京都鉄道博物館に行こう!編・第9回
本館2階の東側にある「連絡デッキ」を通り、屋外の「扇形車庫」のエリアへと進みます。 このエリアは、「京都鉄道博物館」の前身である「梅小路蒸気機関車館」だったところ。 姿を消しつつある「蒸気機関車」を文化財として後世に残すべく、動態保存を目的として設置が決定。 「蒸気機関車」専門の博物館として、1972年(昭和47年)10月10日に開館しました。 この年は国内の鉄道が開業してから100周年にあたるという、記念すべき年でもありました。 そして、2015年(平成27年)8月30日にいったん閉館。 リニューアルが行われ、翌2016年(同28年)4月29日に「京都鉄道博物館」の展示エリアとしてオープンしました。 実はここを訪れるのは、「梅小路蒸気機関車館」時代も含めて初めてのこと。 「京都」は何度も訪れているんですけどね(^^; また展示車両が多いこともあり、じっくり見ていこうと思います。 表紙の写真は、「扇形車庫」東側の13番線から20番線をパノラマで撮ったものです。 ここには静態保存車両が並んでいます。 ただ、「フロアガイド」のリーフレットに書かれていた並び順と一部ちがっていました。 こまめに入れ替えがあるんでしょうかね。 「梅小路機関車庫 重要文化財(建造物) 梅小路機関車庫は、JR京都駅から約1.5キロメートル西方に位置する。旅客や貨物量の増加などに伴い、 京都駅停車場改良工事の一環として、鉄道員西部鉄道管理局の設計、大林組の施工により建設されたもので、 大正2年(1913)12月に起工、翌年11月に竣工した。 平面は、転車台を中心にしてほぼ東西に扇形を描く。内部は、機関車駐留場、整備や器械加工を行う器械場、 職場に分かれ、20線の引込線を収容する。構造は、鉄筋コンクリート造で、柱と梁からなる明快な立面構成である。 当建造物は、小規模な改修工事は行われているが、ほぼ創建当初の状態を保っていて、わが国に現存する 最古の鉄筋コンクリート造機関車庫として、鉄道建設史上大変貴重である。また、機関車の展示施設、 機関士の研修施設として日常公開活用されていることが、その価値をいっそう高めている。」 ※説明板より引用、以下同じ 小型の「タンク式蒸気機関車」である「1070形」です。 元は「イギリス」の「Neilson社」(ニールソン、ネルソン)などが製造したものを輸入したもので、 1897年(明治30年)から1909年(同42年)に135両が導入されました。 原形は「炭水車」を連結した「テンダー式」でしたが、小回りが利くように「タンク式」に改造されています。 改造されたのは49両で、1925年(大正14年)から1928年(昭和3年)にかけて行われました。 細身の「ボイラー」と細長い煙突が特徴的ですね。 「英国製テンダー式蒸気機関車を改造したタンク式蒸気機関車 1070形1080号機 製造年:1901(明治34)年 製造所:タブス社(英国) 全長:11.38m 自重:48.0t 動輪直径:1,520mm 軸配置:2B1 最高運転速度:85km/h 総走行距離:不明 1901(明治34)年に英国から輸入され、官設鉄道東海道線で使われたテンダー式蒸気機関車 D9形651号機(のちに6270形6289号機と改称)を、1926(大正15)年にタンク式機関車1070形に改造したもので、 岐阜県の美濃太田機関区に配置されてました。その後、新潟県の日鉄鉱業株式会社に払い下げられ鉄鉱石の輸送に、 さらに栃木県の同社事業所では石灰石の輸送に活躍しました。 本形式は原設計を行った会社名(ネルソン社)から「ネルソン」の愛称で親しまれています。」 まるで「フタコブラクダ」のようです。 1913年(大正2年)から1926年(同15年)年までの間に770両が製造されました。 当初は「東海道本線」をはじめとする幹線に配置されましたが、後継機の登場により地方路線へ転属。 高出力でありながら軸重が小さいため、路盤が弱い路線にも入線できる強みがありました。 その使い勝手のよさからか、最後の3両は1976年(昭和47年)3月の「蒸気機関車」の末期まで運用が残っていました。 ここにいるのは34号機ですが、来歴の詳細はよくわかりません。 ただ製造2年目の1914年(大正3年)生まれなので、国内に残る国産の「蒸気機関車」としては もっとも古い車体の1つといえそうです。 「大正期に量産された貨物・勾配用蒸気機関車 9600形9633号機 準鉄道記念物 製造年:1914(大正3)年 製造所:川崎造船所 全長:16.56m 自重:94.8t 動輪直径:1,250mm 軸配置:1D 最高運転速度:65km/h 総走行距離:276万km ※1979(昭和54)年時点 9600形蒸気機関車は、1913(大正2)から1926(大正15)年にかけて770両が製造された、 大正期を代表する量産型の蒸気機関車で、勾配線区や貨物列車けん引に威力を発揮しました。 本機は甲府機関区や富山機関区に配置され、1941(昭和16)年以降は北海道で活躍しました。 本形式は「キューロク」「クンロク」「山親爺」(やまおやじ)の愛称で親しまれています。」 「9600形」が登場してからしばらくして、貨物需要が増大していきました。 これに合わせ、より強力な貨物用機関車が必要となったことが開発の背景にあるようです。 「D50形」は、1923年(大正12年)から1931年(昭和6年)までの間に380両が製造されました。 登場当時は「9900形」でしたが、1928年(昭和3年)に「D50形」に改称されています。 けん引力は「9600形」が600~700tに対し、「D50形」は1,000t程度と大幅に向上しました。 