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釧路市湿原展望台と湿原展望遊歩道
夏の釧路遠征2019・第5回


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「道東のターミナル駅」


「釧路」遠征2日目の7月21日(日)。
この日はまずは「釧路市湿原展望台」(以下、「市展望台」)へと向かいます。
この展望台は「釧路湿原」の西側にあり、「釧路駅」からバスで行くことができます。

運行するのは「阿寒バス」で、公式サイトには「路線バスで巡る」行程が記載されていました。
これによると1日4本が利用でき、「市展望台」での滞在時間は1時間15分前後。
「釧路駅前バスターミナル」(以下、「駅前BT」)を出て戻ってくるまで約3時間となっています。
また第4便を除き、帰りに1本後のバスを利用すれば滞在時間を2時間半程度に伸ばすことも。
「市展望台」周辺には遊歩道が整備されているので、ここをゆっくり散策するのもよさそうです。
ただこの日もあまり天気はよくなく、「駅前BT」で待つ間には小雨がぱらつくことも。
それでも小雨程度で収まってほしい、と思いながら出発することにします。


表紙の写真は、「釧路駅」の駅舎をターミナル側から見たところです。
「釧路駅」は1901年(明治34年)に開業しましたが、当時は現在の「釧路プリンスホテル」付近にありました。
1917年(大正6年)の「釧路本線」、現在の「根室本線」延伸に伴い現在地に移転されています。

現在の駅舎は1961年(昭和36年)に竣工した2代目です。
「国鉄」が地元と共同で駅舎を建設し、内部に商業施設を設けるというシステムで造られる「民衆駅」と呼ばれるもの。
ここは道内に残る最後の「民衆駅」なんだそう。
建設当初の外壁は青だったそうで、時期は不明ながら現在は茶色のシックな色になっています。
だいぶ色あせた感じがありますが(^^;










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「釧路駅」の正面にあるウェルカムサイン。
駅に向かって見るときはフェアウェルサインかな?
3つの輪の中に「タンチョウ」があしらわれています。


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「駅前BT」の待機スペースに停車中のバス。
「空港連絡バス」は「阿寒バス」でしたが、路線バスは主にこちらの「くしろバス」が運行しています。
レインボーカラーの「タンチョウ」が目印。
正面の行先表示や側面の案内表示はLED化されていますが、正面下部には系統番号が書かれたボードを掲げています。
これですと遠くからでも系統番号が確認できるのでとても便利ですね。
視力がよくないのでなおさらありがたい(^^;

さて、「市展望台」へのバスは15番乗り場から08:55発。
系統番号は20で、行先は「グリーンパークつるい」です。


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「釧路市湿原展望台」バス停には09:36に到着しました。
バス停は道路をはさんで展望台と反対側にありますが、近くには信号どころか横断歩道もありません。
それでいながら交通量はかなりあり、渡るのには少々苦労しました(^^;
タイミングもあるのかもしれませんが。
「押しボタン式」でいいので信号がほしいところですね。

建物はご当地出身の建築家「毛綱毅曠」(もづな きこう)さんの設計によるもの。
1984年(昭和59年)に竣工しました。

「毛綱 毅曠
 毛綱毅曠氏は釧路市出身の建築家で、その作品は国内外で高い評価を得ました。
 日本建築学会賞を受賞した、釧路市立博物館、釧路市湿原展望台をはじめ、
 釧路には、その風土と氏独自のイメージが融合した個性あふれる建築作品があります。」


「釧路市湿原展望台
  位置 釧路市北斗  構造規模 SRC造 地上3階  延面積 1,086㎡
  周囲を囲む列柱は湿原に群生する「ヤチボウズ」をモチーフ
  設計にあたったとき、イメージしたのは湿原に浮かぶ船の姿
  内部は「湿原の種子」・「胎内くぐり」のイメージ」

※説明板より引用、以下同じ


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壁にあった「釧路湿原国立公園」のロゴ。
こちらも「タンチョウ」がメインのモチーフになっています。
緑にグラデーションは「釧路湿原」を、S字のような白いラインは「釧路川」を表しているようです。

