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北方民族博物館の常設展・北のクロスロード~北方民族の衣食住
冬の網走訪問2019編・第3回


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「なにかを語りかけてきそうな雰囲気」


「天都山」(てんとざん)の山頂から、少し奥に入ったところにある「北海道立北方民族博物館」
前回は入口すぐにあった「特別展」を見てきました。
そこで今回は「常設展」の方へと入っていきます。
入場には「あばしりフリーパス」についているクーポンが使えますよ。

ところで「北方民族」というと、国内では「アイヌ」がもっとも知られているかと。
ほかには「アラスカ」「エスキモー」が有名なところですね。
でも逆に言うと、それ以外はまったく知らないという(^^;

ちなみに「イヌイット」(当博物館では「イヌイト」と表記)は「エスキモー」を構成する民族グループの1つなんだそうです。
これも知らなかった!
もう1つの大きなグループは「ユピック」といい、こちらも聞いたことがある程度。
でも「常設展」の最初のエリアで、数多くの民族がいることがわかってビックリ。
なかなか触れる機会もないですから当然ですけどね。


表紙の写真は、「常設展」入口の様子です。
中央に展示されているのは「エスキモー」が使用していた「シャマン用仮面」
流木を使って作られていて、細かく装飾も施されています。
この仮面はパンフレットの表紙も飾っていて、当博物館のシンボルの1つとなっているのかもしれません。

「時間と空間を越えてきた資料が 北の文化を話しはじめる
 北方民族博物館はユーラシア、北アメリカ、グリーンランドの先史時代から現代まで、
 北方文化を対象とする博物館です。」


「シャマン用仮面
 民族名:エスキモー
 地域 :アラスカ/ユーコン川下流域
 年代 :19世紀
 素材 :流木」

※説明板より引用、以下同じ(特記を除く)










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「常設展示」に入ってすぐのアプローチ。
ここは「北のファンタジー」と呼ばれるエリアです。
幻想的な青い光が「北方民族」への世界へといざないます。
そして、ここを抜けると最初の「北のクロスロード」のエリアへと出ます。

「北のファンタジー
 音と光で北方地域のイメージを演出します。
 時間と空間を超えて、北方民族の世界へ・・・」


「北のクロスロード
 人類の北方への進出は人類史の中でもごく最近の出来事ですが、
 人類は先史時代から北方の厳しい環境で生活するためのさまざまな技術を開発し、
 巧みに適応した文化をつくりあげてきました。」

※パンフレットより引用


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「北のクロスロード」では、「北方民族」の「衣食住」について展示されています。
最初は「衣」のゾーン。
いかにも暖かそうな衣類が並びます。

「"衣"を通してみる民族の広がり
  伝統文化が急速に失われつつあるなかで、衣類はその民族のアイデンティティを示す役割をもち、
  現在も機会あるごとに着用されている。
  人びとは限られた動物・植物資源の性質をいかし、現代の衣類に勝るとも劣らないものを作ることによって、
  北方の寒さに適応してきた。
  体の形に合わせたつくりは、布を体に巻き付ける温暖な地域の方式とはかなり違った趣を感じさせる。
 装飾 - 色・形・文様
  また、その色や形、文様には、衣類を美しく見せるという効果のみならず、
  動物への敬意や、魔除け、着る人の性別や身分などを示す要素が認められる。
  自然素材そのままの美しさを利用したことは言うまでもなく、
  捕った獲物の一部を狩猟者の誇りとして身に着けることもあった。
  交易によって手に入れた貝、金属、玉、ビーズの類も貴重なものとして装飾に用いられた。」



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左は「ロシア」の極東部「カムチャッカ地方」「チュクチ」という民族が使用していたフード付き衣服と靴。
右は「アラスカ」の「エスキモー」が使用していた衣服と靴です。
素材は「エスキモー」の靴以外は「トナカイ」の毛皮が使われていて、一般的な素材であることがわかります。
見た目にも暖かそうですし、なにより丈夫そうですね。