このことから四国を除く各地の主要幹線に配置され、貨物列車を中心に活躍することに。 ただその高性能ゆえ、戦前から戦時中は高い輸送需要にこたえるため酷使されてしまいます。 そのためか1950年(同30年)から老朽化による廃車が始まり、1960年(同40年)にはほとんどが廃車、 または「D60形」への改造種車となりました。 ここにいる140号機の来歴はわかりませんが、現存する2両のうちの1両です。 もう1両は25号機で、こちらは「北海道北見市」の「三治公園」(さんちこうえん)に展示されています。 「9600形の後継機として開発された大型の貨物用蒸気機関車 D50形140号機 準鉄道記念物 製造年:1926(大正15)年 製造所:日立製作所 全長:20.00m 自重:127.1t 動輪直径:1,400mm 軸配置:1D1 最高運転速度:75km/h 総走行距離:244万km ※1979(昭和54)年時点 1923(大正15)年から1931(昭和6)年にかけて380両が製造された、大型の貨物用蒸気機関車で、 国産最初のミカド型(軸配置1D1)です。貨物輸送量の増加にともない、9600形蒸気機関車を上回る性能を有する 機関車として開発されました。本機は梅小路機関区のほか各地の機関区に配置され、四国を除く全国で活躍し、 九州では石炭輸送の機関車としても使用されました。本形式は「デゴマル」の愛称で親しまれています。」 戦時中という非常体制への対応のため、1,200tの貨物列車をけん引することを目的としています。 1,200tは現在の「コンテナ車」に換算すると、24両編成の貨物列車にあたります。 1943年(昭和18年)から1946年(同21年)までの間に285両が製造されました。 ただ様々な事情により欠番が多数あり、ここにいる468号がラストナンバーとなっています。 また動輪直径は、貨物用のためか1,400mmと一回り小さいものになっています。 468号は最終年の1946年に製造されました。 「静岡県」の「沼津機関区」に配置され、「東海道・山陽本線」で活躍。 最終的に「北海道」の「五稜郭機関区」へと転属され、1972年(昭和47年)に退役しました。 「日本最大・最強のマンモス蒸気機関車 D52形468号機 準鉄道記念物 製造年:1946(昭和21)年 製造所:三菱重工 全長:21.00m 自重:136.8t 動輪直径:1,400mm 軸配置:1D1 最高運転速度:85km/h 総走行距離:245万9千km ※1979(昭和54)年時点 1943(昭和18)年から1946(昭和21)年にかけて285両が製造された、日本最大・最強の大型貨物用蒸気機関車です。 石炭輸送などに使用するためD51形蒸気感謝の1,000tを上回る1,200tのけん引力を目標に設計されました。 本機は沼津機関区や姫路機関区、五稜郭機関区に配置され、強力なけん引力を誇る貨物専用機として、 設計通りの性能を発揮しました。本形式は「デゴニ」の愛称で親しまれています。」 愛称となっている「デゴイチ」は、「蒸気機関車」の代名詞にもなっているほど。 それもそのはずで、1936年(昭和11年)から1945年(同20年)までの間に1,115両も製造されました。 この数字は「国鉄」向けに製造されたものだけですが、国内の機関車では最大の製造数になっています。 ちなみに「ディーゼル機関車」では「DE10形」の708両、「電気機関車」では「EF65形」の308両が最多。 そのあまりの数の多さからも、「蒸気機関車」の代名詞となったのがわかります。 なお955~1000号は欠番になっているため、ラストナンバーは1161号です。 ここにいるのはトップナンバーの1号機で、1936年に製造されました。 これを含む95両(1~85、91~100号機)は「初期型」と呼ばれ、煙突の後方に長く伸びるドーム状のカバーが特徴。 その見た目から「ナメクジ」という愛称?で呼ばれることもありました。 「日本で最も多く製造された蒸気機関車 D51形1号機 準鉄道記念物 製造年:1936(昭和11)年 製造所:川崎車輌 全長:19.50m 自重:123.0t 動輪直径:1,400mm 軸配置:1D1 最高運転速度:85km/h 総走行距離:235万14km ※1986(昭和61)年時点 1936(昭和11)年から1945(昭和20)年にかけて1,115両が製造された、 大型の貨物・勾配用蒸気機関車で、愛称の「デゴイチ」は蒸気機関車の代名詞になりました。 本機はD51形蒸気機関車のトップナンバー機(1号機)で、敦賀機関区などに配置され、 北陸地方から東北地方にかけて活躍していました。なお、本機を含む初期に製造された95両は、 ボイラー上の覆いの形状から「ナメクジ」の愛称もあります。」 向かって右の大きな方が主灯で、通常はこれ1つが取りつけられています。 左の小さな方は補助灯で、主灯が故障したときに代替として使用されました。 ですので、2つが同時に点灯することはありません。 これが取りつけられたのは「交流電化」された路線を走る車両。 電圧が2万ボルトと非常に高く、架線に接近すると感電する恐れがあったからだとか。 前照灯が点灯しない状態では運転できないのですが、途中で交換することもできないので このような措置が取られたのだと考えられます。 ボイラー上部のカバーの形は確かに「ナメクジ」みたいですね。 1枚目 iPhone5S ほかはすべて D700+24-120mmF4G/VR 次回は、静態保存機の続きです。
by sampo_katze
| 2019-09-03 21:00
| 博物館・美術館
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