬の日本海では雷を伴った時化(しけ)のあとに
  大漁となることが多く、このような天候を「ブリ起こし」と呼んでいます。
  富山湾は定置網漁の発祥の地とされ、ブリ漁は今から400年近く前から始まったと言われています。
  現在は主に「越中式定置網」という大敷網で漁獲されています。
  北海道でたっぷり栄養を蓄えた越中ブリが、産卵前の一番脂が乗った状態で漁獲されるのが富山湾なのです。

 ~富山のブリ文化~
  越中ブリは富山県民に欠かせない冬の味覚で、刺身や照り焼き、鰤の残と大根の煮付けとして親しまれています。
  加工品では、塩ブリやカブラ鮓(ずし)が暮れの贈答品や正月料理とされます。
  また、その年に結婚した嫁の実家から嫁ぎ先へブリを贈る「歳暮ブリ」や、1月1日に射水市下村の加茂神社で行われる
  「ブリ分け神事」といった風習も残っています。
  古くは、富山湾で漁獲された塩ブリを牛の背に乗せて飛騨高山へ運んでおり、この道は「鰤街道」と呼ばれました。
  高山で「飛騨ブリ」と名前を変え、遠く信州まで運ばれて貴重な年取り魚とされていました。」



c0081462_20192915.jpg
続いては「スズキ」です。
全長は最大で1mを超えるものもいます。
平たくて細長い体型で、口はかなり大きいです。
「ブリ」と同じく「出世魚」で、呼び名がさまざまなのも同じ。
名前の由来も諸説あって、はっきりしたものはありません。
海水魚ですが川をさかのぼっていくこともあり、淡水域にも適応できる能力を持っているようです。

「スズキ  Japanese sea bass  スズキ科
 日本各地の沿岸に生息。成長するにつれ、呼び名が変わる出世魚。河川にも遡上することがある。」



c0081462_20193151.jpg
この水槽でもっとも大きいのがこちらの「クエ」
「ハタ科」の仲間で、超高級魚としても知られます。
体の側面に黒っぽい横しまが6本入りますが、それほどコントラストは強くありません。
また、しま模様に小さな斑点のようなものも交じります。

「クエ  Kelp grouper  ハタ科
 沿岸浅所の岩礁域に生息する大型種。成長すると全長2m、体重300kg以上になる。魚食性で待ち伏せ型。」



c0081462_20193484.jpg
「トンネル水槽」の上を悠然と泳ぐ様子を下から。
丸々とした巨体をしているので圧倒されました(^^;


c0081462_20193614.jpg
ここの中ではやや小型の「ウスバハギ」
全長75cmほどになり、「カワハギ科」の仲間では「ソウシハギ」に次ぐ大型種です。
平たくて薄い体とおちょぼ口は「カワハギ科」共通の特徴。
さらに「ウスバハギ」では口の下がふくらんでいるところが大きな特徴です。

「ウスバハギ  Unicorn filefish  カワハギ科
 全長75cmにもなる大型種。本州中部以南に分布。富山湾では、9~11月頃に漁獲される。」



c0081462_20193838.jpg
ネームプレートに隠れるようにしながらも、すぐそばにいてくれたので寄ってみました。
吻の下側がやや突き出ていて、口元からはなかなか立派な歯が見えました。
目の上には1本のトゲがありますが、根元の方しか残っていないようです。
背中にはやや不明瞭な小さな斑点が入っていましたが、うしろの子にはありません。
この部分の模様には個体差が大きいようですね。


c0081462_20194072.jpg
ちょっと戻って「富山湾大水槽」の手前にある「円柱水槽」へ。
ここには「カワハギ科」の仲間の「ウマヅラハギ」がいます。
全長は30cmほど。
「カワハギ」や先の「ウスバハギ」と比べて横に細長く、体高はあまりありません。
ひれが青みを帯びているのも1つの特徴ですね。
特に尾びれはたたまれているので、青が濃く出ています。

「ウマヅラハギ
 沿岸で群れを形成する。
 名前の由来は馬の面(ツラ)のような形。魚津ではコンゴリと呼ばれる。」



c0081462_20194337.jpg
顔のアップ。
吻はかなり突き出ていますが、上下で差はほとんどありません。
また、目の上にトゲがありますね。
雑食性でなんでも食べるようですが、「クラゲ」が好物。
触手に毒があってもお構いなしで食べてしまうことができるようです。


c0081462_20194544.jpg
「円柱水槽」を囲むように「深海生物コーナー」があります。
その中でスポットライトを浴びていたのは「ベイズワイガニ」です。
近縁の「ズワイガニ」は水深200m以下の比較的浅いところに生息するのに対し、こちらはそれよりも深いところに生息。
その名の通り全身鮮やかな真っ赤で、その存在感をアピールしています。
といってもこれは光が当っているから。
光がほとんど届かない深海では赤の方が目立たないんですね。