「エスキモー」の靴は「海獣」の毛皮が使われているとのこと。
これは撥水性の高さを重視したものと思われます。
氷の上での移動や作業に使われていたんでしょうね。

「フード付き衣服・靴
 民族名:チュクチ
 地域 :ロシア/カムチャッカ地方/スレドニーパハチ
 収集年:1998年
 素材 :毛皮(トナカイ)」


「衣服・靴
 民族名:エスキモー
 地域 :アラスカ/コツェビュー(衣服)
 年代 :1900年頃(靴)
 素材 :毛皮(トナカイ【衣服】、アザラシ、セイウチ【靴】)」



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右の服は布のように見えますが、「樹皮」でできています。
「オヒョウ」という木の皮を編んでいるんですね。
ちなみに「オヒョウ」というと、巨大な「カレイ」の仲間が頭に浮かびましたが(^^;

左は「シダー」という木の皮で編んだ「みの」
やや幅が広く厚みもあり、かなり丈夫そうです。

「樹皮衣
 高緯度にありながら比較的温暖で、樹木の多い北アメリカ北西海岸では、
 木の内皮を割いて織った衣服が用いられていた。
 素材はヒノキ科の針葉樹が多く、ケープや巻スカートのような単純な形をしている。
 また、アイヌには、オヒョウなどの木の内皮やイラクサなどの草から織ったアツシとよばれる服がある。」


「樹皮衣(アットゥシ)
 民族名:北海道アイヌ
 地域 :北海道/網走
 収集年:1926年
 素材 :樹皮(オヒョウ)」


「衣服(みの)
 民族名:北西海岸インディアン/ヌートカ
 地域 :カナダ
 収集年:1960年頃
 素材 :樹皮(シダー)」



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半透明に見える素材でできたこの服。
なんと「アザラシ」の腸を使ってできているだそう。
水上での作業向けに、防水性の高い素材を使っているんですね。
さらに水漏れを防止するため、継目の部分はしっかりと縫い込まれているようです。
水温が低いでしょうから、水漏れは大敵ですからね。

「腸製衣
 水上での猟や舟旅のさいに、着用される防水性に富んだこの衣装は、おもにアザラシの腸から作られる。
 チュクチやアリュート、イヌイトなど北太平洋から北極海沿岸で海獣狩猟を行う民族に多く見られ、
 腸の継目は水の侵入を防ぐように厳重に縫い合わされている。」


「パーカ
 民族名:イヌイト
 地域 :カナダ
 素材 :腸皮(アザラシ)」



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続いては「食」
なぜか、たくさんの「さじ」が並んでいました。
大きさも形も様々で、どんな用途だったのか想像もできません(^^;
また生肉を食べることが多かったようですが、保存のための技術も持っていたそう。
常に新鮮な食糧が手に入るわけではないですからね。

「北方民族の食
 北にくらす人びとをとりまく食糧資源は豊かである。
 しかし、季節的な変動があり、安定したものではない。
 このような環境のなかでくらす人びとは、食糧の獲得技術を高度に発達させ、
 手にいれた食糧を有効に利用する知恵と技を身につけて生きてきた。
 長い冬にそなえて大量の食糧をたくわえることは重要なことであった。
 保存食をつくる必要から、乾燥、燻製、発酵などの技術が発達した。」



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こちらは上半分が「銛先」(もりさき)、3段目は「釣針の軸」、4段目は「釣針の鉤」(かぎ)です。
素材は書かれていませんでしたが、おそらく骨でできてるかと。
毛皮は衣服に、肉は食糧に、骨は道具にと、無駄なく使われているんですね。

「食糧の獲得
 冬、雪と氷で閉ざされる厳しい環境のもとで、食糧を効果的に確保するためには、
 優れた道具とそれを使いこなす技術が必要であった。
 骨角器や石器などは、クジラやトド、アザラシなど、大型の海獣狩猟や漁撈(ぎょろう)が行われていたことを裏付けている。
 また、海での活動を助ける舟や、それをあやつる高度な技術ももちあわせていた。
 陸上では狩猟、採集とともに、ブタやイヌの飼育もおこなっていた。」



