京都鉄道博物館に行こう!編・第5回
「本館」1階にある「鉄道のあゆみ」エリアの続きです。 このエリアの展示車両は、ほかと比べると少なめ。 その分、パネルや模型の展示が充実しています。 今回はその中から国産初の「蒸気機関車」と「電気機関車」を取り上げます。 後半はパネル展示のうち、戦前から「JR」化までを取り上げます。 表紙の写真は、国内で初めて量産された「230形蒸気機関車」の「233号」です。 1903年(明治36年)に製造されたもので、最後まで残った2両のうちの1両。 廃車後は、ここの前身の「交通科学博物館」に保存されていました。 「鉄道記念物」、「機械遺産」、そして「重要文化財」に指定されています。 なおもう1両の「268号」は、「佐賀県」の「鳥栖駅」(とすえき)東側に保存されています。 「国産初の量産型蒸気機関車 230形233号機 鉄道記念物 製造年:1903(明治36)年 製造所:汽車製造 全長:9.76m 自重:35.9t 動輪直径:1,245mm 軸配置:1B1 1902(明治35)年から1909(明治42)年にかけて、大阪の汽車製造で41両も製造された国産初の量産型蒸気機関車です。 日本人の体格を考慮した設計や、安定した運転性能が評価され、官設鉄道のほか北越鉄道と北海道鉄道にも納入されました。 本機は大正時代中期までは幹線で活躍しましたが、大型機関車の登場により地方線区で運用され、 最後は工場の入換機として1959(昭和34)年まで使用されていました。 2016(平成28)年には国の重要文化財指定の答申を受けました。」 ※説明板より引用、以下同じ 2列目に製造番号の「No.11」が刻まれています。 この番号は飛び飛びになっていて、製造順にはなっていないようです。 「重要文化財(美術工芸品) 230形233号蒸気機関車 230型蒸気機関車は、通信省鉄道作業局が汽車製造合資会社に発注し、国産で初めて量産化されたタンク式蒸気機関車である。 イギリスから輸入されたA8形タンク式蒸気機関車を基にして製造するとともに、日本人の体格に合わせて 改良するなどの工夫が施されている。車輪、車軸など一部の部品は輸入品であるものの、走行装置、シリンダなどは、 陸軍大阪砲兵工廠より指導を受けるなど、出来得る限り国産技術を用いて製造された。 蒸気機関車の国内量産化の原点に位置する車両形式である。 233号機関車は1903(明治36年)度に竣工し、西日本などで活躍したのち、国鉄高砂工場の入換用機関車となった。 1962(昭和37)年に開館した交通科学館で展示するため、国鉄鷹取工場で復元し、現在の姿となった。 当機関車は、先の特徴を持つ230形蒸気機関車の中で国内に現存する最も保存状態の良い機関車であり、 「現存最古の国内量産型蒸気機関車」として保存する意義のある車両である。 名称 :230形233号蒸気機関車 所在地 :京都市下京区歓喜寺町(京都鉄道博物館) 所有者 :西日本旅客鉄道 指定基準:一、政治、経済、社会、文化、科学技術等の我が国の歴史上の各分野における 重要な事象に関する遺品のうち学術的価値の特に高いもの 諸元 :全長9,769mm 全幅2,285mm 全高3,583mm 運転整備重量37.08t 動輪直径1,245mm 軸配置1B1」 1928年(昭和3年)に製造されたもので、全長は20mを超えます。 四角い車体に前方にせり出した大型のデッキが特徴です。 1973年(同48年)に廃車となりましたが、45年間もの長期間活躍したんですね。 なお「電気機関車」自体は「日立製作所」が1926年(大正15年)、「ED15形」を製造しています。 こちらは全長13.26mの中型機でした。 「日本で最初に製造された大型電気機関車 EF52形1号機 鉄道記念物 製造年:1928(昭和3)年 製造所:日立製作所 全長:20.80m 自重:108.0t 軸配置:2C+C2 EF52形電気機関車は、1928(昭和3)年に鉄道省と民間企業6社(※)の共同設計によって製造された、 最初の国産大型電気機関車です。丹那(たんな)トンネル開通以前の東海道線の旅客列車として使用されました。 戦後は、中央線や阪和線(はんわせん)を走行し、1973(昭和48)年まで活躍しました。 ※日立製作所、芝浦製作所、汽車会社、三菱電機、川崎車輌、川崎造船」 その下に小さな車輪がついています。 これは「先輪」(せんりん)と呼ばれるもので、カーブを通過する際の補助をする働きをするとのこと。 大型の車体ならではの装備といったところでしょうか。 「特急」の最後部に取りつけられた「テールマーク」2種です。 左下の「富士」は、1929年(昭和4年)に「櫻」(さくら)とともに登場した最初の愛称付き列車でした。 列車自体は1912年(明治45年)に「新橋駅」~「下関駅」間を結ぶ列車として登場しています。 この列車は国内初の「特急」で、1・2等車のみで構成された豪華列車だったそう。 