三沢市大空ひろばと青森県立三沢航空科学館編・第4回
![]() 「青森県立三沢航空科学館」の館内に入ります。 屋外の「三沢市大空ひろば」はフリースペースになっていて、展示機も見学できます。 「航空科学館」は入場料が必要となりますが、大人510円ですから安いものですね。 また訪問時は、69年ぶりに「十和田湖」から引き揚げられた「立川 キ54 旧陸軍一式双発高等練習機」(以下、立川54)の展示最終日。 ですが、実際にのぞいてみたら来年2019年3月31日まで延期になっていました! これまでも何度か延期されているようなので、このままずっと展示され続けるのかな? この機種は開戦直前の1941年7月から運用が開始され、1945年6月までに1342機が製造されたものの 全体が現存するのは当機のみという貴重な存在。 そして2016年7月2日には「日本航空協会」から「重要航空遺産」の認定を受けています。 できるだけ長く展示されるといいですね。 表紙の写真は、「立川54」をスターボードサイドから見たところです。 展示エリアにある鑑賞台に上がり、「iPhone5S」のパノラマで撮影しています。 機体全体に軽い損傷は見られますが、機体の形状は保たれているようです。 側面の大きな「日の丸」もかなり鮮やかで、とても70年近く湖底に沈んでいたとは思えません。 もちろんこれには様々な好条件が重なっていたからなんですけどね。 「立川 キ54 一式双発高等練習機 [経緯]初の本格的な双発練習機、操縦訓練だけではなく、航法、通信、射撃、写真撮影など、いわゆる機上作業全般に使用される練習機である。 昭和14年3月、陸軍から多目的双発練習機の試作指示があった。立川飛行機にとっては、初めての双発、全金属製、引込脚の機体であるが、 遠藤善吉技師の指導、品川信次郎技師の主務で、さらに自主的な研究により、14年4月設計に着手 同年12月に設計を完了した。 試作第1号機は、昭和15年6月24日に初飛行、当初から予想通りの好成績で、翌月審査に合格、正式採用が決定した。 一式双発高等練習機は、海外では米国ビーチAT-7ナビゲーター、T-11カンサス、英国のエアスピード・オックスフォード、 ドイツのフォツケウルフFw58ワイエ等に相当する機体であるが、これらの機体と比較しても、デザイン、構造、性能 いずれも引けをとらない出来映えで、立川のセンスの良さが光る傑作機だ。当然、生産機数も当初の計画を上回り、1,342機に達した。 引揚られた機体は、飛行第38戦隊(※)の訓練隊で使用していた1機で、昭和18年9月27日、能代から百式司偵の部品を八戸基地に取りに行く途中に、 十和田湖上空で事故(故障?)により、不時着し水没した。搭乗者4名の内3名が殉職した。 ※飛行第38戦隊は樺太落合飛行場を本拠とし、北千島に一部を派遣して東北方面の偵察や警戒に従事していた偵察部隊で 秋田の能代に訓練部隊を置いて、搭乗者の訓練をおこなっていた。18年5月31日現在の兵力は、百式司偵20機、一式双発高等練習機2機、 九九式高等練習機1機、九七式重爆撃機1機であった。 [主要諸元] 発動機:九八式450馬力発動機(正規与圧高度出力470hp/1,700m、正規地上出力450hp、最大地上出力510hp)2基 主要寸度:全幅17.90m、全長(水平)11.94m、全高(水平)4.950m、同(三点)3.8m、翼面積40.00㎡ 重量(甲):自重2,954kg、搭載量943kg、全備重量3,897kg 性能(甲):最大速度367km/h、巡航速度240km/h(いずれも高度2,000m)、高度3,000mまで9分47秒 実用上昇限度5,910m、航続距離960km」 ※説明板より引用、以下同じ ![]() なかなかスタイリッシュな外観ですね。 写真では「コックピット」の上の扉?が開けられているようです。 「十和田湖に眠る機体 墜落した練習機 昭和18年9月27日、帯広第38戦隊所属の陸軍一式双発高等訓練機が、搭乗者4名で八戸市を目指し秋田県能代飛行場を離陸。 飛行中エンジントラブルを起こし十和田湖の中湖に墜落し沈没した。 1名の乗員が休屋の漁師(金村松吉さん)に救助されたが他の3名は未だに不明である。 機体の概要 左の写真(注:この説明文の上に掲載している写真です)は十和田湖に眠る立川54・1式双発高等訓練機と同型機。 この機は昭和16年7月に陸軍に制式採用され、操縦練習だけでなく射撃、航法、通信、写真撮影など機上作業全般に使用された。 