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3つ目の「住」
上から順に「コタ(テント) 民族/サミ」「テント 民族/グリーンランド・イヌイト」
「チセ(木造住居) 民族/北海道アイヌ」「イグルー(雪の家) 民族/カナダ・イヌイト」
いずれも縮尺は1:20となっています。

「北方民族の住居
 北にくらす人々の多くは、生業(せいぎょう)活動にしたがって季節的に移動したり、
 複数の住居を使い分けたりして生活している。
 住居のタイプは大きくわけると三つある。
 一つは主として冬の間、採集狩猟民のベースキャンプとなる定住的な家であり、竪穴(たてあな)住居に代表される。
 二つめはテントである。移動をつづけながら狩猟や漁撈(ぎょろう)を行う人びとやトナカイを飼育する人びとが用いてきた。
 第三のタイプは、北太平洋沿岸地域の漁撈民などにみられる高床式の倉庫や魚干し柵などが付随した木造住居である。」



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「イヌイト」の「竪穴住居」を実物大で復元したもの。
カットモデル?になっていて、内部の構造が見られるようになっています。
中に入ることができないのがちょっと残念?

「イヌイトの竪穴住居
 この復元住居は、北アラスカの海岸地域に住むイヌイト・タレウミウトの一家族用の伝統的な冬の住居をモデルとしている。
 永久凍土を掘り、そのなかに流木や鯨の骨などで枠組みを作り、最後に全体をおおうように芝土をつみあげて作る。
 最も深く作られたトンネル部分には、外の寒気が居住空間に入るのをさえぎる効果があり、
 またそこには台所や貯蔵スペースがもうけられている。
 ただし、実際のトンネルはもうすこし長い。」



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最後はちょっと変わった箱を。
この箱の装飾には「ヤマアラシ」の針が使われているんだそう。
「ヤマアラシ」も食用にしていたんでしょうかね?

「クイル装飾箱
 民族名:アルゴンキンインディアン/ミクマック
 地域 :カナダ
 年代 :1860年頃
 素材 :クイル(ヤマアラシの針)」




すべて D700+24-120mmF4G/VR


次回は、環境と調和した北のくらしエリアです。

by sampo_katze | 2021-01-06 21:00 | 北海道 | Comments(8)
Commented by kzmblog at 2021-01-07 09:10
素敵です。
コロナさえなかったら北方民族博物館いけたのに~((T_T))
Commented by sampo_katze at 2021-01-08 21:55
kzmblogさん、こんばんは!
コメント、ありがとうございます。

わたしも訪問してみてビックリしました。
行くまでは正直、それほど期待していなかったのですが(^^;
収束したらぜひ足を運んでみてください!
Commented by splendid at 2021-04-12 17:50 x
散歩猫さん、大変ご無沙汰しております。splendid(尾崎)です!
clubtontonのブログサービスの会社が4月いっぱいで掲示板を閉じるそうです。たまに覗いておりまして、この度そういうことになったそうです。ご連絡まで~!
Commented by sampo_katze at 2021-04-12 20:16
splendidさん、こんばんは!
大変ご無沙汰しております。

おぉ、最近すっかりあちらにも顔を出さなくなってましたが(汗)
そうでしたか~。
ご連絡ありがとうございます!
Commented by splendid at 2021-04-15 15:04 x
あちらでの書き込み、読みました。ありがとうございます。マスターはどうしてるんでしょうね・・・?
Commented by sampo_katze at 2021-04-15 21:52
そういえば
人のことを言えませんが、マスターもトンと顔を出してませんね
「写真は心で」をまた聞きたいものです(^^)
Commented by splendid at 2021-04-18 15:16 x
わ、なつかしい(笑)ー
Commented by sampo_katze at 2021-04-20 21:14
名言ですよね~(^^)


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