「釧路湿原国立公園
 釧路湿原国立公園は、わが国最大といわれる釧路湿原を中心にその周囲の丘陵と湖沼を含み、
 釧路市・標茶市(しべちゃし)・鶴居村(つるいむら)にまたがる28,788ヘクタールの面積を有しています。
 ハンノキの木立を点在させたヨシの草原と蛇行する河川などがおりなす広大な水平景観、
 その中に見られる動植物のさまざまな営みと原自然の保存度の高さは、わが国では他に類例がない特異性をもっています。
 湿原の主要部分は、ラムサール条約により水鳥の生息地として国際的に重要な湿地の指定、登録を受け、
 国際的にも高く評価されています。
 このかけがえのない自然を私達の大切な財産として将来の世代に引き継ぐとともに、
 その特性を生かした利用を図るために、昭和62年7月31日わが国28番目の国立公園に指定されました。」



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「市展望台」に入ります。
1階はフリースペースでショップやレストランなどが、2階から上は有料になっています。
2階と3階は展示室があり、「釧路湿原」に関するさまざまな資料を見ることができます。
建物の中央部を見上げると、内壁は独特の形状になっていました。


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屋上に出て「屋外展望スペース」から「釧路湿原」を眺めます。
これは南東方面で、「釧路」の市街地を遠くに望むことができます。


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「市展望台」を出ると、ここから伸びる「湿原展望遊歩道」のマップがありました。
ぐるりと1周する周回ルートのほか、ちょっと寄り道をして「北斗遺跡」を見学することも。
また左回りに進み、「はばたき広場」を通って「サテライト展望台」に至るルートは「バリアフリー木道」になっているよう。
次のバスまでまだ時間がありますし、せっかくなので歩いてみることにしました。
もちろん、日和ることなく1周ルートを選択しましたよ。

「湿原展望遊歩道(北斗展望台園地)
 この遊歩道は一周約2.5キロメートルあり、だれでも軽装で気軽に釧路湿原を展望・観察できるように
 大部分が木道になっています。いざない広場からサテライト展望台までの時計回り約1キロメートルは、
 車椅子でも行くことができます。
 遊歩道途中の各広場には、釧路湿原に関する様々な解説があり、一周することによって湿原の特徴を
 理解できるようになっています。あおさぎ広場・サテライト展望台・タンチョウ広場からは、
 雄大な釧路湿原の四季折々の変化を見ることができます。」


「釧路湿原探勝歩道
 釧路湿原展望台を起点とする約2.5kmの環状木道です。
 様々な野鳥や動植物が生息する湿原の森を抜けると、
 目前に日本最大にして圧倒的なスケールの眺望が広がっています。
 各所に湿原に関する解説板が設置されていて、楽しく散策できます。
 所要時間は約60分です。」



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ルートは右回りの「こもれび広場」経由で進むことに。
ところが遊歩道への入口にはこんな看板が!

「熊の出没にご注意ください
 令和元年6月25日(火)、県道53号線(湿原展望台付近)を湿原展望台方面へ
 道路を横断するヒグマ1頭が目撃されました。」


もし遭遇してしまったら、荷物を置いて逃げるくらいしかできません(汗)
また訪問の約1か月前のことなので、すでに別の場所に移動している可能性も高いですが。
とりあえず、心にとめて進むことにしました。


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曇り空なので遊歩道は薄暗く、先の「クマ注意」の看板のこともありちょっとドキドキしながらの散策。
それでも、緑にあふれていてとても気持ちのいい道です。


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しばらく歩くと、このようにやや急な坂道が出てきます。
階段のほか、勾配がゆるやかになったスロープも設けられていました。
どちらも雨上がりなどは滑りやすいので、足元に注意ですね。


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さらに先に進むと、階段だけの場所も。
これは下に降りてから後ろを見上げたものですが、なかなかの勾配。
これを上っていくのは結構大変そうですね(^^;
先に書いた通り「展望台」から時計回りの道は、途中まで「バリアフリー木道」になっています。
ですので遊歩道を1周するのであれば、反時計回りに歩くことをオススメしておきます(^^;


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先の階段から少し進むと、つり橋がかかっていました。
高さはありませんが、それなりに揺れるのでゆっくり歩を進めます。