高性能であった為、昭和20年6月まで1342機生産された。東条英機内閣総理大臣(兼陸軍大臣)の国内移動に使用されたと言われている。 発見の経緯 平成22年7月13日、静岡県下田市の海洋調査会社(株)ウィンディーネットワークは、高性能の超音波計測器を使用し、 東京大学生産技術研究所と十和田湖の湖底地形調査を開始した。 調査会社代表取締役社長の杉本憲一氏は調査の為宿泊していた休屋の春山荘主人の金村春治氏より、昭和18年に湖に墜落した 旧日本帝国陸軍機の話を聞き昭和の歴史に翻弄された3名の英霊に感謝と哀悼の意を捧げる為飛行機の捜索を決めた。 同年8月4日、超音波計測器で飛行機を発見。同年8月8日、水中ロボットカメラを湖底に入れ撮影に成功。 青森県三沢航空科学館大柳館長が昭和18年に墜落した機であることを確認した。 同調査会社は同年11月24日、遺骨調査の為ダイバーを機内に潜らせ調査したが遺骨は発見されなかった。 飛行機は現在も湖底で静かに眠っている。 ※2012年9月5日、この機体は引き揚げられ、皆様の前に展示されています。」 ![]() 右が垂直尾翼付近、左が操縦席付近を撮影したものです。 垂直尾翼は骨組みの一部が見えていますが、「コックピット」周りは原形をとどめているのがわかります。 「湖底の陸軍機発見される ウィンディーネットワーク提供画像 平成22年7月13日、東京大学生産技術研究所と、計測技術開発会社の(株)ウィンディーネットワークが、 合同で十和田湖地底の調査を行った。 調査の際、ソナーに飛行機らしいものが写り、水中カメラで撮影された機体。 部隊標識や、日の丸もあざやかだ。」 ![]() 先端にある「レドーム」はひび割れてつぶれ、「プロペラ」はひしゃげています。 機首をやや下げた状態で着水したという感じでしょうか。 ![]() 不時着によるものと思われる損傷は見られません。 木製の脚立が置かれているの上がれそうな感じですが、その手前にチェーンが張られていて入れません。 どちらにしても、機内に入ることなど夢のまた夢ですからね(^^; ![]() 側面の窓は操縦席部をのぞき、すべて残っていました。 不時着の衝撃は小さかったということでしょうか。 だとすれば、3名の乗員が不明となったのは不運としか言いようがありません。 もし「救命胴衣」があったならばと考えてしまいます。 当時、そのようなものがあったかどうかはわかりませんが・・・・・。 ![]() その様子はすぐ目の前で見ることができますが、あまりの薄さに驚いてしまうほど。 「米国が見た零戦」のパネルに書かれていた「防弾がなにもなく、空飛ぶ棺桶と同じだ(米国のテストパイロット)」というコメントの意味がわかります。 ![]() まさに薄皮1枚といった感じです。 よくこれで大空を飛んでいたものだと感心してしまいますね。 ![]() 前縁カバーの下半分は壊れていますが、上半分は残っています。 ![]() これは「日野自動車(株)」が借り受けて、清掃を実施したんだそう。 「航空エンジンの主流の一つだった天風21型エンジン 1930年 瓦斯電が当時主流の一つであったレシプロ航空エンジンを1928年に空冷星型7気筒の「神風」として独自開発し、 1930年には空冷星型9気筒の「天風」を開発し、長きに渡り1万2千機余りの機体(俗称「赤トンボ」)に搭載・生産された。 (青森県航空協会から借用) 名称:天風 シリンダー配置:星型9気筒 ボア(シリンダー内径):130mm ストローク(行程):150mm 総排気量:17.9L 離陸出力:379kW(515ps)/2,300rpm 生産年:1930年-1945年 製造:瓦斯電(日立航空機) 資料提供:日野自動車」 ![]() これはその一部で、「エアフィルター」と「キャブレター」です。 ![]() これは敵味方を識別するためのものなんだそう。 この機体の側面には「日の丸」が描かれていますが、側面を視認することはほとんどないですからね。 ![]() 「主脚」は引き込み式ですが、不時着に備えて下ろしていたようです。 タイヤはシャフトから脱落していたようで、添え木がされていました。 ![]() 1枚目 iPhone5S ほかはすべて D700+24-120mmF4G/VR 次回は最終回、屋内の通常展示です。
by sampo_katze
| 2018-08-28 21:00
| 飛行機
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