ローマ字表記が「FUJI」ではなく「HUZI」になっているのは特徴的。 「訓令式」と「ヘボン式」の違いとのことですが、けっこう複雑でややこしいです(^^; 翌1930年(同5年)には「東京駅」~「神戸駅」を結ぶ「燕」(つばめ)が登場。 停車駅を減らしたり、途中駅での機関車交換をなくしたりなど速達性を高めています。 これにより「東京駅」~「大阪駅」間を8時間20分、~「神戸駅」間を9時間で結びました。 「富士」や「櫻」より2時間以上も早いことから、「超特急」を冠して呼ばれることもあります。 ただしこれは通称であって、正式名称は「特急」とのこと。 「特急「富士」テールマーク 1929(昭和4)年 複製 特急「富士」は1929(昭和4)年に搭乗しました。 このテールマークは、1937(昭和12)年に公布された訓令式のローマ字表記となっています。 特急「燕」テールマーク 1930(昭和5)年 複製」 その少し前の8月には「不要不急線」として、休止となったり単線化された路線が発生します。 またパネルの切り抜き記事にあるように、特急「鴎」(かもめ)などが廃止。 「食堂車」を「通勤用客車」に改造されるというのもあったよう。 右上の「弁当」の包み紙には、「欲しがりません 勝つまでは」の文字も見えます。 戦後、「富士」が廃止となってから5年後の1949年(昭和24年)。 ついに「東京駅」~「大阪駅」間に特急列車が復活します。 その愛称は「へいわ」となり、ヘッドマークもつけられました。 また、進駐してきた「連合軍」が利用する専用の車両や列車も登場。 専用列車の中にはテールマークが掲げられたものもあったんですね。 「特急「へいわ」ヘッドマーク 1949(昭和24)年 複製 戦後初の特急「へいわ」はヘッドマークです。 米国陸軍第8軍 司令官専用列車「オクタゴニアン号」テールマーク 1950年頃 複製 日本へ進駐してきた連合軍の専用列車に付けられたテールマークです。」 写真は2代目「京都駅」の駅舎で、右下の方に「RTO」の文字が見えます。 「RTO」は「Railway Transportation Office」(連合軍鉄道輸送司令部事務所)の略とのこと。 「2代目京都駅に設けられたRTO(昭和20年代前半) 駅舎内にRTOが設けられていました。駅舎右側に「RTO」も文字が掲げられています。」 「RTO(連合軍鉄道輸送司令部事務所) 1945(昭和40)年9月5日以降、日本の占領を担当したGHQ(General Head Quarters = 連合軍最高司令部)は、 連合軍の貨物輸送の監督や、連合軍専用列車の乗車券発行、休暇軍人への旅行案内などを行う RTO(Railway Transportation Office = 連合軍鉄道輸送司令部事務所)を、 全国各地の主要駅・車両基地などに設置しました。 そして、連合軍から日本の鉄道への運輸指令などはRTOから発令されるようになりましたが、 戦後の混乱が一段落した1949(昭和24)年以降は、各地のRTOが廃止されていき、 サンフランシスコ平和条約が発効となる約1ケ月前の1952(昭和27)年3月31日に全廃されました。」 右は1956年(昭和31年)11月19日に「東海道本線」が全線電化が完成したことにちなみ、 つくられた特別なヘッドマークです。 カートではなく、トレイで運んでいますね。 「戦後復興のシンボル 1949(昭和24)年、全国の幹線で優等列車が復活しました。 戦後初の特急は「へいわ」と名付けられ、東京~大阪間を約9時間で走りました。 翌年「つばめ」と改名され、続いて同じ区間で「はと」も登場し、戦後復興のシンボルの一つとなりました。 この特急列車には「つばめガール」「はとガール」と呼ばれる女性乗務員が乗務し、旅客サービスを行いました。」 一部の列車には「日本国有鉄道さようならヘッドマーク」が取りつけられていました。 その下は「国鉄分割民営化記念特製キー」です。 右側は「蒸気機関車」の「動輪」を、左のキーの先端は切符の鋏跡がかたどられています。 「東京駅」と「上野駅」から「JR旅客各社」の本社所在駅に向けて運転されました。 ここにあるのは「大阪駅」まで運転された列車に取りつけられたものです。 「大坂城」と思われる「天守」が描かれています。 「旅立ちJRヘッドマーク 1987(昭和62)年 旅立ちJR西日本号のヘッドマークです。 JRグループ各社の発足を記念して1987(昭和62)年3月31日から翌日にかけて、 東京駅から大阪駅まで運転されました。」 すべて D700+24-120mmF4G/VR 次回は、鉄道のあゆみエリアの昭和後半ゾーンです。
by sampo_katze
| 2019-08-26 21:00
| 博物館・美術館
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