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「市展望台」を出てから約25分、「サテライト展望台」に到着しました。
ここは「市展望台」の東北東、直線距離で約600mのところにあります。
全体から見れば端っこですが、「釧路湿原」内部にせり出しているからか人工物が見えません。
曇っているのが少々残念ですが、かえってしっとりとした雰囲気になっていいのかも。
木製の看板もあり、記念撮影のポイントにもなっているようです。

「釧路湿原サテライト展望台(北斗展望台園地)
 園内の湿地の約6割の面積(20,070ha)を持つ釧路湿原。
 その西側の雄大な眺望をパノラマサイズで堪能できるのがサテライト展望台です。
 眼下に広がる釧路湿原の主要部は、ラムサール条約によって水鳥の生息地として
 国際的に重要な湿地の指定及び登録を受けており、その登録面積は7,863haに及びます。」



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せっかくなのでパノラマで撮影。
空のグレーと湿原の緑のツートーンになりました。
これが晴れていたら、もっと鮮やかになっていたでしょうね。


最後に、遊歩道沿いにあった「釧路湿原」についての説明の一部を。

「日本一広い ~釧路湿原~
  釧路湿原は東西最大幅約25km、南北約36kmほどで、面積19,430ha(1996:国土交通省)の日本で最大の湿原です。
  この湿原は、ヨシ・スゲ湿原、ミズゴケ湿原、ハンノキ林で構成されます。
  釧路湿原の地層は、表面から1~4mに泥炭(でいたん)、その下は泥や砂、小石、貝の化石などを含む地層です。
 ●泥炭とは?
  湿原の植物が冷たい水につかったまま分解せずに堆積(たいせき)したものです。
  釧路湿原では、1年に1mmの割合で積み重なっています。」

「ヨシ・スゲ湿原とミズゴケ湿原
 ●ヨシ・スゲ湿原
  草丈60~80cmのスゲ類と2mを超えるヨシが主体です。
  釧路湿原ではヨシ・スゲ湿原が多くの面積を占めています。
 ●ミズゴケ湿原
  ミズゴケ類が構成する湿原です。
  密生したミズゴケの束は、毛細管現象によって吸水力を増し、水位を引き上げます。
  スポンジのように水を蓄えるミズゴケ類をよりどころに、イソツツジやヒメシャクナゲなどの
  高山性・寒地性の植物が生育しています。
 ●ハンノキ林
  湿原の中で唯一、樹林を形成します。
  ハンノキは栄養に貧しい土壌条件の泥炭地でも、根に根粒菌(こんりゅきん)という窒素を生成する
  バクテリアの一種を持ち、泥炭地に少ない窒素分を補って生育しています。
  湿原の中では、生長が一定の段階に達すると、それ以上生長できずに樹幹が立ち枯れます。
  枯れた木の根から新しい数十本の芽(萌芽 ほうが)が出て、そのうち数本が生長してハンノキ林が更新されます。」


「むかし、湿原は海だった
 ●約20,000年前
  約2万年前の氷河期(ヴュルム氷期)には、現在より気温が低く、海綿も100mほども低かったことから、
  現在の海となっている場所まで陸地が広がっていました。
 ●約10,000~6,000年前
  その後、次第に気温が上昇し、海面も徐々に高くなり、陸地に海水が入り込む「海進」(かいしん)が始まりました。
  約6,000年前には、もっとも奥深く海が進出し、現在の釧路湿原は広く海水に覆われ、大きな湾になっていました。
 ●約6,000~4,000年前
  その後、気温が低下していき、徐々に海水が引いていく「海退」(かいたい)が始まり、
  湾の入口部分には砂丘が発達しました。また湾の周辺の河川から土砂などが流れ込み、湾を埋めていきました。
 ●現在
  この「海退」が進む過程で湾内の西側が隆起し、東側が沈む地盤変化が起こり始め、
  東側に塘路湖(とうろこ)などの海跡湖(かいせきこ)をつくり、約3,000年前に現在の広大な湿原が誕生しました。」




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次回は、釧路の名物料理発祥のお店で昼ごはんと市立博物館です。

by sampo_katze | 2020-09-19 21:00 | 北海道 | Comments(0)


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