「ベニズワイガニ  Red queen crab  クモガニ科
 日本海や銚子以北の太平洋水深250~2300mに生息する。ズワイガニより赤色が濃い。」



c0081462_20194749.jpg
ここ「魚津」は「カニかご漁」の発祥の地。
サイズの小さな「カニ」はかごの目から抜けられ、自動的にリリースされるようになっているんですね。


c0081462_20195094.jpg
深海に生息する、レアな魚の模型も展示されていました。
「テングノタチ」(上)と「ユキフリソデウオ」です。
どちらも銀色の体に赤いひれが特徴。
目撃例はなく、捕獲例もほとんどないことから生態はほとんどわかっていません。

「テングノタチ」はとても細長い体型をしていて、体長は1mほど。
この写真では少し分かりづらいですが、頭の上部が前方に長く伸びています。
そのことが名の由来ですが、似たような名の「タチウオ」とはちがう分類に属します。

「ユキフリソデウオ」は体高があり、目もかなり大きいです。
体のうしろの方は一転して細長くなっています。
模型では「テングノタチ」の半分くらいですが、こちらも体長1mほどになるとのこと。

「テングノタチ  アカナマダ科  Unicorn crestfish
 2014.10.29 新湊沖定置網 
 沖合の中層に生息する。突き出した頭部の先端からは背びれが長く伸びる。
 浮き袋の上に墨汁嚢(ぼくじゅうのう)を持っており、総排出孔から勢いよく墨を噴出する。
 極めて珍しい魚で、世界的に見ても捕獲例は少なく、生態は不明。」


「ユキフリソデウオ  フリソデウオ科  Threadfin ribbonfish
 2015.1.20 新湊沖定置網 
 沖合の中層に生息する。体の前半部は体高があり、肛門あたりから急激に細くなる特徴的な体型をしている。
 体側には暗色の模様がある。捕獲例の少ない魚だが、富山湾では2014年頃から捕獲が相次ぎ話題になった。
 詳しい生態は不明。」



c0081462_20195206.jpg
こちらは有名な「リュウグウノツカイ」です。
全長は最大で10mを超えるものもいるという現存する世界最大の「硬骨魚類」
背びれの棘条と腹びれが長く伸びています。

「リュウグウノツカイ  リュウグウノツカイ科  Slender oarfish
  世界各地の暖かい海域に生息する世界最大の硬骨魚類で、全長は10mを超える。
 主に沖合の中層域で生活するとされるが、生態は謎に包まれている。
 真っ赤な背ビレの前部と腹ビレは紐のように長く伸びる。
 また、体表にはイボ状の突起が散在し、暗黒色の模様がある。
  世界的に見ても確認例の少ないリュウグウノツカイだが、2009~2010年にかけて日本海側の各地で相次いで捕獲され、
 大きな話題になった。その始まりは、2009年12月15日に黒部市の海岸で発見された全長396cm(展示中)の個体である。
 その後、わずか3か月の間に、富山・新潟・福井・山口・鳥取などで十数個体以上が確認された。
 富山湾では2013年以降も数個体が確認されている。」


「なぜ日本海に出現するのか?
 リュウグウノツカイの生態は不明なので、明確な理由は分かりませんが、推測してみましょう。
 日本海でリュウグウノツカイの卵や稚魚は確認されていないので、日本海で見られるリュウグウノツカイは、南の海で産まれ育った後、
 対馬海流に乗って日本海に入り込んだと考えられます。では、たくさん出現するようになった理由は何なのでしょうか?
 日本海の海面水温は100年間で約1.5℃も上昇しており、温暖化の影響とされますが、表層や深層では大きな変化は認められません。
 そうなると、本種の本来の生息域である南の海で何か変化が起きているのかもしれませんね。
 最近は、本種と同じような場所で生活するユキフリソデウオやダイオウイカの出現も増えています。
 これが一過性のものなのか、それとも日本海に定着していくのか、興味深い話題ですね。」



c0081462_20195586.jpg
最後は「リュウグウノツカイ」の標本です。
2009年12月に東となりの「黒部市」の海岸に打ち上げられたもの。
体長4m近くもあるのでかなりの大きさです。
標本にするための処理をされているので白っぽくなってしまっているのは残念。
でも、色を残しつつ保存するというのは難しいんでしょうね。

「黒部市の海岸で発見されたリュウグウノツカイ
 このリュウグウノツカイは、2009年12月15日に黒部市の海岸に打ち上がった体長396cmの個体です。
 標本処理を施しているため、全身の色が抜けていますが、生きている時は、模型のような美しい体色・姿をしています。
 模型のモデルは標本の個体です。
 発見年月日:2009年12月15日
 発見場所 :富山県黒部市の海岸(黒部川左岸付近)」




すべて D700+24-120mmF4G/VR


次回は、表層生物コーナーです。
by sampo_katze | 2018-06-05 21:30 | 水族館 | Comments(0)


<< ただいま明石 波の水槽と海岸の生物コーナー >>